8月11日(日)放送の「未来の起源」(TBSテレビ)で光の反射で色を操る革新的な技術について取り上げていたのでご紹介します。
京都大学 iCeMSで私たちの暮らしを豊かにするため研究を行っている特定助教の伊藤 真陽さん(34歳)は次のようにおっしゃっています。
「ポリマー(プラスチックなど)の亀裂をコントロールする研究をしております。」
「亀裂の大きさをコントロールすることによって、光の反射をコントロールすることが出来ます。」
亀裂をコントロールすることで可能になったのが特殊な印刷物です。
インクは使用していないのに、色があるのです。
厚さ1000分の1mmのプラスチックに紫外線を当てる時間、強さを調整することで亀裂の間隔を制御することに成功、亀裂を操り、光の反射で色を生み出すのです。
この技術でペットボトルなどに文字やイラストを直接印刷すれば、色落ちすることもなく、インクを使っていないのでリサイクルがより簡単になると期待されています。
なお、ご自身の研究の原動力について、伊藤さんは次のようにおっしゃっています。
「構造であるとか、新しいものを作りたいという思いがずっとありますので、自分の手で作って生み出したという時にものすごい研究の励みになります。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
一般的な常識として、色を付けるには色鉛筆や絵の具、インクなどを使います。
しかし、今回ご紹介した光の反射で色を操る技術はこうした方法とは全く異なり、色を付ける対象そのものが光の反射で色を生み出すという方法で、まさに革新的と言えます。
この技術をペットボトルなどのプラスチック製品のラベルなどに適用すれば、それだけプラスチックやインクの使用量が削減され、省エネにつながります。
問題は製造コストです。
ですから、製造コスト如何によっては、いろいろな分野にこの技術が適用されると思います。
さて、考えてみたら、自然界には鳥や蝶などの羽の中にはとても鮮やかな模様の色をしており、私たちの目を楽しませてくれる種類があります。
開発者である伊藤さんは意識されているかどうか分かりませんが、この技術は自然界の知恵を応用したものと言えます。(参照:アイデアよもやま話 No.1726 ネイチャー・テクノロジーで究極のエコ社会が実現!?)
ですから、ネイチャー・テクノロジーは、私たちの暮らしを向上するうえで、いろいろなヒントを与えてくれるのです。