2019年08月12日
アイデアよもやま話 No.4405 ビジネス現場で広がるVR技術!

これまで仮想現実(VR)やAR(拡張現実)、あるいはMR(複合現実)については、No.4224 ちょっと一休み その681 『仮想技術が新たな産業革命をもたらす!?』などで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、4月4日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でビジネス現場で広がるVR技術について取り上げていたのでご紹介します。 

 

VRと言えば、これまではゲームやスポーツ観戦などエンターテインメントの場で使われることが多かったのですが、今、客室乗務員の訓練など、その活用の場が広がっています。

 

都内(東京ビッグサイト)で開かれている最新の映像テクノロジーの見本市(放送時点)、中新ソリューン株式会社のブースで体験すると、ゴーグルに映るのは、高層ビルでエレベーターを設置する工事の様子、板の上で機械を取り付けようとすると器具が落ちました。

この映像は実際に中国で起きた落下事故がモデルです。

こうしたVRを使った事故の追体験は建設会社などの危機管理教育に生かせると見込んでいます。

 

他にも株式会社ポケット・クリエーズのブースでは、メーターをカメラで読み取って、正常か異常かAIを使って判定して検査する器機が展示されており、変電所などの機械の点検に使います。

現実と仮想世界を融合したMRという技術です。

メーターの異常をAiが感知して、異常値が出ると赤く光り、警報が鳴り、対応するマニュアルが出てきます。

これまで専門的な技能が必要だった現場で作業のハードルを下げるのが狙いです。

鈴木 保夫副社長は次のようにおっしゃっています。

「若手の方、もしくはこれから労働人口が減る中で、外国人の労働者の方にも分かり易く正確にお伝え出来るというのを目指しています。」

 

VRを使った研修はビジネスの現場に広がり始めています。

飛行中の飛行機がが緊急時に機材をロックしていく訓練、速さと正確さが求められます。

全日本空輸(ANA)は、4月から客室乗務員の研修にVRを本格導入します。

番組が取材の日は、インストラクターが前もって体験していました。

5分間で約200ヵ所をロックします。

もし間に合わないと、ロック出来なかった場所から荷物が飛び出してきます。

失敗するとどうなるか体験出来るのもVRのメリットだといいます。

 

今回VRを提供したNECでは、研修でのVR利用に商機を見ています。

NEC デジタルビジネスプラットフォームユニットの野中 崇士マネージャーは次のようにおっしゃっています。

「今までかなりの費用をかけて訓練設備を作る必要があったものが、こういったVR空間を使うと、このような会議室の中でも手軽に指導したり、市場全体が盛り上がっている。」

 

客室乗務員の採用を増やしている全日本空輸、研修の機会が限られる中、効率さが最大の課題でした。

客室センター 客室訓練部の渡部 雅美さんは次のようにおっしゃっています。

「体感する訓練にシフトをしていくことによって、より実践力を伴った客室乗務員の育成につながっている・・・」

 

他にもトレーニングとして、火災が起きた時などの緊急対応なども作っているということで、実際には体験出来ないこともVRを通して体験することで認知度とかレベルが上がっていくということです。

番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄教授は次のようにおっしゃっています。

「私はVRはこれからのビジネスでかなりいろんな可能性があると思っていまして、あえて4つに絞ってみると距離、次元、時間、現実といったものを超えていくと思うんですよ。」

 

「まず距離を超えていくっていうのは、例えばVRのこれからの当面の技術の一つの本命がVR会議なんですね。」

「離れた場所にいらっしゃる方がVRの中で同じ会議室で会議をする、ですから距離を超えるということですね。」

 

「それから次元というのは、2次元から3次元になるということです。」

「たとえば設計図です。」

「中々作りにくいものを設計図からVR上ならリアルに起こせちゃうんですよ。」

「地図なんかも海底の地図など行けない所も地図があれば、あたかも行けるような3次元の状況に出来るということです。」

 

「それから時間というのは、例えば職人さんですね。」

「高齢の職人さんなんかにVRの中でアバターになってもらって、記録しておくと、仮にその方が働けなくなっても、次にそれを継ぐ方がVRの中でそれを勉強出来るんですよ。」

「(技の継承が出来る、)時代を超えられるということですね。」

 

「そしてもう一つが現実を超えてくるということです。」

「例えば、我々の現実で中々起きない災害の時とか、命がけの作業とか、ああいったものをVRなら再現出来るので準備が出来るということですね。」

「(普段出来ないことが出来る、)結果として我々のビジネスにプラスになっていくということです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまでVRやAR、MRについて何度かお伝えしてきましたが、その可能性については具体例を示してきました。

そうした中、VRのビジネスでの可能性について、距離、次元、時間、現実を超えるという入山 章栄教授の指摘されている4つの観点はとても的を射ていると思いました。

今、新たなビジネスの可能性や生産性向上の手段として、AIやロボット、IoTに注目が集まっていますが、VRなどの技術も同様に様々な可能性を秘めていると思います。

 

例えば、エンターテインメントの世界への応用においてもAIやロボット、そしてVRなどの特徴を生かしたゲームを開発すれば、ディズニーランドなどこれまでにない想像を絶するようなエンターテインメントの世界が開けると思います。

まさに時間や空間を超えて、タイムマシーンや宇宙旅行を体感出来るようになるのです。

また、ゲームの世界にも自在に入り込めるようになるのです。


 
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