2019年04月19日
アイデアよもやま話 No.4307 日本の高校生が第6世代通信規格「6G」の技術を発明!

前回、モバイルゲームの更なる市場拡大の背景の一つとして第5世代通信規格「5G」の実用化があるとお伝えしましたが、今や携帯電話の「5G」の開発競争がアメリカや中国などで繰り広げられています。

そうした中、3月7日(木)付け読売新聞の朝刊記事で日本の高校生による「5G」の次世代である第6世代通信規格「6G」技術の発明について取り上げていたのでご紹介します。

 

文部科学省のスーパ−サイエンスハイスクールに指定されている県立横須賀高校(神奈川県横須賀市)で、携帯電話の通信システムを研究する3年生グループが、通信速度を飛躍的にアップさせる「6G」の新たな変調技術「MARIA方式」を発明しました。

2020年に本格商用化される「5G」以降の研究は少なく、後輩たちが引き継いで実用化を目指します。

 

この研究に取り組んだのは、滝川 マリアさん(18歳)、原 佳祐さん(18歳)、八巻 蒼さん(18歳)です。

情報通信技術(ICT)の研究開発拠点「横須賀テレコムリサーチパーク(YRP)」の太田 現一郎・技術顧問の指導で、無線技術の誕生から最新の「5G」までの理論や技術、応用を学びました。

1年生で大学レベルの勉強を開始しました。

難解な数式と向き合い、「4G」や「5G」の通信速度を高める変調技術「MIMO方式」は、同じ周波数で多くの情報を送信する複数のアンテナが必要で、アンテナを増やせる高い周波数は電波が遠くまで飛ばないなどの弱点があることが分かりました。

 

一方「MARIA方式」は複数のアンテナに代わる回路をスマホ内に設置することで、多くの情報の同時送信が可能になり、電波の届く距離が長い周波数を使うことが出来ます。

数式の変数部分一つひとつに取り組んだ末のアイデアで、太田顧問は「大人の研究者では出ない発想」と感心しています。

 

3人は昨年3月と10月、電子情報通信学会で発表しました。

「自分のアイデアが何十年後かに生活を豊かにする」と、原さんは実用化を想像しながら、興味を示す大学や企業の研究者と向き合いました。

 

「5G」の通信速度は「4G」の100倍とされ、「MARIA方式」は「5G」の10倍以上と予測されています。

滝川さんは「高齢化社会や大震災などを考えると、通信情報量が大量に必要。高解像度映像の送受信や遠隔地診断など医療・福祉分野で役立てば」と将来を見据えています。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

まず、大人の研究者では思い付かないような発想で、通信速度が「4G」の100倍の「5G」の更に10倍以上と予測される通信速度を高める変調技術「MARIA方式」による第6世代通信規格「6G」を3人の高校生が発明したという事実に驚かされます。

 

こうした事実に触れると、文部科学省の進めるスーパ−サイエンスハイスクールのような制度の重要性を非常に感じます。

いつの時代も多くの変革は若い世代の人たちによってもたらされます。

ですから、様々な分野において優秀な若い人たちが興味のある分野で思い切り力を発揮出来るような環境を整備することは国の将来を考えるととても重要だと思います。

今回ご紹介した発明はまさにこうした制度による象徴的な成果だと思います。

 

今後取り使われる情報量は、「4Kテレビ」や「8Kテレビ」、更には自動運転車などのの登場により増々増え続きます。

同時により速いスピードでの処理が求められます。

そうした中で、より多くの情報量をより速い通信速度で送受信出来るような技術が必須になります。

こうした観点から、今回ご紹介した「6G」の実用化はまさにこうした課題の対応策となり得ます。

ですから、「6G」の実用化に向けて、国や企業が支援したり、協力しながら、日本がリーダーシップを取り、世界展開していただきたいと思います。


なお、この「6G」関連技術が特許申請されているのかどうかが気になったので、ネット検索してみましたが、確認出来ませんでした。


一方、中国は今年後半に「5G」を商品投入し、米中はそれぞれ「6G」にも着手しているということです。

 


 
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