2019年09月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.607 『週刊ポストの過激な内容とその反響に見る、国民のあり方!』

9月2日発売の「週刊ポスト」13日号をめぐり、小学館は2日、同誌のニュースサイト「NEWSポストセブン」上に、「週刊ポスト」編集部名義で「週刊ポスト9月13日号掲載の特集について」と題した謝罪文を掲載しました。

 

同号では「韓国なんて要らない」と銘打った特集記事に対し、ツイッターなどでは作家・ジャーナリストからの批判が相次ぎました。

記事の詳細はこちらを参照下さい。

 

以前にもお伝えしたように、新聞や週刊誌などの報道機関は購読者からの収入を得て、その存在が成り立っています。

ですから、時には今回のような過激な内容で国民の過度な嫌韓意識を煽って購買意欲を高めようとします。

そして、時にはこうした記事に煽られた国民の多くの嫌韓意識が高まり、それが更に報道機関の過激な内容を促すといった、言わば負のスパイラスが出来てしまいます。

その行き着く先は、戦争であったり、国を二分するような紛争です。

 

かつての昭和時代の日本は、まさにこうした負のスパイラルに入ってしまい、やがてこの流れに逆らう人たちは“国賊”と言われるようになり、否応なくこの流れに逆らえなくなってしまったのです。

そして、多くの国民の民意を反映したかたちで戦争へと突入してしまったのです。

今や、この戦争の時代を過ごした人たちの多くは戦争のむごさと反省を込めて、“二度と戦争を起こしてはならない”とおっしゃっています。

 

さて、現在の韓国の日本に対する状況をみると、このかつての日本の戦前の状況と二重写しに思えてしまいます。

文大統領がご自身の思い描く朝鮮半島の統一、および次回の大統領選での再選を目指して、文政権を支持する報道機関を動員して、反日感情を一般国民に煽り、その結果一部の国民の反日意識が大きな流れをつくり、やがて多くの国民は「“反日”でなければ韓国国民にあらず」というような状況に陥ってしまっているようなのです。

その結果、文大統領の掲げる政策に異を唱えたくても表立って出来ない状況でしたが、最近では表立って文大統領の掲げる政策に異を唱える国民も出て来ているようです。

 

いずれにしても、たとえ事実とは異なる情報に基づいた報道でも、徐々に国民感情が飲み込まれていき、その流れが大きなうねりとなり、やがて本流になってしまうと、その流れを誰も食い止めることは出来なくなってしまうのです。

今の韓国の情勢はまさにこうした状況だと思います。

 

さて、繰り返しになりますが、例えどのような国家指導者が現れようとも、あるいはいかに一部の報道機関や国民が一般国民を誤った方向へと扇動しようとも、国民の意識レベルが高ければ、こうした誤った方向へと国が突き進むのを防ぐことが出来るのです。

 

そして、こうした国民の意識レベルを高めるうえで大切なことが2つあると思います。

1つは、正しい歴史の学校教育です。

誤った歴史認識は国の方向を誤る元凶となるからです。

もう1つは、報道機関やジャーナリストによる正確な情報の伝達、あるいは適切な提言などの情報発信です。

一般国民は、日々の暮らしの中で接する情報をもとに世の中の動きを把握し、様々な状況に対して判断するからです。

こうしたことから、フェイクニュースなどは“国民の意識を誤らせる敵”と言わざるを得ません。

 

ということで、冒頭でご紹介した週刊ポストの過激な内容に対する、相次ぐ作家やジャーナリストによる批判は今の日本の国民の意識レベルを象徴する、とても誇れる行動だと思います。

結果として、「週刊ポスト」は謝罪に追い込まれてしまいました。

 

当然、報道機関やジャーナリスト、あるいは一般の人たちによる情報発信の自由はあります。

しかし、健全な社会を持続させていくためには、明らかに誤った情報、あるいは曖昧な情報に基づく過激な内容の情報発信についてはタイムリーな反論などの意思表示が求められるのです。

 

いずれにしても国の方向性を誤らせない最後の砦、すなわち戦争勃発の最大のリスク対応策は、それぞれの国民の意識レベルを高めることだと思うのです。


 
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