2020年02月18日
アイデアよもやま話 No.4568 コモディティ化が急速に進むテレビ!

少し前までは、4K対応の大型テレビは20万円以上はしていました。

ところが、今は驚くほど低価格化が進んでいます。

そうした中、昨年11月13日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でこうした事情について取り上げていたのでご紹介します。 

 

薄型テレビの出荷台数の推移を表したグラフで見ると、地上波デジタル放送への切り替えのタイミングで2010年には2000万台を超えたのですが、現在は500万台を切る年が続いています。

不振に見えるテレビ市場ですが、今、アイリスオーヤマなど参入する企業が相次いでいます。

アイリスオーヤマが昨年11月13日に本格参入したのが液晶テレビです。

価格は「LUCA」シリーズの65インチ、4K/音声操作対応で18万8000円(税別)と20万円を切ります。

アイリスオーヤマは2018年に液晶テレビの試験販売を始め、予想を超える10万台を販売、本格参入で2009年のエコポイント導入時に購入した消費者の買い替え需要や手頃な価格で大型テレビを買いたい若い世代を狙います。

更に、通常のリモコンに加え、音声で操作を認識するリモコンが付いています。

認識出来る言葉を、テレビをつける、消す、音量の上げ下げ、チャンネル変更など、27種類に絞ることでネット接続やスマホの設定なども必要なく使えるようにしました。

 

これまで手掛けて来た白物家電では、消費者の不満を救い上げ、独自の機能を打ち出してきたアイリスオーヤマですが、今回も新たな音声操作対応について、家電事業部の石垣 達也統括事業部長は次のようにおっしゃっています。

「スマートスピーカーを介して家電をコントロールするというのは、商品としてはございますが、しかしながらお客様の声を聴くと、非常に接続が難しいというような声が多数ありまして、今回のモデルの発売に至ったと。」

「今まで寡占化された業界だけに、まだまだ掘り起こせるお客さんの不満は多数あるんじゃないかなと思っています。」

 

テレビ売り場では、既に新興勢力が異変を起こしていました。

ビックカメラの新宿西口店では、海外メーカーの展示コーナーが設置されており、販売員の柏木 佑介さんは次のようにおっしゃっています。

「新興メーカーのモデルが非常に売れ行きが良くなって来ております。」

「コストパフォーマンスが非常に大きな武器だと思われます。」

 

中国メーカー、ハイセンスの4K対応の65型液晶テレビは8万1800円(税込)、19型のテレビは1万95080円(税込)と2万円を切るなど、日本メーカーの半額近いものもあります。

コストパフォーマンスの良さから日本の存在感も高まっていて、液晶テレビの販売台数のシェアではソニーとパナソニックを抜き、シャープ、東芝に次いで一時3位(2019年10月第4週)へと躍り出ました。

ハイセンスジャパンの磯辺 浩孝副社長は次のようにおっしゃっています。

「東芝映像ソリューションさんと共同開発した画像エンジンを搭載しまして、画質についてはもう日本ブランドと何ら遜色のない画質に仕上がっていると思います。」

 

ハイセンスが今日本市場に力をいれているのが大型のモデルです。

2018年に東芝のテレビ事業を買収、その技術によって日本のお客が重視する画質を向上させました。

しかも4Kチューナー内蔵の65インチのモデル「65U7E」で市場価格は13万円台と、価格は大きな武器です。

磯辺副社長は次のようにおっしゃっています。

「ワールドワイドで約1800万台を製造している、そのバイイングパワーと調達力は当然価格に反映出来る。」

「日本メーカーよりも値頃な価格で値段に合った機能が認知されていけば、それで我々は売れていくんだろうなと考えています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、あるいは実際に家電量販店の薄型テレビ売り場を見ても、最近は特に中国製や韓国製のテレビの画質も日本製に比べて、遜色ないように思えます。

しかも価格もハイセンスの4K対応の65型液晶テレビが10万を切るものまで登場しているのです。

こうして見てくると、最近のテレビは機能や品質による差異が減少し、コモディティ化していると言えます。

一方、超薄型の有機ELテレビは高価格を維持していますが、こうしたテレビもいずれ価格競争に巻き込まれていくと思われます。

 

こうした状況においては、どうしても海外の安い人件費で製造したテレビの方が価格競争力があり、売り上げを伸ばすことになります。

では、国産メーカーの生き残る道はというと、大きく2つあると思います。

一つ目は、人件費のもたらすコストの差を解消すべく、生産プロセスの完全自動化の実現を目指すことです。

二つ目は、コモディティ化(*)したマーケットから脱却した、3Dテレビなど新しいマーケットの開拓です。

こうした取り組みは消費者の新しい需要を喚起するだけでなく、新たな労働市場を生み出します。

 

コモディティとは、ある一定の商品カテゴリーの中で、機能や品質による差異が減少し、 商品価値が普遍化、汎用化されることを指します。

また、そのように市場が変化していくことを「コモディティ化」とも呼びます。

 

しかし、こうした流れを突き詰めていくと、一部の高度なスキルを持ち合わせる技術者を除いて、労働市場は縮小してきます。

ですから、やはりベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.4376 30、40代「貯金ゼロ」が23%!)のような制度も並行して導入していくことが求められます。


 
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