2020年01月15日
アイデアよもやま話 No.4539 体温を無駄にしない”体温発電器”!

これまでいろいろな発電装置についてご紹介してきました。

そして、再生可能エネルギーの1つ、温度差による発電については、アイデアよもやま話 No.3718 夢の海中都市 その2 深海資源の活用!で大規模な温度差発電についてお伝えしてきました。

そうした中、昨年9月9日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で微弱な”体温発電器”について取り上げていたのでご紹介します。

 

体温の熱を電気に変えるのに使う装置、チップの下には冷却シートが敷いてあるのです。

およそ36℃の指と20℃の冷却シートの温度差で発電するのです。

更にこのチップを入れた装置にLEDライトをつないでみると光ります。

 

では、どうやって電気をつくるのでしょうか。

この装置を開発した物質・材料研究機構の高際 良樹主任研究員は次のようにおっしゃっています。

「通常、電子は温度が高い方から低い方に流れます。」

「その時に電気が生まれるんです。」

 

わずか5℃の温度差で発電するこの装置、80℃のお湯を載せると、温度差が大きくなり、発電量も大きくなります。

実はこの発電器、ありふれた材料だけで作られているのが大きな特徴なのです。

高際さんは次のようにおっしゃっています。

「シリコンとアルミニウム、鉄、我々の身近な元素だけで出来ているんです。」

「低コストのものが世の中に出せることが出来ました。」

 

今後はGPS付きリストバンドにこの発電器を埋め込むことで、いつでも居場所が分かるような商品へ応用したいということです。

高際さんは次のようにおっしゃっています。

「例えば見回り用のセンサーなど、老人介護や子どもの身の安全を見守るための製品化に使われるということを目指しています。」

 

他にも、この発電器で自分の体温で発電しながら使えるようになる日が来るかもしれないといいます。

なお、この温度差発電は既に宇宙空間では使われている発電方法なのですが、材料が高価で環境への負荷も大きかったそうです。

ですが、今回3つの元素だけで出来るようになったので、低コストで一般的な応用がどんどんし易くなっていくということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した、人の体温を利用した温度差による”体温発電器”は発電出力は微弱ですが、今や糜粥な電気でも機能する器機はいろいろあるようです。

高際さんは、GPS付きリストバンドにこの発電器を埋め込むことで見回り用のセンサーなどの製品化への使用を検討されているということですが、人の体温を利用するという観点では、究極の発電装置の一つと言えそうです。

しかも、その原材料は、シリコン、アルミニウム、鉄というありふれた3つの元素だけというのですから、低コスト化が図られると期待出来ます。

どんなに素晴らしい発電装置でも投資効果が低ければ、あるいは安全面で問題を抱えていては普及は望めません。

 

なお、微小な電力の活用については、既に小さな太陽光パネルを搭載した腕時計や卓上計算機などでかなり普及しています。

しかし、太陽光パネルの使用ではある程度の量の光が当たらなくては発電出来ません。

一方、”体温発電器”では光が当たらなくても、人の皮膚に接していさえすれば、微弱ではあっても発電することが出来ます。

ですから、用途による使い方の住み分けを適切に行うことによって、よりきめ細かい効果的な再生可能エネルギーによる発電の普及を目指すことが出来るのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています