2020年03月05日
アイデアよもやま話 No.4582 福島第一原発の処理水の行方!

昨年12月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で福島第一原発の処理水の行方について取り上げていたのでご紹介します。

 

東京電力の福島第一原発で増え続けている処理水の処分方法について、経済産業省(経産省)は、薄めて海に流す海洋放出と蒸発させて大気中に出す水蒸気放出といういずれも前例のある方式に絞り込みました。

これは昨年12月23日に開かれた汚染水の処理水に関する政府の小委員会に経産省が取りまとめの案として示したものです。

処理水の処分方法について、小委員会はこれまで地層への注入や地下への埋設なども検討してきましたが、前例がなく課題が多いとして選択肢から除外されました。

候補として残った海洋放出と水蒸気放出はいずれも国の内外で行われた実績があり、中でも海洋放出が有力とされていますが、漁業関係者などからは風評被害を懸念する声があがっていて、決定には時間がかかりそうです。

経産省は、取りまとめ案に処分の開始時期や期間を明示しませんでした。

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「ここでポイントになるのは、処理水はいろいろ処理してるんですけど、なお残る放射性物質があって、それがトリチウムという物質なんですね。」

「これは水素の仲間で自然界にも存在している物質なんです。」

「で、具体的に今度、仮に海洋に放水した場合、どうなるのかということなんですけども、1年間今溜まっている処理水を放出した場合に被ばく線量というのがありますけども、それは0.052〜0.62マイクロシーベルトということです。」

「具体的に何と比較したらいいかというと、自然界からの被ばく線量は2100マイクロシーベルトですから、ざっくり言ってその1000分の1以下ということになります。」

「その意味で安全と言うことは言えるんですけど、安全だけれども、なお安心感が足りないと思う人がいるでしょうから、政府はなおそこのところはきちんと説明していく必要があるでしょうね。」(出典:経済産業省 資料)

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

滝田さんのおっしゃるように、処理水を海洋に放水した場合、放射性物質であるトリチウムが自然界からの被ばく線量に比べて1000分の1以下であると言われても、一般の人たちは100%安心だという気持ちにはなれないと思います。

私も、今後何十年にもわたって処理水を海洋に放水し続けた場合、その間にトリチウムが特定の区域に蓄積されるような場合、それでも果たして安全性に問題がないのか疑問が残ります。

 

原発には、津波などの災害、あるいはテロ攻撃などによる爆破など様々な事故リスクがあります。

更に事故後の広域にわたる膨大な被害を想定すると、いくらCO2排出量ゼロでも、福島第一原発後の安全対策コストの増大、あるいは周辺住民の不安感、そして事故後の何十年という長期にわたる核廃棄物の処理などを考慮すると再生可能エネルギー発電への大胆な転換をすべきだと思うのです。

しかも、原発や化石燃料による発電よりも再生可能エネルギーは既に低コストであると言われるようになっているのですから躊躇する理由はないはずです。(参照:アイデアよもやま話 No.4318 既に再エネは原発より低コストに!


 
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