2019年10月01日
アイデアよもやま話 No.4448 AIが司法試験の予備試験問題の6割を的中!

5月20日(月)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)でAIによる司法試験の予備試験問題の予測について取り上げていたのでご紹介します。

 

AI(人工知能)が試験問題を解くだけでなく問題そのものを予測する、そんな時代がやってきました。

5月19日に行われた司法試験で、AIが問題の約6割を事前に予測して正解したと、開発したベンチャー企業、株式会社サイトビジット(東京都千代田区)が発表しました。

 

この会社が開発したAI「未来問」が5月19日に行われた司法試験の予備試験を事前に予測しました。

「短答式」と呼ばれるマークシート式の法律問題に挑んだのです。

サイトビジットの鬼頭 政人社長は次のようにおっしゃっています。

「「ここら辺が出ますよ」という部分も相当当たるのに加え、ほとんど同じ文章も複数出ると。」

 

その結果、95問中の57問、6割が実際の出題内容に的中し、正解したということです。

例えば、商法のある問題では問題の内容だけでなく、回答の選択肢まで当てたということです。

サイトビジットは合格ラインを超えた可能性が高いとしています。

 

では、AIはどのようにして問題を予測したのでしょうか。

今回、AIは過去8年分の問題と問題集3500ページ、これにネット上の法律用語を学習しました。

そして膨大なデータから出題傾向を分析して、回答を導き出したのです。

 

サイトビジットは、AIが予測した問題を有料で提供するサービスを始める予定です。

更に今回のAIを使って、今年10月に予定される宅建試験や来年1月の大学入試センター試験でも問題を予測する予定だとしています。

鬼頭社長は次のようにおっしゃっています。

「資格試験とか何かの試験は大学受験も全てそうなんですが、何かのスタートに過ぎない。」

「こんなもの(試験)をゴールにして、受かって燃え尽きるのではなく、スタート地点に早く立っていただいたうえで、その後の実務の世界に早く出ていただいて、継続的にずっと勉強して欲しいなと思います。」

 

一方で、今回の発表が出題のあり方に波紋を広げる可能性もありそうです。

司法試験の予備試験を実施する法務省は、個別の試験の予想について、コメントは出来ないとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

それにしてもAIが試験問題を解くだけでなく問題そのものを予測する時代がやってきたことには驚きです。

しかもこのアプリを開発したサイトビジットは合格ラインを超えた可能性が高いとしています。

そして、こうした予測結果およびその模範解答をサイトビジットは有料で提供するサービスを始める予定だというのです。

更に今回のAIを使って、今年10月に予定される宅建試験や来年1月の大学入試センター試験でも問題を予測する予定だとしています。

 

確かにどのような試験においても少しでも効率的に学習して少しでも高い点数を取りたいという受験者は多いと思います。

しかし、一方で、学習の本来の目的である、体系的に、あるいは本質的に学ぶ内容を理解するという観点からは、今回ご紹介したような受験問題を的中させるAIの利用には疑問が残ります。

 

一方、問題を作成する立場の人たちからすると、AIによる予想問題の的中率が更に高くなってくると、その問題を避けようとする動きが出てくるような気がします。

そうなると受験そのものが本質から逸れて、出題者も受験者も振り回されてしまうようになるのではと危惧されます。

 

こうしたことから、学習のあるべき姿としては、原点に立ち返って、受験問題の傾向と対策よりも学習する内容の本質を学習者のレベルに合わせて理解し易い内容で学習出来るようなAIの開発がとても大切だと思います。

なぜならば、これからのAIやロボットが活躍する時代には単なる暗記はほとんど必要なくなり、AIやロボットを開発したり、コントロール出来るように自分の頭で考えることこそが求められているからです。

同時に、問題を作る側も暗記力よりも思考力を評価出来るような問題を志向することが求められるのです。


 
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