2020年01月03日
アイデアよもやま話 No.4529 今、企業が直面している“イノベンチャーのジレンマ”!

前回、昨年8月30日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通して、元シャープ社員の立ち上げた家電ベンチャーによる“除菌脱臭”関連商品についてご紹介しました。

 

こうしたベンチャー企業の動きについて、番組コメンテーターで大阪大学の安田 洋祐准教授は次のようにおっしゃっていますので、今回はここに着目してご紹介します。

「ズバリ注目している点がありまして、“イノベンチャーのジレンマ”。」

「“イノベーションのジレンマ”とか“イノベーターのジレンマ”は聞いた方がいらっしゃると思います。」

「ハーバードビジネススクールのクリステンセン教授が提唱している考え方で、中々既存の大手企業からイノベーションが出てこないと。」

「まさに今回のカルテックに移られた方もシャープの中では中々新製品を研究開発出来なかったと。」

「それで出ていくところまでがまさに“イノベーションのジレンマ”なんですけど、そこから何が起きたかというとベンチャー企業を自分たちで起こすと。」

「そうなってくると、実際にシャープで起きたことがそうなのか分からないんですけが、既存の企業もライバルが現れると彼らに先を越されてしまっては自分たちの利益が脅かされるということで、ライバルが現れるまでは積極的に新規投資をしなかった既存企業にまた火が点くと。」

「で、結局競争というか、ライバル関係が新たなイノベーションを生み出すと。」

「で、当事者から見ると、利益を少し食い合うかたちになるかもしれないんですけど、今回のように光触媒という新しい技術が生まれて、その知名度が高まり、日本全体の産業力、競争力が強まっていく。」

「こういった“イノベンチャーのジレンマ”を克服してどんどん新しい事業が出て来ることを期待したいですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

“イノベンチャーのジレンマ”とは耳慣れない言葉ですが、この言葉は日本経済の長年の停滞を象徴していると思います。

というのは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた高度経済成長期からバブル崩壊、そしてリーマンショックによる影響、更には“GAFA”(参照:No.4440 ちょっと一休み その687 『ソフトバンクグループの高調にみる産業界の大変動期!』)に象徴される最新テクノロジーを駆使したIT関連ベンチャー企業の急速な台頭を日本の多くの企業は許しており、その大きな要因は “イノベンチャーのジレンマ”にあり、その背景にはかつての成功体験から抜け出しきれないことがあると思うからです。

一方で、最近ようやくアイデアよもやま話 No.4292 大企業からの”逆ラブコール”で新ビジネス!アイデアよもやま話 No.3460 その2 “ひとりメーカー”方式が日本の製造業を救う その2 大手企業で導入が進む“ひとりメーカー”方式!でもお伝えしたように、大企業の中には革新的な技術を持つベンチャー企業との協業や自社内でのベンチャー企業的な組織を立ち上げるところも出てきました。

 

特に、現在のような技術革新の速い時代においては、全ての企業は“過去の成功体験”が命取りになってしまうくらい厳しい環境にさらされているのです。

ですから、以前から言われているように、“生き残るのは強い生物ではなく、うまく環境に適応出来る生物である”ということを企業経営者は常に肝に銘じておくことがとても重要だと思うのです。

 

そういう意味で、これからは新しいテクノロジーに興味を持ち、変化を楽しめる経営者にとっては常にワクワクすることが出来ますが、そうでない経営者にとってはとても経営のかじ取りがしにくい時代だと思うのです。


 
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