2019年10月12日
プロジェクト管理と日常生活 No.610 『地球温暖化で食糧供給が不安定に』

8月8日(木)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で地球温暖化で不安定になる食糧供給について取り上げていました。

そこで、プロジェクト管理の観点からご紹介します。

 

8月8日は日本の各地で猛烈な暑さとなり、関東では39℃近くに達しました。

今後もこの暑さは続く見込みですが、日本だけではないのです。

北極圏のグリーンランドでも犬ぞりは水の中を走っているように見えますが、氷が溶けてしまったのです。

犬ぞりに乗っていた男性とともに環境調査を行った女性研究者、ルース・モトラムさんは次のようにおっしゃっています。

「地球で何が起きているのかと驚いた。」

「極めてまれな現象です。」

「長い夏で暑さが続き、異常に暖かい空気が覆っていた。」

「この日(撮影した日)は17℃もあった。」

「普段は5℃くらいだから、大量の氷が一気に溶けた。」

 

ヨーロッパでは7月にかけて熱波に見舞われました。

こうした異常気象が続く中、国連の専門機関であるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、“地球温暖化によって暮らしに欠かせない食糧の供給が不安定になる”とする報告書をまとめました。

世界各国の科学者でつくるIPCCは危機感を露わにしました。

懸念される事態は既に起きています。

8月8日、スイスのジュネーブにおけるIPCCの会見で、急速な気候変動により、(各国の)政策決定者は緊急な対応が迫られていると伝えられました。

地球温暖化が土地に与える影響などの報告書を初めてまとめました。

世界のほとんどの地域で熱波といった異常気象の頻度や強さ、期間が増したのは温暖化の影響による可能性が非常に高いと結論付けました。

 

日本では8月8日も広い範囲で猛烈な暑さです。

全国の気温観測点のうち、8月7日を上回る198ヵ所で35℃以上の猛暑日となりました。

 

ヨーロッパでもこの夏は記録的な熱波に見舞われ、7月にパリでは最高気温が観測史上最高の42℃に達しました。

ドイツでは湖が干上がりました。

 

今回、IPCCが強調したのは、食料供給が不安定になることへの懸念です。

人口が今世紀末に90億人に達するような場合、“2050年には穀物価格が最大で23%上昇する可能性がある”としています。

 

ヨーロッパでは異常気象への対応が迫られています。

フランスのロワール川は干ばつの影響で一部は完全に干上がっています。

川沿いの畑で家畜の飼料になるトウモロコシを栽培する男性は次のようにおっしゃっています。

「(トウモロコシの育ち具合を見て、)これじゃあ収穫出来ないよ。」

「収穫は半減するかもしれない。」

 

記録的な干ばつで葉が枯れたり、栄養のない実に育ったりする被害が相次いでいます。

 

酪農にも影響が出ています。

取材した120頭の乳牛を飼育する農場では、異常な暑さで牛の食欲が減退し、牛乳の生産量が20%程度減ったといいます。

そして影響は食卓にも及びそうです。

牛乳の生産が減ることで、チーズの品ぞろえに影響が出る恐れがあるといいます。

取材したお店の店員は次のようにおっしゃっています。

「販売出来る量は減り、品切れになるだろう。」

 

フランス各地で農業指導に当たる専門家は次のようにおっしゃっています。

「21世紀末にはフランスの気候で、これまでのような農業は極めて難しくなるだろう。」

 

“地球温暖化が進めば、人々の暮らしにも直接影響を与えかねない”と警告した今回のIPCCによる報告書ですが、各国にあらためて対策の強化を迫っています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今年の夏、日本での広範囲にわたる猛烈な暑さの続く日々、あるいは集中豪雨、そして世界では北極圏での氷の溶解、ヨーロッパでの記録的な熱波という具合に異常気象が起きています。

こうした異常気象が続く中、IPCCは世界のほとんどの地域の異常気象の頻度や強さ、期間が増したのは温暖化の影響による可能性が非常に高いと結論付けたのです。

そして、IPCCは“地球温暖化によって暮らしに欠かせない食糧の供給が不安定になる”とする報告書をまとめました。

 

私たちが普通に暮らしていくための基本は“衣、食、住”と言われています。

ところが、地球温暖化の進行とともに、その“食”の供給が不安定になるとIPCCは指摘しているのです。

そして、今進行中の地球温暖化の原因は私たち人類による豊かさを求める様々な行為にあるというのが多くの専門家の指摘なのです。

 

ですから、地球温暖化に伴う、農作物や酪農など“食”の供給の不安定以外も含めた様々なリスクの対応策の必要性は明らかなのです。

すなわち、CO2を中心とする温室効果ガスの排出量の削減なのです。

ところが、世界中で最もCO2排出量の多い国、アメリカのトランプ大統領は、人為的な行為による地球温暖化の進行に懐疑的だといいます。

これはとても残念なことです。

しかし、救いなのはトランプ大統領に限らず、世界中の多くの政治家は民意、すなわち選挙におけるより多くの投票数の獲得にとても敏感なのです。

このことは、選挙のない国、共産党による一党独裁である中国においても民意を無視出来ないという事情は同様なのです。

 

ですから、国内外を問わず、世界中の多くの国民が地球温暖化リスクに対する関心を高めれば、このリスクの解決に向けて動き出すのです。

ということで、世界のCO2排出量の半分近くを排出している2大経済大国であるアメリカと中国の国民を中心としたより多くの国々の地球温暖化に対する民意を高めることが最も有効でかつ根本的な地球温暖化の取り組むべきリスク対応策と思うのです。


 
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