2019年10月14日
アイデアよもやま話 No.4457 再生可能エネルギー革命を先取りする投資マネー!

6月2日(日)付けネットニュース(こちらを参照)で再生可能エネルギー革命を先取りする投資マネーについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

太陽光発電など再生可能エネルギー(再エネ)への投資が急拡大しています。

2018年に新設された再エネに投資するファンドは世界で427億ドル(約4.7兆円)と前年の約2倍に増えて過去最大となり、火力発電など化石燃料向けファンド(130億ドル)を大差で逆転しました。

再エネはコスト低減が進み、政策の支えなしでもビジネスとして成立するようになってきました。

再エネの本格普及による「エネルギー革命」を利にさとい投資マネーが先取りしているのです。

 

国際エネルギー機関(IEA)によると、事業会社なども含めた再エネ投資の総額は2018年に3040億ドルと前年比で微減となりました。

そのなかでも、ファンド勢の動きはむしろ活発になり、2018年の資金調達額は再エネ投資全体の14%を占めるまでになりました。

太陽光発電などのプロジェクトに資金を投じ、売電収入を得る再エネ投資。貪欲なファンド勢が集まるのは、「もうけ」のにおいを感じ取っているからです。

大量生産や技術革新によるコスト削減の効果が大きく、米投資銀行ラザードによると、太陽光や陸上風力の発電コストは1キロワット時あたり約5円で、ガス火力(約6円)や石炭火力(約11円)を下回ります。

 

米エネルギー省系の研究機関は、風力や太陽光の比率が4〜5に高まれば電力価格は最大4割下がると予測しています。

一方、火力発電所は採算が悪化します。

炭素税が多くの先進国に広がり、ドイツやスペインは再エネを優先し、火力発電の稼働を抑える規制を導入し、アメリカでは石炭火力の稼働率が低下し、閉鎖が相次いでいます。

新興国でも潮目の変化があります。

石炭火力の増設が続く一方で、大気汚染が深刻になり、2018年は世界の再エネの導入量の44%を中国が占め、インドは米国に次ぐ3位になりました。

2030年までに中国とインド、アジア・オセアニア合計でファンドによる再エネへの投資額が6000億ドルを超える可能性があると、米マッキンゼー・アンド・カンパニーは推計しています。 

 

一方、日本の動きは鈍く、三井住友トラスト基礎研究所などによると、再エネのほか、道路なども含めたインフラ投資の残高は2018年3月時点で1兆〜1.5兆円どまりです。

メガソーラーに向く平地が限られるほか、「政府が原発や石炭火力を今後どうするかという議論を避け、再エネ拡大の道筋が見えない」(東京理科大学の橘川武郎教授)ためです。

 

IEAは再エネ普及の見通しを毎年のように上方修正し、直近では世界の電力供給に占めるシェアが「2030年に36%に達する」と見ています。

環境保護の理念に採算改善という現実面の動きがかみ合い、加速し始めた「再エネ革命」、そんな熱気が日本にはあまり伝わってこないのが気がかりです。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

原発コストは安全対策、あるいは核廃棄物の長期保存の費用などの増加で増え続けています。

また化石燃料による火力発電もコスト削減対策は頭打ち状態でこれ以上安くなることはあまり期待出来ません。

一方、再エネの発電コストは大量生産や技術革新によりどんどん安くなってきています。

そこで石炭火力の増設が続く一方で、大気汚染が深刻になり、新興国の中国やインドなどでは再エネの導入が急速に進みつつあるのです。

こうした状況を受けて、利にさとい投資マネーが再エネの本格普及による「エネルギー革命」を先取りしているというわけです。

 

ところが日本ではメガソーラーや風力発電に向く土地が限られたり、政府のエネルギー政策が原発依存を捨てきれない状況にあります。

福島第一原発事故を経験した日本はその後、今も国内の原発の再稼働を目指しています。

しかし、再稼働に反対する地元自治体の声や核廃棄物の保管場所の確保など高いハードルがあります。

しかも今は原発コストとメガソーラーのコストはほぼ同等ですが、メガソーラーの方がいずれ安くなると見込まれているのです。

また、原発メーカーの東芝や日立は原発の海外進出を目指してきましたが、コスト割れなどでその目的は叶えられませんでした。

 

こうした状況を踏まえると、日本政府は速やかに再エネに舵を切るエネルギー政策に転換すべきだと思います。

 

確かに日本の場合、メガソーラーに向く平地が限られるので、山林を削って建設されたメガソーラーをよく見かけることがあります。

こうしたやり方では、エネルギー政策は進んでも、一方で新たな環境問題を生じてしまいます。

ですから、以前もお伝えしたように、エネルギー、環境、経済(コスト)の観点でうまくバランスの取れたエネルギー政策が求められるのです。

そして再エネ施設への投資において資金面で後押ししてくれる大きな柱が投資マネーなのです。

その投資マネーの目を引くためには、やはり低コストの再エネ発電の開発なのです。

 

メガソーラーや風力発電に向く地域が限られる日本ですが、技術大国、日本がどこでも導入出来る低コストの再エネ発電の開発を進め、世界展開出来れば、現政権の進める成長戦略のみならず世界の再エネ導入の推進、経済成長に貢献出来ると思うのです。


 
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