2019年05月10日
アイデアよもやま話 No.4325 新潟発”お米を原料にしたプラスチック”!

1月15日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で”お米を原料にしたプラスチック“について取り上げていたのでご紹介します。

 

海の生態系への影響が懸念されるなど、今世界的な問題となっているプラスチックごみですが、環境に配慮した代替素材の開発が大きな課題となっています。

そうした中、新潟県ではお米を原料にしたプラスチックの開発が進んでいます。

 

新潟県秋葉区にある矢代田保育園で、子どもたちが夢中になっているのがプラスチックのおもちゃ、一見普通に見えますが、実は主な材料は新潟県産のお米なのです。

思わず頬づりしたくなるようなサラサラした肌触りが特徴で、子どもたちにも大人気です。

 

お米のプラスチックを作る工場が米どころ、南魚沼市にあります。

プラスチックは全て石油から作られますが、ここでは原料の7割がくず米です。

粒が小さかったり、割れてしまったりして市場には出せないお米です。

このくず米を石油から出来た樹脂と混ぜて炊き、うどん状に練り上げます。

それを固め、細かく刻むと“お米プラスチック”の元が完成します。

今ではおもちゃだけでなく、ごみ袋や食器、歯ブラシなどにも使われています。

 

“お米プラスチック”の開発に携わってきた株式会社バイオマスレシン南魚沼の中谷内 美昭さんは、石油だけに頼る従来の製法に限界を感じたことが開発のきっかけになりました。

中谷内さんは次のようにおっしゃっています。

「いずれ石油はなくなる、イコール、プラスチック樹脂は使えなくなる、後世に残せるようなプラスチック、そこら辺だけは重要なポイントとして取り組んでいきたいなと。」

 

ここで新たな原料として注目したのが、環境に優しい自然素材です。

これまで試したのは、間伐によって出る木材、そしてカキや帆立などの貝殻、更にドリップした後のコーヒーのカスなど様々です。

しかし、どれも硬すぎるなどの理由で加工に手間がかかりました。

そこでたどり着いたのがお米、炊くと柔らかくなるので手間をかけることなく、加工出来たのです。

お米からプラスチックを作る取り組み、地元の農家も大きな期待を寄せています。

その背景にあるのが毎年大量に出るくず米、お菓子の原料や動物の餌として売れることもありますが、農家によると、通常のいいお米と比べて6分の1とか7分の1ぐらいの価格なのでほとんど当てにならないといいます。

 

昨年12月下旬、地元の農家が中谷内さんの事務所を訪ねました。

くず米が環境に優しいプラスチックの原料として注目を浴び、需要が増えていると聞きつけたからです。

この日、中谷内さんは向こう3年間、通常より高値でくず米を買い取ることを提案しました。

農家の方は次のようにおっしゃっています。

「今までくず米というのは、持って行ってもらえればいいという感覚だったんですけども、安定的に使っていただけることはありがたい話ですね。」

 

お米を原料にしたプラスチック、製造業者も農家も救うことになるかもしれません。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

元々農家では持って行ってもらえればいいと思っていたくず米を通常より高値で買い取ってプラスチックの原料にするというビジネスモデルは、まさにリサイクルにもなり、とても有益だと思います。

しかもサラサラした肌触りが特徴といいますから、従来のプラスチックより付加価値があるはずです。

肝心の価格が番組では明示されていませんでしたが、従来より多少高くても用途によっては引き合いがあるのではないかと期待出来ます。

 

これまでくず米以外にも、アイデアよもやま話 No.3537 バイオプラスチックへの新たな取り組み!などでこれまでもトウモロコシや木材、あるいはナノセルロースなどを原料としたバイオプラスチックとしてのリサイクルについて何度かご紹介してきましたが、様々なリサイクルの積み重ねが地球環境問題の解決やCO2排出量の削減につながるのです。


 
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