2019年05月12日
No.4326 ちょっと一休み その697 『日本企業の凋落原因、および再興要因』

昨年12月14日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で「平成30年の歩み 日本企業はどう変わった?」をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して日本企業の凋落原因、および再興要因についてご紹介します。

 

戦後の日本経済は高度経済成長を遂げましたが、バブル経済は崩壊し、平成9年(1997年)の山一證券の自主廃業、および北海道拓殖銀行の破たんなど、金融機関の破たんが相次ぎました。

日本企業は円高や海外勢に押され、次第に競争力を失っていったのです。

円は平成23年(2011年)には最高値の1ドル75円を付けました。

 

平成元年(1989年)の世界の企業の時価総額ランキングのトップ50に、日本企業は1位の日本興業銀行を筆頭に32社も入っていました。

ところが、平成30年(2018年)には、1位のアップルを筆頭に、2位のマイクロソフト、3位のアマゾン・ドット・コム、6位のグーグル親会社、7位のフェイスブックなどアメリカ企業が目立ちます。

日本企業は44位のトヨタ自動車のみが入っているという状況です。

 

では平成の30年間で日本企業はどう変わっていったのでしょうか。

日本を代表する大手電機メーカー、日立製作所(東京都千代田区)は、平成に改元された当時、工場ごとに独立経営を行っていました。

組織の団結力は高まりましたが、各部署や工場との連携はほとんどなく、次第に時代の変化に対応出来なくなっていきました。

IoT・クラウドサービス事業部の野明 俊道副事業部長は次のようにおっしゃっています。

「(組織の)“縦割り感”は強かったので、全く応用が利かないというか、横の連携に対して躊躇してしまうところもあったのかなと思っていて、そこがだんだん弊害になっていって・・・」

 

更に経営判断の遅れも業績低迷につながりました。

電機メーカーの顔とも言えるテレビ、プラズマテレビは日立の技術力を結集した製品だけに開発に巨額の資金を投じてきました。

しかし、海外メーカーとの価格競争が激化したうえに液晶テレビが優位となり、採算が悪化、プラズマパネルの生産撤退は平成21年(2009年)になってからでした。

その年の3月期決算ではリーマンショックによって7873億円の赤字に陥りました。

その後日立の社長に就任し、経営の再建にあたったのが経団連会長の中西 宏明さんです。

中西さんは当時について次のようにおっしゃっています。

「やっぱり成功体験があり過ぎたんでしょうね。」

「それに経営陣が引きずられた。」

「過去に会社を盛り上げたようないくつもの事業をそう簡単には諦めきれないっていう状態がすごく長かった。」

「“これは止める”とか、そういう決断が出来なかった時代がそのまま低迷になっていて、次々結局みんな諦めていったんですよね。」

 

日立は今、組織のあり方を大きく見直しています。

縦割り主義から脱却するため、組織横断的な部門を新設、“柔軟で新しい発想”が生まれ易い環境を整えようとしています。

野明さんは今、他部門の担当者とも頻繁に議論を交わすようになり、次のようにおっしゃっています。

「昔は彼らも自分達の製品さえ売っていればビジネスが成り立っていたのが、ITとつながらないといけないのですぐ相談に来ると。」

「(昔とは)すごく大きく変わっているかなと思いますね。」

 

日本企業に共通する競争力低下の要因として以下の3つが挙げられます。

・縦割りの組織構造

・日本型雇用システム(年功序列・終身雇用)

・意思決定の遅さ

 

ではどのように変わっていけばいいのでしょうか。

フリマアプリの大手、メルカリは創業からわずか5年で売上高370億円を突破しました。

急成長を支えるのは、世界31ヵ国から採用した多様な人材、そして独自の人事制度です。

メルカリの給与制度は、“個人の能力”と“どのような成果をあげたか”で決まります。

また、絶対評価で勤続年数や年齢は一切関係ありません。

プリマアプリを入口に、自転車のシェア、旅行事業、金融に至るまで次々と新しいビジネスが立ち上がっています。

メルカリの小泉 文明社長は次のようにおっしゃっています。

「“スピードは命”というところもありますので、やはりそのために会社組織の中をどうスリムにして、どう情報がシェアされて、みんなが自分事として会社の意思決定に関与出来るかが大事かな。」

 

社員の発想力を高めようとする企業もあります。

大阪に本社があるロート製薬は、副業を解禁しました。

この会社は事業の多角化を積極的に進めています。

今や、売り上げの8割が目薬以外の分野です。

副業の経験が“新規事業を生み出す原動力”になると会社では期待しているのです。

食品の衛生管理を担当している市橋 健さんが主に週末に取り組んでいるのは、クラフトビールの製造販売です。

製造だけでなく、財務や法律など、経営に係わる知識も日々学んでいます。

副業で得た経験を将来は新規事業の立ち上げにつなげたいと考えています。

市橋さんは次のようにおっしゃっています。

「(副業の経験は)本業にとってもプラスなことだと思いますし、自分の成長にもプラスだと思うので、そういった働き方・生き方をしていきたいなと思います。」

 

人事統括部の山本 明子副部長は次のようにおっしゃっています。

「一律な人では多分やっていけないですし、変化にどんどん対応出来る社員・個人が集まらないと企業も変革に対応出来ないだろうなと思うので。」

 

今後もどんどん変わっていく、その変化に対応していく人材であって欲しい、だから副業も認めるということなのです。

 

経団連も昨年11月にSociety5.0(詳細はこちらを参照)という提言を出して、変わることの大切さを訴えています。

中西さんは次のようにおっしゃっています。

「イノベーションの挑戦をやろうとしているわけなので、いろんな人が集まって来て、そこで切磋琢磨出来るような環境を作るのは経営者として一番大事な仕事だと思うんですよ。」

 

平成の次の時代は、働く人の個性を大事にする経営が生き残りのカギになるように思います。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきましたが、番組を通してあらためて私の思う日本企業の凋落原因、および日本企業の再興要因を以下にまとめてみました。

 

(日本企業の凋落原因)

・過度な成功体験依存

・意思決定の遅さ

・日本型雇用システム(年功序列・終身雇用)

・縦割り組織

 

(日本企業の再興要因)

・従業員の誰もが共感出来るような経営理念

・変化に対応した素早く、かつ適切な意思決定

・風通しの良い組織風土

・横断的組織

・成果主義

・能力主義

・変化に対応出来る人材育成

・グローバルな視点でのビジネス戦略、および人材の活用

・最新技術(AIやロボットなど)の積極的な活用

・適切なワークライフバランス

 

いかがでしょうか。


 
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