3月22日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でペン先が乾かないペンについて取り上げていたのでご紹介します。
ゼブラはキャップがなくても乾かないペンを開発しました。
商品名「クリッカート(CLiKART)」、価格108円で既に発売中です。
本当に乾かないのか、番組では従来のペンと2時間放置して、比べてみました。
その結果、従来のペンはほとんど書けませんでした。
しかし、ゼブラの開発した「クリッカート」では全く問題なく書くことが出来ました。
なぜペン先が乾くことなく使えるのでしょうか。
ゼブラ 研究開発本部の今野 明子さんは次のようにおっしゃっています。
「こちらはインクに空気中の水分を吸収する成分を入れているからなのです。」
従来のインクは瓶のふたを開けて5日間そのままにしておくとインクが蒸発して減っています。
しかし「クリッカート」は水分を吸収して逆に増えています。
この魔法のようなインク、開発にはある理由がありました。
今野さんは次のようにおっしゃっています。
「以前、書いた文字の上に線を引いてもにじまない蛍光ペンをご紹介いただいていますけども、そちらを開発する際に、(社内で)コンペを行ったのですけども、その時に負けてしまったインク・・・」
以前番組で紹介した、にじまない蛍光ペン(商品名「モジニライン」)がありましたが、そのインクの候補として「クリッカート」に使われているインクも研究されていたのですが、あえなく落選、でもこちらのインクには乾きにくいという特性があったので、これも商品化したのです。
今野さんは次のようにおっしゃっています。
「(「モジニライン」について、)お蔭様でにじまないところが人気で売れ行きは好調でございます。」
「(「クリッカート」についても)沢山の方に手に取って楽しんでいただければなと思っております。」
なお「クリッカート」は乾かないということでノック式のペンになっています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
私もこれまで何度かペンのキャップをつけずにそのまま放置して書きにくくしてしまうということがありました。
でも単純に自分がキャップをつけずにおいたので仕方ないと諦めていました。
番組を通して、こうした、仕方ないという“諦め”の考え方が新しいアイデアの阻害要因だと反省しました。
今回ご紹介したペン先が乾かないペンの発明者は次のようなステップを踏んで「クリッカート」の商品化にたどり着いたはずです。
・なぜペン先が乾いてしまうのか(原因の究明)
・どうすればペン先が乾かないように出来るか(対策の検討)
・空気中の水分を吸収する成分をペンのインクに混ぜればよい(解決策の発見)
・空気中の水分を吸収する成分の開発(開発)
さて、この空気中の水分を吸収する成分の適用分野を検討することにより、更なる商品化につなげることが出来るのです。
例えば印鑑の朱肉がすぐに思い付きます。
女性の口紅などはどうでしょうか。
ということで、ペン先が乾かないペンの発明も“コロンブスの卵”みたいなもので、なぜだろうという好奇心を常に持ち続けていれば、誰でもアイデアマン、あるいはアイデアウーマンになれると思うのです。