2019年10月26日
プロジェクト管理と日常生活 No.612 『私たちが思っているよりも緊迫化している地球温暖化リスク その2 本格的に動き出した企業による地球温暖化対策!』

前々回、プロジェクト管理と日常生活 No.610 『地球温暖化で食糧供給が不安定に』で食糧供給の観点から地球温暖化のリスクについてお伝えしました。

そうした中、9月26日(木)放送の「クローズアップ現代+」(NHK総合テレビ)で16歳の少女、グレタさんが訴え続けてきた地球温暖化の危機(リスク)をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して、私たちが思っているよりも緊迫化している地球温暖化リスクとその対応策について2回に渡ってお伝えします。

2回目は、本格的に動き出した企業による地球温暖化対策についでです。

 

科学者が気温上昇を1.5℃に抑えるために必要だと言っているのは、2030年にCO2の排出量を半分に削減、更に、2050年には実質ゼロにすることです。

そこで大きな鍵を握るのが、世界のCO2の排出量の7割を占めるという企業活動で、グレタさんも、具体的な行動をとるよう企業にたびたび求めてきました。

 

世界の経済人が集まるダボス会議で、グレタさんは次のように訴えています。

「今までの経済的な成功はとんでもない代償を伴ってきたのです。」

「解決策は非常に簡単で、子どもにも理解出来るものです。」

「温室効果ガスの排出を止めればいいのです。」

「やるかやらないか、それだけです。」

 

ビジネス界は具体的な行動を迫られています。

今週(番組放送時点)、世界の主要な銀行のトップが国連本部に集まりました。

日本のメガバンクの姿もありました。

国連のグテーレス事務総長は次のようにおっしゃっています。

「私が最も強くお願いしたいのは、気候変動対策に投資し、化石燃料などへの投資を止めることです。」

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気候変動の影響を考慮しない企業やプロジェクトには、今後、融資を行わないという宣言に署名しました。

BNPパリバ 環境担当責任者のローレンス・ペッセさんは次のようにおっしゃっています。

「銀行はとても大きい影響力を持っています。」

「私たちは来年までに約1兆8千億円を再生可能エネルギーに融資します。」

 

温暖化対策の鍵は、CO2を排出しない再生可能エネルギーへの転換です。

使用する電気をすべて再エネに変えることを目指す「RE100」(「Renewable Energy 100%」の頭文字。2019年2月16日時点で世界全体で164社が加盟。詳細はこちらを参照)という動きが加速しています。

日本でも、製造や流通などの分野から23社が加盟しています。

業種を超えて温暖化対策の最新情報を共有しようと、定期的に会合を開いています。

この日は冒頭、グレタさんの次のスピーチに耳を傾けました。

「私たちは温室効果ガスの排出を止めなければなりません。」

「止めるか、止めないかです。」

「1.5℃の温暖化を止めるか、止めないかです。」

 

世界の空気が変わりつつあることを実感しているといいます。

ソニーのある担当者は次のようにおっしゃっています。

「海外の事業所からは、周りはもうみんな(再エネを)入れているよ、なんで日本はやらないのという感じで言われていて。」

「皆様の知恵も借りながら、日本で再エネを増やしていきたいなと。」

 

2040年までに再エネ100%を達成すると宣言したソニー、半導体を生産する主力の熊本工場では屋上に太陽光パネルを設置するなど取り組みを強化しました。

しかし、膨大な電力を賄うにはとても足りません。

そのため、グループ内で再エネを融通する新たな取り組みを始めました。

電気の使用量が少ない関連会社の倉庫の屋上にも太陽光パネル7000枚を設置、余った電気を既存の電線を通して必要とする生産工場に送って使用します。

今回、電力会社と共同で初めて実現させました。

ソニー執行役員の佐藤 裕之さんは次のようにおっしゃっています。

「グローバルでビジネスをやっている企業は今、気候変動対応とかっていうのが非常に求められているものであって、こういったものを避けては通れない世の中になってきている。」

 

日本の総電力の約1%、実に原発1基分の電力を消費する流通最大手のイオンが昨年「RE100」に加盟した背景の1つに、豪雨や台風など、相次ぐ異常気象への危機感があります。

イオンのある方は会議の場で次のようにおっしゃっています。

「去年2018年度、我々イオングループはこうした災害によって約72億円の損失を受けています。」

「(福岡県)小郡店はこの間の台風で、2年連続こういう状況になっている。」

 

2050年までに脱炭素を目指し、再エネの割合を増やしていこうとしています。

しかし、日本の発電に占める再エネの割合はおよそ16%、2030年度の目標も22〜24%と、海外に比べはるかに低いのが実情です。

イオンでは、店舗の壁一面に太陽光パネルを設置、更に電力会社と協力して新たな取り組みを始めました。

着目したのは個人の住宅で発電した再エネ、それを買い取り、買い物に使えるポイントで還元しようというのです。

イオンの執行役、三宅 香さんは次のようにおっしゃっています。

「再エネが欲しいんです。」

「普通に買っている電気だと、再エネ率がやっぱり低いんですよね。」

「なので、それを変えていかなきゃいけない。」

 

