2019年12月01日
No.4500 ちょっと一休み その697 『作家、堺屋太一さんの金言』

6月29日(土)放送の「あの人に会いたい」(NHK総合テレビ)で作家、堺屋 太一さんについて取り上げていました。

そこで、番組を通して堺屋さんの金言を中心にご紹介します。

 

作家、堺屋 太一さん(2019年 83歳没)は近未来を予測した小説で知られ、戦後ベビーブーム世代を描いた「団塊の世代」は時代を象徴する流行語にもなりました。

独自の視点で歴史小説も執筆、「峠の群像」と「秀吉」はNHKの大河ドラマの原作にもなりました。

1998年には経済企画庁長官に就任するなど、幅広い分野で活躍しました。

1991年に放送された「NHKスペシャル ヒト不足社会」(NHK総合テレビ)では次のようにおっしゃっています。

「本当に大事なのは何かというと、人間が幸せに暮らせるかどうかということなんですね。」

「では、幸せとは一体何かというと、一番したい仕事をして、したい消費生活が出来る状態なんです。」

 

また、堺屋さんは次のようにおっしゃっています。

「全ては子どものような夢から始まる。」

「この子どものような夢を見ないと、人生はつまらないんじゃないか。」

「これを実現していくことが人生にとって一番の楽しみだと思うんです。」

 

「人生での豊かさとか成功とかというのは、いろんな尺度がある。」

「会社の中で昇進し、高い地位につくだけではなく、いろんな成功の基準があると思うんですね。」

「人生での豊かさは無限に追求出来るんじゃないかと思いますね。」

 

さて、堺屋さんの子どもの頃の夢は建築家になることでした。

きっかけは終戦直後、大阪で開かれた復興大博覧会(1948年開催)でした。

焼け跡に建てられた近代的な展示会や住宅が博覧会終了後に廃却され、そのまま新しい町になるというユニークなイベントでした。

最大の呼び物は白黒テレビでした。

それよりも堺屋さんが興味を持ったのは、博覧会の会場配置でした。

堺屋さんは翌日から方眼紙に様々な博覧会を想定して、展示館や造園や通路を描いたりして空想を膨らませました。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

ご紹介した堺屋さんの金言を私なりに以下に整理してみました。

・子どものような夢を実現していくことが人生にとって一番の楽しみであること

・この夢を実現出来るような仕事に就き、自分の望む消費生活を送るような人生こそ、人間の幸せにつながること

・人生の豊かさにはいろんな基準があり、必ずしも会社の中での昇進や高い地位につくことだけではないこと

 

こうしてまとめてみると、人生の幸せ、あるいは豊かさにとって大切なことは、煎じ詰めればまず夢を持つことが一番の出発点だと思うのです。

そして、この夢を持てるかどうか、そしてどんな夢を持てるかは、子どもから大人になる過程での体験にとても左右されます。

ですから、親や学校の先生、身近な人たちとの様々な触れ合い、あるいは読書や映画鑑賞などがとても大切なのです。

 

また現実には、自分の夢をかなえたい仕事が必ずしも高収入につながるとは限りません。

しかし、仮に億万長者になるほどの高給取りになったとしても、その仕事に全く楽しさや面白さを感じなければ、豊かな人生とは言えません。

ですから、現実に自分が仕事を選択する際には、夢の実現と収入の高さとのはざまで葛藤が起きるのが一般的だと思います。

それでも、やはり若い人たちだけでなく、より多くの人たちに夢の実現につながる仕事に就くことを前提に、その仕事の枠内で創意工夫をして収入を上げる方向で、本来自分のやりたい仕事に取り組んで欲しいと思います。

 

なお、堺屋さんの残した業績の一つに、大阪万博のプロデュースがありますが、この原点は子どもの頃の体験にあったのです。

そして、大阪万博という夢の実現に向けて様々な工夫を凝らしたといいます。

ですから、その人の人生を決定するうえで、子どもの頃の体験はとても大切なのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています