1月8日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で映画レベルに進化した最新家庭用ゲームと今後の展開について取り上げていたのでご紹介します。
スマホが普及した今、ゲーム機市場でもスマホゲームの存在感が増しています。
スマホゲームは比較的低コストで制作出来るため、新規に参入し易いという特徴があります。
一方、家庭用ゲームはゲーム機が高性能になるにつれ、ソフトの開発に莫大なコストがかかるようになり、撤退する企業も少なくありません。
こうした中、あえて家庭用のゲームで映画のようなリアルさを追求したものがあります。
世界企業に挑戦する日本企業を番組が取材しました。
アメリカ・ニューヨーク、そこにあるゲームショップを番組スタッフが訪ねました。
店内には多くの人、真剣な目でゲームを選んでいます。
店員に日本のゲームについて聞いてみると、店員は次のようにおっしゃっています。
「6:4ぐらいの割合で日本のゲームは売れている。」
「「モンスターハンターワールド」の問い合わせが多い。」
カプコンが昨年4月に発売した「モンスターハンターワールド」、プレイステーション4で発売されたゲームで、スマホゲームにはないリアルさや操作性で人気を博し、世界で1000万本も売り上げました。
更に、世界的な人気を背景にハリウッドでの実写映画化が決まりました。
カプコンの作品では「バイオハザード」が同じく映画になっていて、全部で6作が作られる大ヒットになりました。
カプコンの家庭用ゲームの売上高はおよそ32%増の652億円と好調でした。(2018年3月期)
映画からゲームを購入する場合もあるため、映画化はカプコンにとってもチャンスなのです。
映画化が狙えるほどの世界的なヒットを目指すカプコン、海外でも売れるよう、コンテンツのグローバル化を進めています。
今まさに映画化も視野に制作されているゲームがあります。
それは「デビルメイクライ」シリーズで、累計1600万本を売り上げています。
開発担当の伊津野 英昭さんは新作を世界で売るため、あることにこだわったといい、次のようにおっしゃっています。
「例えばアニメチックや耽美に寄せると、国・地域・性別によって好き嫌いが出てしまうので、誰からも同じ基準で評価してもらえるというフォトリアル(写真を鉛筆や絵の具を使ってリアルに描写するという写実的な描写方法)に今回こだわって作っています。」
最新作での主人公の男性キャラクターは、前作のアニメっぽさがあったデザインからよりリアルな人間に近づけました。
海外の人には、より人間的なデザインが好まれるといいます。
リアルに作る秘密は、実際に衣装を作り、スキャンして使うのです。
全身を取り囲むのは103台のカメラ、これで衣装を撮影し、3D化してゲームのデータを作ります。
衣装の背中にある布のほつれ具合までしっかり再現されています。
スキャンを駆使し、リアルさを追求したゲームは、ゲームというよりもはや映画の次元です。
更にカプコンは、この衣装のレプリカを限定で売り出しました。
公式コスプレの値段は75万円、今海外では日本のアニメや漫画のコスプレが人気です。
カプコンは自社のゲームキャラクターでこうした需要を狙います。
キャラクターにはスキャン以外にもある工夫がります。
主人公をサポートする女性キャラクターについて、女性の開発担当者は次のようにおっしゃっています。
「キャラクターをフォトリアルで作りたい。」
「このキャラクター性のところをいろいろ考えて、メイクや生え際を調整したりとか・・・」
「二重のラインもメガネのフレームで邪魔されないように、まつ毛は下がりまつ毛。」
「男性の先輩たちに割と「こうだと思う」と熱弁を振るって聞いていただきました。」
スキャンしたモデルの顔にメイクを施していました。
かけるメガネのかたちやまつ毛まで女性スタッフがこだわり抜いています。
リアルなキャラクターを作るのに1年以上も費やしたといいます。
伊津野さんは次のようにおっしゃっています。
「アメコミ(アメリカンコミック)とか見たことないけど、アベンジャーズの映画はすごいから見に行くみたいな人たちも、僕らこれ滅茶苦茶売りたいですね。」
ゲーム市場はスマホなどで遊ぶモバイルゲームが全盛期、世界の市場規模(2017年)もモバイルゲームは598億ドルで家庭用ゲームの244億ドルに比べ2倍以上です。
カプコンはこのモバイル分野で苦戦しています。
モバイルゲームに比べ、制作コストや時間がかかり、家庭用ゲームソフトにカプコンが敢えて力を入れるにはある理由がありました。
それが高速大容量の通信規格、5Gです。
5Gで、スマホでも家庭用並みのゲームが出来るようになると考えています。
カプコンの辻本 春弘社長は次のようにおっしゃっています。
「そういうような環境(5G)になれば、ユーザーの方々が選択するポイントとしてはリッチなコンテンツに惹かれるのは事実だと思うんですね。」
「そういう人たちに対してもゲームを購入してもらうために、自分たちは戦略を講じて努力しないといけないと。」
やはり今年のテーマは5Gかもしれません。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
最新の家庭用ゲームはフォトリアルという写実的な描写方法などを取り入れて、どんどん映画レベルに進化しています。
そして、その背景にはモバイルゲームの市場拡大、およびよりリアルな動画を提供出来る5G技術の実用化があるのです。
更に、アイデアよもやま話 No.4015 世界が熱狂、eスポーツ!などでご紹介した世界的なeスポーツのブームもこうした動画描写技術の進化により増々画面がリアルになっていきます。
ということで、動画ゲームの世界は今後増々リアル度を増していき、3D化とも相まって、いずれゲーマーは映画の世界に紛れ込んで動き回れるというような、究極のゲームが実現すると思われます。