2020年03月04日
アイデアよもやま話 No.4581 ”町の酒屋さん”が株式上場 !

昨年12月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”町の酒屋さん”の株式上場について取り上げていたのでご紹介します。 

 

最近、話題の企業の上場が相次いでいます。

昨年12月23日、この時期が最も忙しいという企業が東証2部への上場を果たしました。

酒の販売などを手掛ける株式会社カクヤスです。

この業界ではトップを走るカクヤスですが、成長を支えているのは安さだけで止まらないサービスでした。

 

昨年12月23日、東証2部に上場したカクヤス、初日の終値は売り出し価格を15%上回る1835円でした。

佐藤 順一社長は次のようにおっしゃっています。

「お客様の要望・期待には何でも応えたいと社員全員が思うことを目指して作って来た会社ですので、その気持ちだけは忘れたくないなと。」

 

ピンク色の看板がトレードマークのカクヤス、定価よりも安い価格でビールや日本酒の他、つまみなども販売しています。

また繁華街にある店舗では、ワインの品揃えを充実させるなど、店のある地域に応じた品揃えも強みです。

東京・北区で1921年に創業したカクヤス、当時は普通の町の酒屋さんでした。

そのカクヤスが売上高1000億円を超える、業界最大手に成長出来た背景には独自の戦略があります。

例えば、港区赤坂二丁目に昨年オープンした店舗、広さは30岼焚爾鳩茲靴胴くはありません。

その横には店の3倍ほどもある倉庫があります。

その倉庫で行われていたのが配達用の仕分けです。

カクヤス最大の特徴は、東京23区などでビール1本から無料で配達することです。

注文すれば1時間以内に店や自宅に届けてくれます。

1年で最も忙しい年末でもお客の注文に細かく対応する御用聞きとも言えるこの配達サービス、それを支えるのが集中出店です。

全国およそ150店舗中121店舗が東京23区に集中、特に港区など繁華街の多いエリアには高密度で出店しています。

他は、大阪市、横浜市など飲食店が多く、需要が見込める地域にしか店を出していません。

ただ小売店や宅配業者は人手不足が深刻な業種、カクヤスはなぜこうしたサービスを維持出来るのでしょうか。

佐藤社長は次のようにおっしゃっています。

「今までは、私どもは高校生の新卒の採用を重視しています。」

 

カクヤスでは全国およそ2000校の高校を訪問、就職先として選んでもらえるよう、高校の先生たちとの関係づくりに力を入れており、毎年約120人を正社員として採用しています。

高校生を積極的に採用することで、自前の配達網を作り上げているのです。

今回の上場には採用につなげたいという思いもあります。

佐藤社長は次のようにおっしゃっています。

「他の上場会社もかなり採用に来ていますので、(採用は)結構厳しくなっています。」

「それで、今回そういったことも機に上場しようかなというのは非常に大きな動機としてあるかなと思います。」

 

こうして作り上げたきめ細かな配達網、佐藤社長は新たなビジネスの種になると見ています。

佐藤社長は次のようにおっしゃっています。

「正午から午後4時くらいまでは注文がすごく少ないので、この時間帯はトラックが空いています。」

「これからIPO(新規上場)しますと、この時間帯で運べるモノも我々手掛けることになって来るのかなと思います。」

「まあお届けのプラットフォームになっていくというところが多分我々がこれから企業価値を上げていくうえでは非常に重要なことなのかなと思います。」

 

解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「ディストリビューション、配送は一つボトルネックになっていますから、そこに目を付けているのは面白い生き方だと思います。」

 

また、番組のメインキャスター、大江 麻理子さんは次のようにおっしゃっています。

「配送網がしっかりしている会社というのは、どこの通販サイトにとっても今魅力的だったりもしますからね。」

「これから先、いろんな話が出てきそうな気がします。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

以前、アイデアよもやま話 No.4388 世界初のコンビニ商品の配送ロボ!でセブンミールによる人手不足を理由とした無料宅配サービス(500円以上購入の場合)の取りやめ、およびコンビニ商品の配送ロボについてお伝えしましたが、今回ご紹介したカクヤスによるビール1本からの無料配達は、他の店舗との差別化戦略として素晴らしいと思います。

なぜならば、どちらかというとコンビニなどが無料配達に消極的である一方、高齢の購入者など一部の購入層にとっては、無料で自宅まで届けてくれたり、あるいは居酒屋などのお店にとってビール1本からの無料配達はとても有り難いサービスだからです。

しかも、注文から1時間以内に店や自宅に届けてくれるというのです。

それを可能にしているのは、需要の大きい地域への高密度出店、および低賃金の新卒高校生の大量採用といいます。

 

さて、佐藤社長もおっしゃっているように、こうしたきめ細かい配送サービスは従来の商品以外への展開においてもとても競争力を発揮出来ます。

ですから、今後カクヤスが従来の配送網を活用してどのような商品の配送を展開していくのか気になるところです。

それによって、株価は更なる上昇気流に乗ると期待出来ます。

 

しかし、カクヤスのこうした差別化戦略も何年か先の配送ロボの普及によって終焉を迎えるのではないかという懸念があります。


 
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