6月3日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でエアコン1台で十分な一戸建てについて取り上げていたのでご紹介します。
暑い日に欠かせないのがエアコンです。
例えば、一般的な一戸建てですと、リビングルームにベッドルーム、子ども部屋と3台以上は各部屋にあるのではないでしょうか。
そうなると電気代もかさみます。
そうした中、このような間取りでもエアコン1台で済んでしまうという省エネの家が人気を集めています。
千葉県浦安市にある30坪の2階建ての戸建て住宅のお宅、2階にあるのは6畳用のエアコン、この1台で家全体の温度を一定に保つことが出来るといいます。
番組が取材した日の屋外の温度は約30℃、一方室内の温度はどの部屋も約25℃〜26℃に保たれています。
この家を建てた株式会社WELLNEST HOME(ウェルネストホーム)の柴山 さゆり社長は次のようにおっしゃっています。
「イメージは魔法瓶みたいな家だと思って下さい。」
熱いものを熱いままに、冷たいものを冷たいもののままに保つ魔法瓶のような構造、キーワードは“高気密、高断熱”です。
例えば、こちらのお宅の窓、三重構造に加え、サッシが樹脂で出来ているため、熱が逃げにくい構造になっています。
他にも壁の厚さは23cmと通常の家の2倍です。
壁の中にはセルロースファイバーと呼ばれる新聞紙を細かく砕き、加工したものを使うことで、外からの熱をシャットダウン出来るといいます。
また熱すぎる空気や寒すぎる空気を吐き出し、心地よい温度で空気を取り込む特殊な換気扇を設置しています。
更にこの家のもう一つの特徴が湿度も均一に保てることです。
そのため、お湯の溜まっているお風呂の蓋、そしてお風呂のドアを開けっ放しにしていても脱衣所の鏡が曇ることはありません。
壁の中のセルロースファイバーが湿気を吸収するので、夏はカビが生えにくく、冬も結露知らずだといいます。
それだけではありません。
1台のエアコンだけで、年間の光熱費は8万円ほどで収まるというのです。
この地域で同規模の家の光熱費は年間で約20万円といいます。
この家ではそれは半分以下になるというのです。
これだけの機能が付いていると、気になるのは価格ですが、一般的な家と比べると高くなります。
こちらの建物の本体価格は約2500万円です。
一般的に同じサイズの住宅は2000万円程度と言われています。
ただ、建物以外に生活をしていくとランニングコストがかかります。
そのランニングコストも含めて30年で見た時にこの住宅の方がかなり安くなると茨山社長は強調します。
住宅の購入後にかかるのが光熱費やメンテナンス費用などのランニングコストです。
年間の光熱費を8万円として単純計算すると約40年で年間の光熱費が20万円の一般の住宅を購入した時と同程度の支出になります。
日本の一般的な住宅の寿命は築後32.1年、それを超えると建て替えや修繕が必要になるといいます。
一方で、ウェルネストホームの住宅は耐用年数が70年以上というので、長い目で見るとトータルのコストは安くなるといいます。
柴山社長は次のようにおっしゃっています。
「(人生100年時代で考えた時に、40歳で家を建てて100歳まで生きるとしたら、もう1回建てないといけないということになりますが、)そう考えた時に、70歳になった時にもう1回ローンを組んで家を建てるのではなくて、初めから60〜70年長持ちする家を提案していきたいって我が社は思っています。」
そもそもヨーロッパでは、100年続く家を建てるということを考えてから家を買うそうなので、素材などにこだわり抜く、お金もかけるといいます。
なので、家が寒いとそれが原因で離婚問題に発展したり、窓のサッシが結露すると訴訟問題になったりだとか、年中家が快適であるということを最も重要視しているといいます。
それで日本にもその考え方を根付かせたいということなのです。
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「日本の夏って夜でも30℃とかあるじゃないですか。」
「熱中症になってしまいますからエアコンは本当に必需品なんですよね。」
「一方で冬なんですけども、大変な問題があるんですよ。」
「ヒートショックで年間に亡くなる方は1万7000人です。」
「交通事故で亡くなる方(年間3532人)と比べてみて下さい。(2018年警視庁調べ)」
「非常に寒暖の問題って命に係わる問題なんですね。」
「ということで、今回紹介された、一言で言えば“高断熱、高気密”ということになるんですけども、そういう家の普及は大きな社会的課題になっている感じがしますね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
地球温暖化は今や世界的に大きな問題になってきつつあります。
その問題解決に向けて徐々に世界的に危機感が広がりつつあります。
そして、大なり小なり対策が実施されていますが、10年単位で見ると地球温暖化の進行を抑えることは期待出来そうもありません。
ですから、異常気象の連続による巨大台風や集中豪雨の発生は、その規模の大きさ、および回数の増加を伴います。
その結果、既に日本各地ではこうした被害の増加が進んでおります。
一方、省エネ、あるいは地球環境への負担を軽減する意識も高まりつつあります。
更に、首都直下型地震や南海トラフ地震の発生も取りざたされています。
また、今やあらゆる分野において持続可能な社会の実現が求められております。
こうしたことから、一般住宅に求められる今後の要件は、以下のように5つあると思います。
・高断熱・高気密の家
・水害に強い家
・地震に強い家
・耐用年数の長い家
・ZEH(Zero Emission House)、すなわちCO2排出量ゼロの家
それにしてもヒートショックで年間に亡くなる方の方が交通事故で亡くなる方よりも多いという現実にはショックです。
地球温暖化は、夏はより暑く、冬はより寒い状況をもたらすようです。
地球温暖化の進行は当分止められませんから、このままの状態ではヒートショックで亡くなる方は増え続けてしまいます。
しかし、高断熱・高気密の家であれば、ヒートショックで亡くなる方はいなくなるし、耐用年数が長ければ、長い目で見れば家の購入価格は高くても、その分光熱費が抑えられるので損はないのです。
その他に集中豪雨対策として水害に強い家が、そして地震に強い家も必要です。
ちなみに、10月2日(水)放送の「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日)では水害対策仕様の住宅の実証実験の模様を取り上げていましたが、対策を施した住宅に浸水は確認されませんでした。
この実験を実施した一条工務店の技術開発責任者、荻原 浩さんは次のようにおっしゃっています。
「いかに低コストでやるかがポイントになってくるかと思います。」
「なるべくお客様の資金計画の中で、数十万円単位の中でやることを目標に商品化を進めている中でございます。」
更には地球温暖化対策としてZEHの実現です。
地球温暖化対策は他人ごとではないのです。
一人ひとりの暮らし、あるいは個々の企業活動の積み重ねが地球温暖化を加速させているのです。
ですから、これからの家づくりに向けて、ウェルネストホームに限らず住宅メーカーには上記の5つの要件を満たす家を実現させ、より安く提供していただけるようにお願いしたいと思います。
ちなみに、今回ご紹介したWELLNEST HOME(ウェルネストホーム)ですが、WELLNESTとはWELL「良い」とNEST「巣」、WELNESS「健康であり続ける」を合わせた造語で、健康的な良い巣作りを応援したいという想いが込められているといいます。(会社のホームページより)