昨年9月3日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で大手予備校での授業へのAIの本格導入について取り上げていたのでご紹介します。
大学受験の大手、駿台予備学校(駿台)が授業にAI(人工知能)を本格導入することを明らかにしました。
全国37ヵ所に校舎を構える駿台、黒板の前で講師が教えるのが基本ですが、駿河台学園の山畔
清明専務理事は次のようにおっしゃっています。
「基本はライブ(通常授業)とAI教材というかたちで来年度(2020年)から順次計画的に導入していていこうと。」
駿台は2018年、AI教材を試験的に導入、通常の授業だけよりAI教材を使った生徒の方が偏差値の伸びが平均2.89ポイント高かったのを受け、本格導入を決めたといいます。
このAI教材を開発したのがベンチャー企業、アタマプラス株式会社(東京都中央区)で、稲田
大輔社長は次のようにおっしゃっています。
「ほとんどの子がどこが分かってないかを分かっていない。」
問題を解く速さや間違いの傾向などから「弱点」がどこにあるかをAIが分析し、生徒一人ひとりに合わせたカリキュラムを自動で提案します。
駿台は今後アタマプラスと協力して難関大学対策のAI教材をつくる計画です。
山畔専務理事は次のようにおっしゃっています。
「いろんな層にマッチした、効果が出る教材になり得るわけなので、いろいろ地方の生徒の底上げも図ってまいりたいなと・・・」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
実は、アタマプラスによるAI教材の開発については、以前アイデアよもやま話 No.4240 AIによる勉強革命!でご紹介しました。
また、AIの家庭教師としての活用については、アイデアよもやま話 No.3049 人工知能が家庭教師に!でご紹介しました。
ですから、AIによる学習については既に何年か前から取り組みが始まっているのです。
ここであらためてこうした事例をもとに学校教育や家庭教師、予備校を問わず、理想的な学習プロセスを以下にまとめてみました。
学習内容を理解する
理解度を評価する
理解度の評価に基づき、弱点を補う学習する
再度、弱点を克服出来たかを評価する
こうしたプロセスの繰り返しの中で、個々人に合った学習教材を作成する
こうしてまとめてみると、一人の教師が個々の生徒に対してこのような学習プロセスに沿って教えるのは時間的にほぼ不可能です。
また、評価テストの採点にしても、それなりの時間を要します。
一方、AIは無制限と言えるような人数の生徒に対して、ビッグデータを活用して個別のより相応しい内容の学習教材を提供出来、上記の一連のプロセスを実施することが出来ます。
しかも、評価テストの採点はリアルタイムで結果を出せます。
更に、理解度の進展により、どんどん学習教材の内容を進化させることも出来るのです。
しかし一方で、AIにも限界があります。
それは、文章形式での回答を求める問題の理解度の判断や生徒のやる気を起こさせるような課題の解決です。
また、教師は授業以外にもいろいろとやることが多く、結果として残業時間がとても多いと言われています。(参照:アイデアよもやま話 No.4287 教員にも必要な「働き方改革」!)
それに、従来の学校や予備校の授業では、学習教材が一律であったり、先生によって教え方が異なったりと、必ずしも個々の生徒にとって最善の教え方が用意されているとは言えません。
ですから、割り切って言えば、AIでカバー出来る範囲は、全てAIを活用した学習に移行し、それ以外についてはFace
to Faceであたかも家庭教師のように個々の生徒に接していくという方式に変えるべきだと思うのです。
では具体的な事例があるのかと言えば、あるのです。
以前ご紹介した千代田区立麹町中学校の学習方式
(参照:アイデアよもやま話 No.4501 千代田区立麹町中学校の革新的教育!)を是非参考にしていただきたいと思います。