2020年01月11日
プロジェクト管理と日常生活 No.622 『”世界平和”という一点だけでつながる世界的な国民運動の必要性』

年明け早々、1月3日に発生したアメリカ軍によるイランの精鋭部隊の司令官殺害は世界に大きな衝撃を与えています。

そこでまず1月6日(月)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)を通してこの事件についてご紹介します。

 

アメリカとイランの対立は今年の国際情勢を見るうえで、最大の不安定要因になっています。

今年初めての取り引きとなった東京株式市場は一時500円以上値下がりし、アジアを始め世界100ヵ国の株価が軒並み下落しています。

 

アメリカによるイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の殺害を受け、今後イランが報復に出て、本格的な軍事衝突につながるのではないかとの懸念が一気に高まっています。

今回の攻撃についてアメリカ政府は、ソレイマニ司令官はイラクや周辺地域でアメリカの外交官や軍人を攻撃する計画を進めていた、それを防ぐために行ったと正当性を主張しています。

 

これに対し、イランの最高指導者、ハメネイ師は、「犯罪者には厳しい報復が待ち受けている」として、アメリカに対し断固として報復する考えを示しています。

ソレイマニ司令官はイランの最高指導者直属の精鋭部隊、革命防衛隊の傘下にあるエリート部隊「コッズ部隊」で対外工作を行う責任者でした。

シリアやイラク、レバノンを始め、イランの海外での影響力を高める重要な役割を果たしてきました。

イラン国内でも英雄として人気が高い、ソレイマニ司令官の殺害はアメリカで言えばCIA長官かそれ以上の重要閣僚が暗殺されたと同じ意味を持つと言えるでしょう。

 

トランプ大統領としては、昨年末からイラクでアメリカ軍やその関係者がイランの指示を受けた民兵組織からと見られる攻撃を受けたことなどから、これ以上アメリカ軍に被害が広がればアメリカ国民から弱腰と見られかねないとして攻撃を決断したものと見られます。

ただトランプ大統領は同時に戦争を始めるために行動を起こしたのではないと述べ、イランと本格的な軍事衝突に進むことは避けたいという考えをにじませています。

昨年末にイランとともに周辺の海域で合同軍事演習を行ったロシアと中国は早速アメリカの行動を非難してイランを支持する姿勢を明確にしました。

ヨーロッパ各国は、アメリカとイラン双方に緊張緩和、自制を求める声明を相次いで発表しています。

安倍総理大臣も1月3日の会見で、全ての関係者に緊張緩和のため外交努力を尽くすことを求めると述べて、日本ならではの外交を粘り強く展開する考えを示しました。

 

しかし、精鋭部隊のトップが殺害されたイランは軍事力では圧倒的に優位なアメリカとの全面的な戦争は避けつつも、国家の意志としてアメリカに報復したことを明確に示すために最も効果的な場所や目標を選んでアメリカ軍や関係者を狙い、攻撃に出るタイミングを探るものと見られます。

 

これに対し、トランプ大統領もイランが報復に出れば52ヵ所のイラン関連施設を攻撃すると強くけん制し、双方の応酬が続いています。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

これまで世界中のどこかの国や地域でテロによる攻撃や紛争が絶えませんが、今回の事件をきっけに第三次世界大戦が起きないという保障はありません。

また、この事件以外にも米中の覇権争いからも目が離せません。(参照:アイデアよもやま話 No.4477 米中の覇権争いは宇宙へ!

更にアメリカ、ロシア、中国という3大軍事大国を中心に北朝鮮など一部の国は軍事力増強にまい進しています。

しかも軍事力の行使範囲は宇宙空間にまで広がっています。

ですから、軍拡競争は質の向上、量の増強、行使範囲の拡大が同時進行で進んでいるのです。

そして、アメリカをはじめとする自由主義陣営とロシア、中国をはじめ非自由主義陣営という具合に世界各国は大きく2つの陣営に旗色が明らかになってきています。

更に、米中間の覇権争いは軍事のみならず、貿易・経済においても進行中です。

そうした中で、3ヵ国の軍隊の幹部がそれぞれ第三次世界大戦が近い未来に起こると公の場で発言している状況はとても不気味に感じます。

 

さて、第三次世界大戦の阻止は地球温暖化の阻止以上に人類の存続に係わる大変大きな課題です。

ウィキペディアによると、第三次世界に発展する可能性があった事件はこれまでいくつもありましたが、今回の事件を受けて“第三次世界大戦”というとても物騒な言葉を見聞きすることが多くなっています。

こうした中、私なりにプロジェクト管理と日常生活 No.371 『世界的な平和憲法の普及こそが究極の戦争勃発のリスク対応策』で全ての国が平和憲法を掲げることこそが戦争勃発の究極のリスク対応策であるとお伝えしました。

今回は世界的な平和の維持に向けたもう一つの大事な取り組みについて、私の思うところをお伝えします。

 

世界平和の最後の砦は、各国首脳の動きとは独立した各国の国民の戦争反対という強い意思の表明、および連帯です。

以前にもお伝えしたように、各国の半数以上の国民が戦争反対を断固として表明し続け、各国のより多くの国民が”世界平和”という一点だけでつながる世界的な国民運動を展開することの必要性をとても感じます。

大量破壊兵器の所有、あるいは新たな開発の阻止、更には使用の禁止、および既存の大量破壊兵器の廃棄に向けて、声を大にして行動を起こすのです。

具体的には、以下のような行動が必要だと思います。

・国政選挙では前述の大量破壊兵器の所有などの放棄を公約として掲げる政党や政治家に投票すること

・世界中の投資機関に大量破壊兵器の研究開発に取り組む企業への投資を控えるように訴えること

・国連などの世界的な組織に前述の大量破壊兵器の所有などの放棄を訴え続けること

・既に“国際平和デー”が毎年9月21日に設定されていますが、この日に世界的な規模で集会や講演会などのイベントを開催すること

 

さて、こうした活動を進めるにあたって参考になるのは地球温暖化阻止に向けた取り組みです。

昨年来、スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんがたった一人で毎週金曜日に学校を休んでストライキを続け、大人たちに本気の対策を要求、世界中の若者たちを動かし、賛同の波が広がっています。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.611 『私たちが思っているよりも緊迫化している地球温暖化リスク その1 16歳の少女の訴えが世界を動かす!?』

 

世代の枠を超えて、世界中の平和をこよなく愛する人たちが連帯して、戦争や紛争の阻止に向けた取り組みを進めれば、間違いなく第三次世界大戦のみならず世界平和は維持出来るのです。

なぜならば、これまで何度となくお伝えしてきたようにいかなる国の指導者も国民の多くの声を無視し続けることは出来ないからです。(参照:アイデアよもやま話 No.4477 米中の覇権争いは宇宙へ!


 
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