前回は”空飛ぶクルマ”の最前線についてお伝えしましたが、今回は4月25日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通してドローンを活用した野生動物の駆除についてご紹介します。
野生動物が農作物を荒らす獣害、年間の被害額は全国で約164億円に上ります。
この獣害を減らすため、ドローンを使ってハンターの負担を軽くしながら駆除を行おうという新たな取り組みが山梨県で始まりました。
野生動物の調査を目的に撮影したドローンの映像(映像提供:山梨大学・京都大学。甲斐けもの社中)ですが、実はここに野生のシカが潜んでいます。
浮かび上がる白い影、ドローンに搭載された温度を可視化する赤外線カメラが捉えました。
この技術を動物の駆除にも活用出来ないか、実用化に向けて研究を進めている山梨大学の馬籠 純助教は次のようにおっしゃっています。
「やはりこういった(動物の)位置情報、および数をしっかり観測出来るツールというのは今後特にこの分野に重要なポイントかなと考えております。」
野生動物による農作物への被害は年々深刻化、背景の一つが個体数の増加です。
特にニホンジカは1989年から2014年までの25年間で約10倍に急増して291万頭に、国は4年後の2023年までに117万頭に減らす目標を立てています。
一方、国などの委託を受けて駆除を行うハンターたちは年々厳しさが増しています。
どこに獲物がいるか、正確に予測するために欠かせないのが痕跡を探す作業、駆除を行う前に山の中を2、3時間歩くことも少なくありません。
山梨県ではハンターの6割が60歳以上と高齢化が深刻です。
体力的な限界を感じることも多いといいます。
富士五湖猟友会の会長、佐藤 若夫さん(72歳)は次のようにおっしゃっています。
「リュック背負って鉄砲を持つと疲れ、体力が途中でダウンする。」
「こういう山だったらもっと疲れる。」
野生動物の動きを見極める力を身に付けるには10年かかると言われていて、後継者を育てるのも簡単ではありません。
佐藤会長は次のようにおっしゃっています。
「100人狩猟免許を取って猟友会へ入りますよね。」
「その中で残るのは5人以下。」
「だから我々みたいな年寄りのハンターがいなくなったらどうするかなと考える。」
3月末、日本で初めてドローンとハンターが連携したシカの駆除が行われました、
場所は、広さ東京ドーム8個分の山の中です。
赤外線カメラを搭載したドローンが威力を発揮しました。
山を歩かずにわずか4分でシカの群れを発見、早速作戦を立てます。
通常は、ハンターが二手に分かれ、シカを射撃エリアに追い込み、仕留めます。
今回は、人とドローンでシカを追い込むことを試みました。
近づくドローンの音にシカが驚き、射撃エリアに追い込めると考えたのです。
ところが、シカはドローンの音には反応せず、近づくハンターから逃げ出してしまいました。
ハンターとドローンの連携はどうあるべきか、課題はありますが、今後の可能性に関係者の期待は高まっています。
山梨県猟友会の理事、藤沢 俊彰さん(70歳)は次のようにおっしゃっています。
「何頭いるか分かれば、張り切って行けれるような状況になりますので、是非これを成功させていただきたいなと。」
また山梨大学助教の馬籠 純さんは次のようにおっしゃっています。
「技術がうまく組み合わされば、非常に面白い発展が見込めるんじゃないかなと。」
「いかに今までの経験と新しいもの(技術)を一番最適なところで使うかというのが大事なんだなと・・・」
先週(番組放送時)、あらためてドローンを使った取り組みを行ったところ、1頭のシカを駆除することが出来たそうです。
関係者は今後も成果が期待出来そうだと話しているということです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
赤外線カメラを搭載したドローンにより、空から野生生物の所在を容易に確認出来ます。
ですから、今回ご紹介したように、野生動物を駆除するハンターの高齢化問題の解決、あるいは後継者の育成にドローンはとても有効です。
一方で、ニホンジカやサル、イノシシなど野生動物による農作物への被害は年々深刻化しており、背景の一つは個体数の増加といいます。
また、森林の伐採などにより野生動物の生息域を狭め、そのために野生動物が里山、更には住宅地にまで現れるようになってきています。
そして、こうした問題の一因は私たち、人類の活動にあると言われています。
ですから、“人災”と確認出来たところにおいては、私たちはこれまでの活動を反省し、主体的にしっかりと対応策を検討しなければならないのです。
また、8月14日(水)未明、札幌市の住宅街で連日出没していたクマ(メス)がまたも現れ、住宅の庭のトウモロコシなどを次々と食い荒らした後、森に姿を消しましたが、午前6時過ぎにハンターがそのクマを駆除したと報じられていました。
最近、特にエネルギーの観点から持続可能な社会の実現が話題になっていますが、動物との共生についての取り組みもとても大切です。
アイデアよもやま話 No.3051 次の大量絶滅の原因は人類!?でもお伝えしましたが、私たち人類はこれまで自然破壊を繰り返してきましたが、私たちの活動により生物の大量絶滅をもたらすようなことは絶対に避けなければならないのです。