2020年01月07日
アイデアよもやま話 No.4532 日本企業の手元現金が過去最高!

昨年9月3日(火)付けネットニュース(こちらを参照)で日本企業の手元現金が過去最高であると伝えていたのでご紹介します。

 

アメリカの大手総合情報サービス会社、ブルームバーグ)によれば、日本中の銀行には合わせると、大半の国の国内総生産(GDP)を上回る巨額の資金の山が存在するといいます。

日本企業の現金準備です。

一部の企業にとっては強さの証(あか)しですが、多くには機会の無駄にほかならなりません。

 

最新の届け出に基づく日本の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグのデータによれば過去最高です。

安倍首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、3倍余りに膨らんでいます。

 

企業にとって現金は逆境に備えるクッションですが、投資家は成長に向けた投資に回すか、株主に還元すべきだと考えています。

安倍首相は、企業が資金を銀行に滞留させるのではなく、生産的に活用するよう促すコーポレートガバナンス(企業統治)改革を実施しました。

 

この改革の成果として、新規則が導入された2014年以降、企業は株主還元を増やしています。

しかし、ある専門家は株主への還元額は少なすぎると見ています。

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ある専門家はこうした現状について、用心深過ぎる最高経営責任者(CEO)たちが不必要なほど多くの現金を保持しているというだけでは説明できないといいます。

手元現金の増加は利益増大の結果だといいます。

TOPIX構成企業の昨年今年4−6月期の1株利益は2012年10−12月期に比べ80%増えていたことが、ブルームバーグのデータで示されているのです。

ゴールドマン・サックス・グループの試算によれば、日本の上場企業の自社株買いは2018年に発表ベースで約600億ドル(約6兆3700億円)に達しました。

配当支払いも2019年にこれまでに8兆4000億円と過去最高に上っています。

それでも批評家らは日本企業が資金を十分に活用していないと指摘しています。

例えば、ブルームバーグのデータによれば、日本の上場企業が昨年発表した企業の合併・買収(M&A)の総額は約950億ドルと、一昨年同期の約2150億ドルを下回っています。

 

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

記事を通して思うのは、前回もお伝えしたように既存のビジネスと最新テクノロジーとを組み合わせた新たなビジネス、すなわち“xxテック”の必要性です。

GAFA(参照:アイデアよもやま話 No.4485 脱「日本型雇用」の波!)に代表されるように、この“xxテック”をうまくビジネスに取り入れた企業が短期間のうちに既存企業に取って代わる存在になり得るのです。

それだけ今進行中のテクノロジー革命は既存ビジネスを破壊するほどのパワーを持っているのです。

 

ですから、今、日本にとって最も求められるのは、ITやAI、ロボットなどを活用した“xxテック”による革新的なビジネスモデルを創造するベンチャー企業の登場とそこにヒト・モノ・カネの面でサポートする投資機関や既存の企業、そして国や自治体によるこうしたベンチャー企業が動き易い環境づくりだと思うのです。

そうした中、日本企業の手元現金が過去最高というのは、せっかくの莫大な手持ち資金が遊んでいる、とても“もったいない”状況と言わざるを得ません。


 
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