2020年01月19日
No.4542ちょっと一休み その704 『アフリカ以外で最古のヒトの化石発見』

ちょっと古い記事ですが、昨年7月11日(木)付けネットニュース(こちらを参照)でアフリカ以外で最古のヒトの化石発見について取り上げていたのでご紹介します。 

 

ギリシャの洞窟で発見された頭蓋骨の化石を分析した結果、アフリカ以外で見つかった中では最古となる21万年前の現生人類(ヒト)の骨であることが分かったとの研究結果が昨年7月10日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表されました。

これまで考えられていた人類の欧州到達時期を15万年以上さかのぼることとなります。

 

ヒトのユーラシア大陸進出についての通説を覆すこの驚くべき発見はまた、現生人類ホモ・サピエンスが数万年かけてアフリカ以外への移住を何度も試み、時には成功しないこともあったとの説を裏付けるものです。

 

欧州の南東部は長い間、現生人類がアフリカから移動した際の主要経路となったと考えられてきましたが、これまでユーラシア大陸で見つかったヒトの最古の痕跡は約5万年前のものでした。

ただ、初期人類のネアンデルタール(Neanderthal)人が太古の昔からユーラシア大陸全土に存在していたことを示す発見は複数ありました。

 

ギリシャの洞窟では1970年代、損傷のひどい頭蓋骨の化石2つが発見され、いずれも当時はネアンデルタール人のものと特定されました。

国際研究チームは今回、これらの頭蓋骨を最先端のコンピューターモデリングとウラン年代測法を用いて再調査しました。

 

2つの頭蓋骨は発見場所となった洞窟の名前にちなんで「Apidima 1」「Apidima 2」と名付けられました。

このうち、「Apidima 2」は17万年前のネアンデルタール人のものと特定されました。

しかし驚くべきことに、もう一つの「Apidima 1」はそれよりも最大で4万年ほど前のホモ・サピエンスと特定されたというのです。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した、ギリシャの洞窟で発見された2つの頭蓋骨の化石は古代の人類の歴史の定説を塗り替えるものです。

過去の歴史は、発掘調査や現存する文書、あるいは建物などにより推定されます。

今回ご紹介した2つの頭蓋骨の化石は発掘調査によるものです。

こうした発見は歴史上の事実として疑いなく受け止めることが出来ます。

しかし、公式な歴史文書と言われるものは時の政権の意向が色濃く反映され、政権にとって都合のいい事実は強調され、“不都合な真実”には触れないということがあり得るのです。

更に、学校で習う歴史の教科書は時の政権の意向次第で記述内容が新たに追加されたり、削除されたりし得るのです。

同様に、歴史学者もその学者の価値観により、一部の事実を強調したり、無視したりすることもあり得るのです。

また、歴史に係わった人物が生存していれば、その方が係わった事実を公表することによって、新たな真実が表に出て来ることもあるのです。

しかし、その内容でさえ、その方にとって“不都合な真実”は隠されることはあり得るのです。

 

こうしてみてくると、歴史とは様々な記録や関係者の発言の積み重ねのうちの断片をもとに歴史の記録者が時の政権の意向をくんだり、本人の価値観を反映したうえで、何が真実かを追求した結果を記録したものと言えます。

ですから、歴史は事実として固定されたものではなく、時代とともに塗り替えられ、変動しうるのです。

 

ということで、歴史を学ぶうえで、こうした冷めた目を常に持ち続けることの必要性を感じた次第です。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています