2月26日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で画期的な外れないクリップについて取り上げていたのでご紹介します。
デザインによるイノベーションを目指すリップルクリップ( Ripple CLIP)の谷口 弘樹さんは次のようにおっしゃっています。
「こちらがみんなが使っている従来のクリップなんですけども、130年間ほとんど形が変わっていませんでした。」
「それを僕たちは進化させちゃいました。」
その外れないクリップは、普通のクリップより針金が1周分多く巻かれているのが特徴です。
使い方はいたってシンプル、まとめたい紙の端を折ってから、クリップを紙の下側、真ん中、上側に分けて差し込むだけです。
紙を10枚一組にして普通のクリップと外れないクリップで留めてみました。
一番上の紙だけ持ってみると、普通のクリップはバラバラになってしまいますが、外れないクリップの方はしっかりと留められたままです。
また、外れないクリップの方は、横に引っ張ってもいくら揺らしても外れません。
3つの輪が重なった、外れないクリップ、この形にたどり着くまでには何度も試作を重ねました。
挫けそうになるたびに思い出したのは、新商品開発のために5千人以上から取ったアンケートの中にあった、「外れないクリップが欲しい」という声だったそうです。
谷口さんは次のようにおっしゃっています。
「(今後の目標について、)従来のクリップに成り代わるのは難しいと思うんですけども、特別な思い出とか大切なものに使っていただけたら幸せだなと思います。」
なお、この外れないクリップの使い方として、紙以外にも食べかけのお菓子であったりとか、使いかけで保存しておきたいものとかを留めてあげると外れにくいといいます。
ちなみに価格は5個で1000円なので従来のクリップに取って代わることは難しいかもしれませんが、大切なものを取っておく時に使って欲しいいうことです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
クリップと言えば、従来のかたちをしたもので、クリップで留めてもたまにバラバラになってしまうのは仕方ないと思っている人たちが多いのではないでしょうか。
そしてきちんと書類を留めたい場合はホッチキスを利用するのですが、今度はホッチキスの針を取り除く場合にちょっと手間がかかります。
そうした中で、潜在需要として「外れないクリップが欲しい」という声はうなずけます。
そしてリップルクリップが何度も試作を続けた結果、130年ぶりに今回ご紹介した画期的な、外れにくく、取り外しも簡単なクリップが開発されたのです。
前回、“不易流行”が新たな商品やサービスの開発の際の重要なキーワードであるとお伝えしましたが、書類を留めるという機能は不変ですが、その手段はユーザーによる長い間の使用の中で生まれる潜在需要から新たなニーズが生まれ、その結果が新開発のクリップにつながったと言えます。
更に、書類そのものについても文字や図、あるいは写真などのイメージから構成されています。
そしてコンピューター、その後のパソコン、あるいはスマホの誕生により、今や文字や写真などのイメージは全て電子化することが可能になり、パソコンやスマホで容易に参照出来るようになりました。
ですから、紙の書類そのものが不要になりつつあるのです。
ということで、今のような技術開発のスピードのとても速い時代には、技術の発達の度合いに応じた新しい商品やサービスが次々に誕生してきます。
ですから、商品の根源的な機能をしっかりと見定め、“不易流行”を念頭に置いての商品開発がとても重要だと思うのです。