昨年12月31日(火)付け、および1月21日(火)付け読売新聞朝刊で量子暗号関連の記事に目が留まったので併せてご紹介します。
東芝は、盗聴やハッキングが理論上不可能な量子暗号通信を2020年度に実用化すると正式に発表しました。
個人の生体情報や購買行動などを活用したデータビジネスが注目を浴びる中、データを守るのに必要な暗号の開発競争は激化しています。
量子暗号通信は、暗号の作成や解読に必要な「暗号鍵」に、光の粒(光子)を使う通信技術。情報の送り手は受け手に送信したいデータと共に暗号鍵を送ります。
不正に読み取ろうとすると、光子の状態が変化して鍵として使えなくなります。
現在の技術レベルでは最も安全性が高いとして、「究極の暗号」と呼ばれています。
東芝は、送受信した情報を読むのに必要な「暗号鍵」をやりとりする専用機器やソフトウェアなどを、定額制で顧客に提供する事業をまずアメリカで始めるといいます。
金融機関が内部で取引や顧客に関する情報といった秘匿性の高いデータをやりとりする際の利用を想定しています。
アメリカでは、現地の通信関連企業などとの協業も検討しています。
アメリカ以外でも、安全保障など特に秘匿性の高い情報を扱っている各国政府のほか、金融機関、医療機関を対象に事業を展開する戦略を描いています。
東北大学と大容量の遺伝子情報を送信する実証実験に成功したほか、イギリスでの試験的な通信網の整備に協力するなど準備を進めています。
データを活用したビジネスが急速に拡大しているアメリカを中心に実績を積み重ね、事実上の業界標準(デファクト・スタンダード)を目指すといいます。
暗号は、既にネット通販におけるクレジットカードでの支払いや、スマートフォンアプリなどに幅広く浸透しています。
現在は複雑な素数の組み合わせで作られており、理論的には膨大な量の計算をすれば解読が可能です。
計算速度で最先端のスーパーコンピューターを大きく上回る量子コンピューターが実用化されれば、既存の暗号が解読されるとの懸念が強まっています。
量子暗号通信は現在の技術レベルでは最も安全性が高いことから、「究極の暗号」とも呼ばれており、暗号解読のリスクに備える切り札と目されています。
欧米や韓国、中国なども開発に巨費を投じる中、国内では、東芝が1990年代から基礎研究を始め、国内外の企業や研究機関との実証実験を重ねてきました。
また、NECも顔認証のデータ伝送などに量子暗号を用いる研究を進めています。
以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。
東芝は、盗聴やハッキングが理論上不可能な量子暗号通信を2020年度に実用化すると正式に発表したのですから、是非計画通り実現して欲しいと思います。
量子暗号通信が広く普及すれば、盗聴やハッキングなど犯罪者にとっては恐るべき存在となります。
是非とも東芝に限らず、日本企業にはこの分野に限らず、AIやロボットでも世界的にリーダーシップを持ち続けて欲しいと思います。