RE100に加盟する企業は、国に対して対策を強化するよう訴えています。

リコーの担当者は次のようにおっしゃっています。

「2030年時点の日本の電源構成、再エネ比率を50%にすべきである。」

 

イオンの執行役、三宅さんは次のようにおっしゃっています。

「他の国がみんな100って言っている時に、私たち30でいいですって言ったら負けるだけの話なので、そこの目標が変わったら、やっぱりそれを達成するためにみんなが動くんですよ。」

「当然、仕組みも、いろんな、何でも全部。」

 

再生可能エネルギーの導入ですが、日本は現状も、将来の目標も、各国に比べて低くなっています。

国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長の江守正多さんは次のようにおっしゃっています。

「(資源の乏しい日本は再エネだけでなく多様な手段で電源を確保しなければならないことが課題だと思うが、科学者としてどう捉えているかという問いに対して、)勿論それはすごく大事なことです。」

「しかし、同時に日本も2050年までに排出量80%、少なくとも削減することを既に目標にしているんですね。」

「しかしながら現在、石炭火力の計画というのがまだあると。」

「これは、2050年に80%削減するんだったら、非常に全力で減らしていかないといけないということと整合しないと思います。」

「再生可能エネルギー、太陽、風力は今、コストがどんどん下がって、世界では火力発電とか原発を新設するより、太陽、風力の方がずっと安いというのが増えてきているので、日本でも大量導入をより本格的に目指すべきだと思います。」

 

一方、市民一人一人は何をすべきかについて、宮さんは次のようにおっしゃっています。

「まず企業を選ぶことが挙げられるかなと思います。」

「私は今年の2月にスウェーデンに旅行に行ってきたんですが、現地で大企業が当然のように再エネに取り組んでいたり、生ごみのバイオガスで公共交通機関を走らせていたりとか、小さなスーパーでも省エネに取り組んでいる姿が見受けられました。」

「このように、1人の消費者として脱炭素に取り組む企業を支持することが大事だと思います。」

「消費者として企業を選ぶだけでなく、その他に市民として自治体に訴えることも出来ると思います。」

「というのも、私たちFridays For Futureは、気候非常事態宣言というものを東京都に先日提出してきました。」

「気候非常事態宣言というものは、気候変動を最大の脅威ととらえ、政策的に取り組むべき最優先の事項であると議会に宣言することを指します。」

「現在、世界では1000以上の自治体が提出していますが、日本では昨日、長崎県の壱岐市が宣言しているにとどまっていて、2050年CO2ゼロ目標を既に掲げている東京都も、こうした世界の潮流に遅れず、宣言を出すことが必要だと考えています。」

 

今の豊かさを失わずにこの難しい課題に挑戦していくためには何が出来るかについて、江守さんは次のようにおっしゃっています。

「どうしてもCO2を減らせと言われると、なんか不便なことをしろと、我慢をしろと言われている気がするわけですね。」

「しかしながら、やはり個人で我慢をする問題というよりは、これは最終的にはシステムを変えると。」

「例えば、エネルギーの作り方を変えると。」

「必要なエネルギーはもちろん使っていいんです。」

「しかし、そのエネルギーを作る時にCO2を出さないやり方で、すべてのエネルギーを作れるようになればいいと。」

「これは今の常識から考えると、非常にハードルが高いことなわけですが、これから技術の開発、いわゆるイノベーションを含めて、社会の変化も含めて、いろんなことが起こっていくと。」

「その中で、CO2排出ゼロというのを明確に目指していくのが非常に大事だと思います。」

 

「(そういった投資をしていくことで同時に成長可能なのかという問いに対して、)これから、むしろ企業はCO2をなるべく出さない、あるいはCO2を出さないことに貢献するような企業こそが評価されて、そして成長していくと。そういう時代になっていくと思います。」

 

番組の最後に、キャスターの武田さんは次のようにおっしゃっています。

「最後に、グレタさんのこの言葉をかみしめたいと思います。」

 

「あなた方が好むと好まざるとにかかわらず、世界は目を覚ましており、変化はやってきています。」

 

「一人一人がどう行動するかが問われていると思います。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

世界の経済人が集まるダボス会議で、グレタさんが訴えていたように、経済界、産業界はこれまで地球温暖化、あるいは環境破壊といった大きな代償を払って経済を成長させてきたのです。

 

