2019年05月09日
アイデアよもやま話 No.4324 日本とイスラエルの企業は相性が良い!?

1月15日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」(テレビ東京)で日本企業と相性の良いイスラエルの企業について取り上げていたのでご紹介します。

 

愛知県にあるトヨタ自動車の本社で1月15日に開かれた展示会にはイスラエルのベンチャー企業10社が参加していました。

イスラエルで生まれた技術が今世界中で注目を集める中、日本で活動を広げるイスラエル企業とその活力を取り込もうとする日本企業の狙いを番組で取材しました。

 

前回ご紹介した”驚きのメガネ”を開発したオーカムがあるイスラエルは、中東のシリコンバレーと呼ばれる起業大国、年間600以上のベンチャー企業が生まれています。

特に有名なのが自動運転向けの高い技術を持つ半導体メーカーのモービルアイです。

2年前の2017年、インテルが約1兆7500億円で買収し、話題になりました。

 

活発なイスラエルのベンチャー企業にトヨタ自動車もラブコールを送ります。

イスラエルのベンチャー企業、10社を本社に招いた展示商談会、集まったのはトヨタやグループ会社の社員たちです。

参加者にトヨタ自動車 ユニット部品調達部の石田 行男室長は自戒を込めて次のようにおっしゃっています。

「たらい回しをすることなく、出来るだけスピーディーに会社の中でご判断をいただければと・・・」

 

早速イスラエル側のアピールが始まりました。

フォーサイトのドロン・コハディエールさんは次のようにおっしゃっています。

「安全において最も重要な問題は、目の前の障害物を検知することです。」

 

フォーサイトで扱っているのは、赤外線カメラと通常のカメラを組み合わせて、周辺の状況を詳しく検知出来る能力が売りです。

この技術に興味を持った、トヨタのグループ企業、アイシン精機の木村 祥吾さんは次のようにおっしゃっています。

「IR(赤外線カメラ)と通常のカメラをコンバインしてもっとハイスペックな解像度になっていないのか・・・」

 

「(イスラエルは)シリコンバレーに次いで注目のマーケットだと思っておりますので、新しい技術が出てくるところだと思っておりますので、そこの技術は絶えずウォッチングしていかないといけないと。」

 

木村さんが開発しているのはクルマのドアを自動開閉する仕組みです。

そこにフォーサイトの技術が使えるかも知れないと詳しく聞きにきたのです。

 

トヨタ側からイスラエル側にアプローチして始まったこの商談会、トヨタが自動車業界での生き残りのために試行錯誤している様子が伺えます。

先ほどの石田さんは次のようにおっしゃっています。

「(イスラエル企業は)シリコンバレーの会社から出資を受けたいというような話を聞いたことがありまして。」

「日本企業は検討に時間がかかってしまうし、(商品を)世の中に送り出すまでのタイミングにもやはり時間もかかってしまう。」

「アメリカ企業と同じようなスピード感でというのは難しいのかもしれないですけども、我々は我々の魅力をしっかり訴えていく必要があるのかな・・・」

 

こうした状況について、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「(なぜイスラエルなのかについて、)私は3つくらい大きな要因があると思っていまして、実は日本と相性がいいと思っていますね。」

「まず1つ目は、当然ながら高い技術があって、優れた人材もいますし、何より軍事技術みたいなものが今転用されていまして、例えばブロックチェーンベンチャーがイスラエルで出て来ているんですけど、そういった軍事技術を応用して出て来ているんですね。」

「2つ目が、とは言え、イスラエルベンチャーは「0⇒1」ですね。」

「何もないところから基礎技術を作るのは上手いんですけど、その「1」を磨き込んで「10」にしたり「20」にしたりして商用化するのがあまり得意ではないと言われているんですね。」

「だからこそ、グーグルやインテルみたいなところに「1」のところで買収されちゃうわけです。」

「ところがそう考えると、日本企業は比較的「0⇒1」は得意じゃないかもしれないけど、それを磨き込んで「10」にしたり「20」にしたりするのは得意かもしれませんので、結構組み合わせがいいということですよね。」

「で更に言うと、実は結構「日本好き」、親日国なんですね。」

「イスラエルは人口800万人くらいいるんですけど、だいたい国民の200人に1人が毎年日本に来ていますし、それから海外ではニューヨークに次いで一人当たりのお寿司屋さんの数が多いのはイスラエルのテルアビブなんですね。」

「ですから親日国ということもありますので、そういう意味でもこれから両国内で期待したいなということですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

イスラエル企業の優れた技術力については、これまでアイデアよもやま話 No.4267 ”精密農業”が日本の農業を変える!?などで何度かご紹介してきました。

しかもイスラエルは親日国といいますから、「0⇒1」が得意なイスラエル企業と「1⇒10?」が得意な日本企業が手を組めばビジネスを成功させる可能性が高まるのです。

従って、Win−Winの関係が築けそうです。

ですから、特に日本の大企業は、国内外を問わず最先端の技術力を持ち合わせたベンチャー企業との協業の可能性を求めて常に取り組む必要性があるのです。

今回ご紹介したトヨタ自動車の取り組みや以前ご紹介した大企業からベンチャー企業への”逆ラブコール”(参照:アイデアよもやま話 No.4292 大企業からの”逆ラブコール”で新ビジネス!)はその一例と言えます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています