報道によれば、コンビニエンスストア最大手セブン−イレブン・ジャパン(以下、セブンイレブン)が加盟店の不満の声に押され、足元を揺さぶられています。
1970年代にコンビニのビジネスモデルを確立し、高収益企業に成長したセブンイレブンですが、その陰では加盟店が収益悪化や深夜営業などの負担に悲鳴を上げ、本部への不信を募らせます。
昭和の成功モデルは時代の変化で制度疲労を起こし、持続可能性に黄信号がともり始めているのです。
「お客様は神様です」という言葉が以前流行ったことがあります。
確かにお客様の要望に応えるために最善の努力を重ねることはとても重要です。
なぜならば、それが売り上げや利益の向上のみならず、売り手自身のやりがいにもつながるからです。
しかし、そのために販売側の無理がたたって従業員の健康を害したり、コスト割れで倒産に追い込まれてしまっては元も子もありません。
今回大きな話題となったセブンイレブンの加盟店の一部で悲鳴の声が上げられたのは、人手不足によりまさにこうした切羽詰まった状況に追い込まれたのです。
こうした人手不足の加盟店では、これまで従業員が相当無理をして働いていたと思われます。
確かに24時間営業のコンビニは私たち一般生活者にとってはいつでも買い物が出来る、とてもありがたい便利な存在です。
そしてサービス内容もどんどん広がり、進化し続けてしています。
そればかりでなく、特に女性が夜道を一人歩きしている時に不審者による被害を受けそうになった時などは“駆け込み寺”的な機能を果たしてくれます。
しかし、だからと言って、コンビニの従業員が疲弊して廃業に追い込まれてしまうような事態は避けなければなりません。
こうした状況を改善する対策として、夜間の利用客の頻度を確認し、頻度の少ないお店は24時間営業を取り止めようとする動きが出てきました。
こうした動きは、コンビニにとって投資対効果の観点から理に適っています。
また、コンビニの無人化の動きも少しずつ出てきました。
完全な無人化までいかなくてもセルフレジの導入だけでもコンビニの従業員の負担はかなり軽減出来そうです。
更にキャッスレス化の普及により会計処理が自動化されれば、コンビニの人手不足はかなり解消されると見込まれます。
ですから、キャッスレス化は本来、コンビニなど販売側にとっても、現金を持たずに済む利用者にとってもメリットがあるのです。
更にこうした動きを加速させれば、夜間の利用客の少ない時間帯でも対応出来る道が開けてきます。
ということで、セブンイレブンの人手不足における問題提起は、コンビニ業界全体の“新たな飛躍のチャンス”をもたらしていると言えます。