1月23日(水)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で”多拠点生活”を支えるゲストハウスについて取り上げていたのでご紹介します。
昨年、東京都内に年間パスを購入すれば、いつでも宿泊出来、毎日開かれるイベントにも自由に参加出来るというゲストハウスがオープンし、若い世代を中心に関心を集めています。
主な利用者は職業がら家といった自らの拠点となる場所を数多く持つ”多拠点生活”を送る人たちです。
都内の商社で働く女性、仕事を終えて向かったのは自宅ではなく、都内の浅草橋にあるゲストハウスです。
ここでは年間パスを購入すると、月額2万5000円でいつでも宿泊出来ます。
この女性は千葉県で独り暮らしをしています。
1時間以上満員電車に乗って通勤することを不安に感じ、“平日の拠点”としてここを利用しています。
この女性は次のようにおっしゃっています。
「この中に明日の服と寝間着と洗顔とお風呂のセットとかを詰めて持ってきています。」
ここに泊まる理由がもう一つあります、
毎日開かれているイベントです。
この日は秋田のきりたんぽ鍋を食べる会でした。
続けて次のようにおっしゃっています。
「毎回、面白い方がいっぱいいるので楽しい。」
「たらふく食べて飲んで、すぐ寝れるのでとてもいい。」
このゲストハウスのオーナー、柚木 理雄さんは元々空き家対策に取り組んできましたが、無人となった集合住宅を改装して昨年ここをオープンしました。
注目したのが、ネットの普及や価値観の多様化によって、住む土地に囚われない”多拠点生活”の広がりです。
柚木さんは次のようにおっしゃっています。
「場所を選ばずに働くことが出来るという方がどんどん増えていった時に、必ずしも帰る場所は一つだけではなくって、そういった方(多拠点生活者)向けのライフスタイルを実現するためにサービスとして作りました。」
実際、利用の仕方は多岐に渡ります。
都内に住む女性は次のようにおっしゃっています。
「1人暮らしをすると、今母と2人で住んでいるので、母が1人になるので、今どうしようかと考えていった時に、(このゲストハウスが)丁度いいバランスで・・・」
また、神奈川県在住の男性は次のようにおっしゃっています。
「(このゲストハウスに泊まれば、)通勤時間が短いので、すごい睡眠も補給されますし、空いた時間に自分の勉強や仕事が出来るので・・・」
東京と地方で2つの拠点を構える人も現れています。
菅原 一杉さん(41歳)です。
月の半分を地元、宮城県の自宅で過ごし、残りはゲストハウスから都内のアルバイト先に通う暮らしを続けています。
1年前、菅原さんは故郷への移住を促進するNPO法人を立ち上げました。
手弁当での活動のため、生活費を稼ぐ仕事を並行して行わざるを得ず、中々成果をあげられなかったと言います。
菅原さんは次のようにおっしゃっています。
「週に5日から6日、びっちり働いてようやく生活出来るという感じでしたので、計画があるのに、それを実行出来ない葛藤の日々でしたね。」
ゲストハウスに住むことで東京に拠点が出来た菅原さん、首都圏で宮城県への移住者を募集する取り組みを進めています。
更にゲストハウスで開かれるイベントも重要な活動の場です。
この日は地方の活性化に取り組む人たちが集まりました。
菅原さんはNPOの活動にボランティアで協力して欲しいと呼びかけました。
菅原さんは次のようにおっしゃっています。
「情報誌を作ろうと企画してまして、それで「給料は出せないんですけど、やりたい人いませんか?」っていうのがもう一つで。」
「いろんな分野の交流が出来て、本当に助かりますね。」
「ここに泊まる前と泊まり始めてから後を比べると、全然人脈の広がり方が違いますし、自分の(NPO)活動がグッと進んだような気がしますね。」
そして、菅原さんの企画に興味を持ってくれる人が現れました。
こうした状況について、ゲストハウスオーナーの柚木さんは次のようにおっしゃっています。
「いろんなライフスタイルを送られている方が出会い、つながる場、自分がその時選びたいような場を選べるような、そんなことが実現したらいいなというふうに思います。」
このゲストハウスでは、全国12ヵ所の宿泊施設でも年間パスを使える連携を結んでいます。
地方と行き来する“経拠点生活”を送る人も増えているということです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して感じたことは、年間パスを購入すると月額2万5000円で連携している全国の宿泊施設を何回でも利用出来るゲストハウスは以下にまとめたような様々なメリットがあるということです。
・全国各地を飛び回るような生活を送る多拠点生活者にとっては、割安で宿泊出来ること
・通勤時間の長い人にとっては、勤務地の最寄りのゲストハウスに宿泊することによって、その分有効に自分の時間を過ごすことが出来ること
・毎日開催されるイベントなどを通して他業種の人たちとの情報交換が出来ること
旅館やホテルなど、既存の宿泊施設を利用している限り、他の宿泊客と情報交換するような機会はほとんどありません。
また、今やSNSなどネットを介して知り合う機会は沢山あります。
しかし、リアルに顔を合わせて他業種の人たちと情報交換したり、あるいは毎日開催されるイベントを通して知り合いになるという機会を持てることはゲストハウスを利用するとても大きなメリットだと思います。
ちなみに、3月23日(土)放送の「マツコ会議」(日本テレビ)でも同様のテーマを取り上げていましたが、特に今の若い人たちの中には固定した居場所を持たないことを好む傾向が出て来ているようです。
また、この番組ではこのように転々としながら暮らす人たちを「アドレスホッパー」と呼んでいました。