2019年12月23日
アイデアよもやま話 No.4519 ”食×テクノロジー”でフードロス削減!

最近、“xxテック”というように、従来のビジネスをテクノロジーの活用により、新たな付加価値をつけることに取り組む企業が増えています。

ちなみに、以下はこれまでご紹介してきた事例です。

アイデアよもやま話 No.3554 フィンテックで変わる私たちの暮らし!

アイデアよもやま話 No.4072 じわじわと企業の注目を集めるスポーツテック!

 

そうした中、8月8日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”食×テクノロジー(フードテック)”による食品ロス(フードロス)削減について取り上げていたのでご紹介します。 

 

「食とテクノロジー」をテーマにしたイベントが8月8日から都内で始まりました。

これまでにない商品やサービスなどとともに、新たなかたちで“フードロス”を無くす動きが生まれていました。

 

食品メーカーや家電メーカー、起業家などをマッチングさせて、新たな食のビジネスをつくるイベント「スマートキッチン・サミット・ジャパン2019」、注目を集めていたのはパナソニックのロボット、ご飯を入れて蓋を閉めます。

ボタンを押すと、あっという間におにぎりの出来上がりです。

開発に2年かかったという「OniRobot」の技術、まだ製品化されていませんが、来年の実用化を目指すといいます。

 

出品しているのは大手企業だけではありません。

HenoHeno(ヘノヘノ: ハワイ語で「愛らしい」という意味)を展開するデイブレイク株式会社では、規格外や傷がつくなどして、流通に乗らない廃棄予定の果物を特殊な冷凍技術で凍らせたものを販売しています。

社長の宮口 祐太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「フードロスの果物を1万トン無くすという目標を掲げております。」

 

一方、スナックル(スナックル: 美味しいスナックを提供したり、オフィスでの間食(おやつ)習慣を変えることにより、働く人々のパフォーマンス向上を実現すること)を展開している株式会社テオーリアではお菓子のフードロス対策に取り組んでいます。

テオーリアの金子 隆耶さんは次のようにおっしゃっています。

「フードロスの商品を活用して、企業の健康経営をサポートする置き菓子のサービスをやっています。」

 

オーガニックにこだわった置き菓子には、仕入れにある秘密がありました。

金子さんはオーガニック食品のメーカー、株式会社ビオクラ食品本社(東京都渋谷区)を訪ねました。

こちらのメーカーでは、2月からスナックルに賞味期限切れが迫ったお菓子を格安で提供しています。

スナックルと組む前は、こうしたお菓子は半年に一度まとめて廃棄していました。

ビオクラ食品本社の小江 奈美さんは次のようにおっしゃっています。

「廃棄というかたちではなくて、本当に誰かが喜んで召し上がっていただけるなら、安くお出しして、引き取ってくれるので大変助かっています。」

 

ウエルスナビ株式会社(東京都渋谷区)は7月から置き菓子のスナックルを導入、添加物を使っていないチョコレートは定価378円が294円、国産大豆で作った大豆チップスは定価197円が154円と、全ては2〜3割引きで売られています。

買い方はQRコードを使ったキャッシュレス決済です。

社員にフードロスの趣旨は伝わっていませんでしたが、月に1万円以上売れていて、好評のようです。

 

スナックルを導入している企業は現在15社と、まだビジネスとしては赤字ですが、来年末の黒字化を目指します。

テオーリアの社長、小島 丈司さんは次のようにおっしゃっています。

「ゼロになるのは遠い未来のことだと思いますけども、(フードロスの)削減に少しでも貢献出来るように、我々が提供している健康・ヘルシー・オーガニックの領域でフードロスを少しでも減らしていくということを日々考えて活動しています。」

 

フードロス対策は今世界的に重要なテーマになっていますが、広げていくポイントについて、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄教授は次のようにおっしゃっています。

「私、キーワードがあると思っていまして、“ギルトフリー(罪悪感なし)”がポイントだと思うんですね。」

「これ2重の意味がありまして、1つはフードロス問題なんですね。」

「我々、社会に何となく罪悪感を持っているわけですよ。」

「ですから、そこが解消されるということで罪悪感が減らせると。」

「そして、もう一つはオフィスに食べ物を置こうというサービスが増えて来ているんですけど、オフィスに置くとどうしても日持ちする必要があるんですよね。」

「ですから、結果的に添加物が入っているものとか、糖分の多く入ったお菓子を置かざるを得なくて、そうすると健康にどうなんだろうと、自分への罪悪感があるわけですよ。」

「そうすると、そこに最新のテクノロジーが入ることで新鮮な果物なんかを最先端の技術で凍らせて長い間置くことが出来るみないなことが出来ると、健康に良いということで自分への罪悪感も無くせる。」

「この2重の“ギルトフリー”ということで、今これが大きなビジネスになりそうだと、海外ではベンチャー企業がどんどん参入していますね。」

「ですから先ほどのビデオの企業もそういった会社の一部だということですね。」

「(そのためにはやはり最新技術、フードテックが欠かせないという指摘に対して、)ということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今、地球環境問題、あるいはエネルギー問題の観点から“フードロス”や“省エネ”が大きなキーワードになっています。

そうした中、今回ご紹介した、規格外や傷がつくなど流通に乗らない廃棄予定の果物の商品化、あるいは賞味期限の近づいたヘルシー・オーガニックなお菓子の低価格販売は“フードテック”によるフードロス削減の取り組みの事例です。

 

こうした取り組みのキーワードとして、 “ギルトフリー(罪悪感なし)”があり、そこにはフードロス、そして自分への健康を害する罪悪感という2つの意味があると入山教授はおっしゃっています。

確かにこれまでフードロスと言えば、賞味期限切れの食品廃棄を指しており、ここに世間の注目が集まっていましたが、“フードテック”という枠組みに広げて一人ひとりの健康に配慮した食品の提供という取り組みを加えることにより、本来の食文化を実現出来ると思うのです。


 
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