世界の主要な銀行のトップが国連本部に集まる中、国連のグテーレス事務総長は、気候変動対策に投資し、化石燃料などへの投資を止めるように要請しました。

そして、気候変動の影響を考慮しない企業やプロジェクトには、今後、融資を行わないという宣言に署名しました。

この宣言は、世界的な再生可能エネルギーの推進に向けて、ビジネス界への融資というかたちでとても有効だと思います。

実際に、アイデアよもやま話 No.4457 再生可能エネルギー革命を先取りする投資マネー!でもお伝えしたように、世界の投資マネーはこうした動きを先取りしているのです。

 

また、使用する電気をすべて再エネに変えることを目指すべく、2014年に発足した「RE100」も動きも加速しているといいます。

参加企業のソニーは、2040年までに再エネ100%を達成すると宣言しました。

半導体を生産する主力の熊本工場では屋上に太陽光パネルを設置するなど取り組みを強化し、電気の使用量が少ない関連会社の倉庫の屋上にも太陽光パネル7000枚を設置し、余った電気を既存の電線を通して必要とする生産工場に送って使用するといいます。

 

一方、日本の総電力の約1%を消費する流通最大手のイオンでは、豪雨や台風など、相次ぐ異常気象への危機感があり、2050年までに脱炭素を目指し、再エネの割合を増やしていこうとしています。

しかし、日本の発電に占める再エネの割合はおよそ16%、2030年度の目標も22〜24%と、海外に比べはるかに低いのが実情です。

イオンでは、店舗の壁一面に太陽光パネルを設置、更に電力会社と協力して新たな取り組みを始めました。

着目したのは個人の住宅で発電した再エネ、それを買い取り、買い物に使えるポイントで還元しようというのです。

この着目ポイントはとても効果的だと思います。

というのは、再生可能エネルギーの高額買い取り制度(FIT)が徐々に10年という期限を迎えつつあり、太陽光発電を導入している一般家庭がFIT終了後の余剰電力の扱いに困り始めているからです。

 

さて、再生可能エネルギーの導入ですが、先ほどもお伝えしたように日本は現状も、将来の目標も、各国に比べて低くなっています。

その元凶は国のエネルギー政策の、再生可能エネルギーの推進に向けての世界的に見て相対的に消極的な姿勢です。

現在もある石炭火力の計画はその象徴と言えます。

一方、江守さんも指摘されているように、再生可能エネルギーは今や火力発電や原発を新設するより低コストになってきているのです。

ですから日本も再生可能エネルギーによる発電の大量導入をより本格的に目指すべきなのです。

そうした中、RE100に加盟する企業が、国に対して対策を強化するように訴えているのは当然のことと思われます。

 

一方、宮さんは、市民一人一人がすべきことについて、脱炭素に取り組む企業を支持すること、そして自治体に脱炭素に向けての取り組みの重要性について訴えることを挙げています。

また、江守さんは、個々人が我慢してCO2排出量を減らすのではなく、CO2の排出量ゼロの目標の明確化、および再生可能エネルギー関連技術のイノベーションの必要性を指摘されております。

 

どうも現政権は、脱炭素化、あるいは再生可能エネルギーへの短期間での大転換よりも既存の電力会社による長期的なソフトランディングに重点を置いたエネルギー政策を目指しているように思えます。

 

しかし、地球温暖化のスピードは私たちが思っているよりもはるかに速いようです。

そして、地球温暖化とともに海水温は上昇し、それに伴い年間の大型台風の発生回数、および一層の大規模化は止まりません。

その結果、災害に伴うコストはうなぎ登りに上がっていくのです。

こうした“見えないけれども確実に発生するコスト”は既に国や地方自治体、企業、そして一般世帯の間で表面化しています。

国や地方自治体の場合は被災世帯への被災支援金、あるいは被災地域の回復費用、企業の場合は売り上げ損失や設備の回復費用、一般世帯の場合は被災した家や家財道具の改修費用、あるいは新規購入です。

今年発生した台風15号や台風19号のような被害、あるいはそれ以上のが今後毎年発生することを想定すると、他の地域への移住も考えざるを得なくなる人たちも多くなると思われます。

 

一方で、地球温暖化対策の柱とも言える再生可能エネルギーは今や世界的に原発や化石燃料よりも低価格になっているのですから、まず国がこうしたことを前提にエネルギー政策の大転換、すなわち、速やかな再生可能エネルギーへのシフトを成し遂げるべく、動いていただきたいと思うのです。

また、企業としてもこれまで再生可能エネルギーのコストは原発や化石燃料に比べて割高だったのが既に状況は変わってきているので、再生可能エネルギーはビジネスにおけるニューフロンティアとなりつつあるのです。

しかも投資マネーも再生可能エネルギーにシフトしているのですから、資金的にも恵まれている状況です。

ですから、より多くの企業が再生可能エネルギー発電に向けて取り組んでいただきたいと願います。


 
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