2019年10月05日
プロジェクト管理と日常生活 No.609 『台風15号による千葉県を中心とした長期的な被害から見えるリスク対応策の見直しの必要性』

今年も大型台風が日本列島を襲い、各地で記録的とも言える甚大な被害をもたらしました。

もはや異常気象が常態化してしまったような状況だと思います。

しかも世界各地で同様の、あるいは日本以上の被害を被っている地域が出て来ています。

やはり多くの専門家が指摘しているように、地球温暖化の影響が大型台風や集中豪雨のかたちで現れてきているのではないでしょうか。

 

さて、今回は私が経験した、9月9日(月)の早朝から千葉県を中心に広範囲に、しかも長期的に被害をもたらした大型の台風15号を例に取って、そのリスク対応策の見直しの必要性について報道記事を参考に考えてみたいと思います。

 

関東への上陸は3年ぶりという台風15号は、上陸した台風としては過去最強クラスで、最大瞬間風速は千葉市中央区で57.5mを記録するなど、1都3県の15地点で観測史上1位を更新しました。

このため、首都圏の鉄道各社は始発からの運転を事前に見合わせる「計画運休」を実施し、通勤・通学客の足を直撃し、学校や企業活動にも大きな影響が出ました。

また高速道路は東京湾アクアラインや圏央道など関東の少なくとも43区間が通行止めとなりました。

また首都圏では広範囲にわたって停電が発生し、千葉県など1都6県で約87万5400軒が停電しました。

そして千葉県特産の梨が落下するなど、農林水産業の被害は約367億6200万円(9月26日時点)で、この数字は東日本大震災での県内被害額を超える、記録上2009年度以降で県内の台風被害では過去10年で最大といいます。

 

こうした広域にわたる被害から、東京電力(東電)は、他の電力会社から約2400人の応援を含め、約1万1000人態勢で復旧作業に当たりました。

それでも当初は短期間のうちに復旧すると予測された停電の復旧作業は、東電によると千葉県の停電戸数は9月24にようやくゼロになったと明らかにしました。

ただ、東電が復旧したとしている地域でも電気がつかなかったり、復旧後に再び停電したりするケースが相次いでいました。

 

その復旧の遅れの原因は、大きく2つあると報じられました。

1つは、電柱が倒れたり倒木による電線の切断、もう一つは土砂崩れによる道路の通行止めです。

これらが広範囲に起きてしまったために全体の被害状況の把握が遅れ、東電による停電の復旧計画の見直しが繰り返されました。

 

ちなみに、私は9月8日(日)から千葉県の外房の実家に行っており、9日の深夜2時頃にトイレで目を覚ました時に、これまでにないほどの強風に恐怖感を覚え、その後風の音が煩くて眠ることが出来ませんでした。

ちなみに、実家の被害ですが、幸いにして海に面している倉庫の窓ガラスが1枚割れただけで済みました。

しかし、村の何軒かでは瓦が落ちたり、庭の倒木といった被害がありましたが、停電には至らずに済みました。

 

そして、翌日の10日の朝に横浜の自宅にクルマで帰ろうとして、道路状況を調べたところ、アクアラインは通常通りでしたが、圏央道は通行止めであったため、木更津辺りまでは圏央道ではなく、大多喜の山中を抜ける一般道を通るルートにしました。

その際、大多喜の山中は以前も大雨が降るとよく通行止めになっていましたが、実際には通行に支障がなかったので、今回も同様の判断をしてしまいました。

ところが、今回は、3回ほど通行止めの看板を通過した後、暫く進むと土砂崩れで道が塞がっており、戻らざるを得ませんでした。

ちなみにその近くでは電柱も傾いており、電線が垂れ下がって路上を這うような状況でした。

そこで仕方なく、圏央道を通るルートの分岐点まで戻り、そこで再度圏央道の道路状況を確認したところ、通行止めが解除されていたので無事帰宅することが出来ました。

勿論、こうした一連の道路事情はカーナビには反映されていませんでした。

また、こうした一般道の道路事情の問い合わせ先がよく分からないのです。

 

