3月29日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で今話題の”介護スナック”について取り上げていたのでご紹介します。
群馬県高崎市で今年1月にオープンした、あるスナックが話題になっています。
通っているのは介護が必要な高齢者なのです。
安心してくつろいでもらいたいと万全の体制で“おもてなし”をしています。
高崎の夜を彩るスナック、一見普通のスナックですが、障害物を照らす明るい照明、壁には転倒防止用の手すりもあります。
実はこのお店、介護が必要な人と付き添いの人に気兼ねなく楽しんでもらおうと作られました。
女性利用者の一人は次のようにおっしゃっています。
「雰囲気が良いね、良かった。」
「良いところに連れて来てもらった。」
この店をオープンした荒井 浩司さん、普段は老人ホームなどの施設を経営しています。
荒井さんは次のようにおっしゃっています。
「“たまには外に出たい”という(老人ホーム利用者などの)声が非常に多くて、その中でも“昔よくスナックに行っていた”という話をよく聞いていたので、ちょっと始めてみようかなと。」
接客しているのは、荒井さんが経営する施設の職員たちです。
お店ではお客の健康管理を徹底して行います。
飲酒の量や顔色をこまめにチェックし、状況に応じて血圧も測定します。
更に、お店の奥には休憩スペースも用意されています。
接客している看護師さんの一人は次のようにおっしゃっています。
「顔色を見たり、体調に変化がないかというのは常に看護師としても気にしております。」
常連客の一人、鈴木 喜一さん(79歳)は次のようにおっしゃっています。
「こういうムードが好きなんです、元々若い頃からさ。」
「広く言えば生きがいですよ。」
鈴木さんは3年前から荒井さんが経営する老人ホームで暮らしています。
部屋は個室でデイサービスや食事の時以外はほとんど一人、人と交流出来る憩いの場を求めていました。
鈴木さんは次のようにおっしゃっています。
「こういう一人の部屋に入ってしまうとお話し相手がいないじゃないですか。」
「少しでもうち(老人ホーム内)で出来ないことを味わえたら、こんないいことはないでしょ。」
一方、お店で働く介護士や看護師にもメリットがあります。
お店で働くと、時給1600円の手当てが支給されるのです。
お店と施設の経営が同じため、長時間労働にならないように労働時間を配慮されています。
介護士の一人は次のようにおっしゃっています。
「職員は給料が上がるし、利用者さんも違う楽しみが出来て、すごいいいなと思います。」
「お互いにWinWinになると思います。」
お店に向かう常連客の鈴木さん、乗り込むのはタクシーではありません。
お店では無料の送迎も行っています。
取材の日も店内は賑やかな歌声と笑い声が響き渡りました。
荒井さんは次のようにおっしゃっています。
「お客様もそこで働くスタッフも一緒に笑顔にさせていただける。」
初対面の人でも帰る時にはすっかり打ち解けています。
鈴木さんは次のようにおっしゃっています。
「最高に良い。」
「このままずっと続けて欲しい。」
「わずかな時間だけど、気持ちを明るく出来たらいいじゃないですか。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
確かに高齢者向けの老人ホームや介護施設はとても有り難い存在です。
しかし、“人はパンのみにて生きるにあらず”と言われているように、衣食住の要求は満たされても、周りの人と世間話をしたり、共通の趣味を共に楽しんだり、時にはカラオケや居酒屋で気の置けない人たちと盛り上がる時を過ごしたいものです。
こうした要求を満たすうえで、今回ご紹介した“介護スナック”は、高齢者に喜んでもらえ、お店のスタッフの収入源にもなり、また“介護スナック”を運営する施設の人材の有効活用も観点からもとても理に適っていると思います。
ということで、今回ご紹介した“介護スナック”のような事業が国内各地で展開されればと思います。