一方、とても気になったのは、横浜市金沢区の工業地帯の被害です。

台風15号による10mほどの高波により、およそ1kmある護岸が広い範囲で壊れる被害を受けて敷地内に大量の海水が流れ込み、工場の機械が壊れたり電気系統の設備が水につかったりしました。

その結果、1億円単位の被害を被った企業もあるといいます。

 

9月26日、実際に被災地域をクルマで通ってみましたが、護岸一帯は進入禁止となっておりました。

また、道路を挟んで反対側に位置する工場では、修復作業をしている工員の姿や工場の一画に集められた大きなゴミ袋を見かけました。

 

今回は不幸中の幸いで磯子火力発電所近辺の護岸が崩れるような被害はありませんでしたが、もしこちらの発電所が同様の被害に遭えば、最悪で復旧に半年近くかかっていたのです。(参照:プロジェクト管理と日常生活 No.272 『首都圏沿岸の大地震・大津波で日本の電力インフラは壊滅的打撃!?』

そうなれば約200万世帯が停電になるという大変な事態に遭遇していたのです。

 

こうしたことから今後、千葉県や神奈川県のみならず全国的に広域災害のリスク対応策の見直しが求められます。

そこで、その要点について、私の思うところを以下にまとめてみました。

(リスク対応策の検討)

・あらかじめ市町村、あるいは県、更には近県や国のレベルで、被災状況の規模に応じた協力体制や役割分担を具体的なレベルで詰めておくこと

 

(被害状況の把握)

・被災規模に応じて、速やかに市町村、あるいは県に対策本部を構えること

・被災規模に応じて、市町村の職員のみならず、地域の消防団、更には近県や自衛隊、電力会社やガス会社、水道局、あるいはネットプロバイダーなどの協力を仰ぎ、早期に被害状況の全体像を把握すること

 

(具体的な対応策の実施)

・被災規模に応じて、対策本部の指示のもとに、電力会社やガス会社、水道局、あるいはネットプロバイダーなどの協力を仰ぎ、対応策を実施すること

 

(進捗管理)

・対策本部は復旧活動が完了するまで被災状況、および対応策の進捗状況を一元管理すること

 

(コミュニケーション)

・電気、ガス、水道、道路、ネットなどの社会インフラの復旧状況の問い合わせ先の一元管理、およびタイムリーな情報発信

 

(再発防止策の検討)

・災害復旧活動を終えた都度、その時点で把握された問題や課題などを再発防止策としてまとめ、再発防止策が完了するまで対策本部はその進捗状況を管理すること

 

なお、地球温暖化の進行とともに、今後大型台風の発生回数は増え、しかも被災地の広域化、集中豪雨や記録的な強風などによる被災規模の増大が見込まれます。

 

ということで、うした要点から、台風15号による被災状況や取り組みから全国的に、より大規模な災害における再発防止策やリスク対応策の再検討が求められるのです。

 

ここで特にお伝えしたい大事なことがあります。

それは、海に面した火力発電所のリスク対応策です。

先ほどお伝えしたように、想定外の津波や高波により原発のみならず火力発電所も発電停止リスクを抱えているのです。

ですから、是非とも電力会社と地方自治体、あるいは国は必要な護岸の高さの見直しなど、地震や津波、あるいは大型台風によるリスク対応策を再検討していただきたいと思います。

 

また、上記の復旧状況の連絡については、広域災害を前提に県単位ですぐに分かるように日頃の広報活動の一環としてネットや電話からの問い合わせ先を明らかにしておくことが大切だと思います。

 

 

というのは、市区町村に設置されているスピーカーの声は、強風や豪雨の中ではほとんど聞き取れないからです。


ちなみに10月4日(金)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)によると、今日現在も千葉県の南房総市では多くのブルーシートのかかった一般住宅の屋根が見受けられます。

そして今後の見通しは全く立っておらず、業者も足りず、瓦の調達も難しい状態で、ある業者によると、今のペースだと工事が全て終わるまでには3年はかかってしまいそうだということです。

 


 
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