2019年04月16日
アイデアよもやま話 No.4304 世界で進む企業間、および個人間格差!

前回、フランスによる「デジタル課税」導入の動きについてご紹介しましたが、今の時代において適切な税収を確保するうえで、こうした税制上の問題とも関連する根本的な問題が4つあると思いますのでご紹介します。

 

1つは、インターネットをインフラとしたAIやロボット、IoTなどのテクノロジーの進化に伴い、これまで人手を介していた作業がどんどん自動化されたシステムによって置き換わっていくことによる労働市場の縮小です。

2つ目は、グローバル化に伴う賃金の安い途上国への労働シフトに伴う、先進国の労働市場の縮小です。

3つ目は、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に象徴されるような時流に乗って成長を続け、莫大な利益を上げる一部の企業群と、その余波を受けて徐々に衰退に向かう既存の企業群との企業間格差です。

このことがそのまま個人レベルの格差につながっています。

そして4つ目は、正社員と非正社員との収入格差です。

 

こうしてみると、世界的に従来に比べて労働市場の縮小、および企業間、あるいは個人間における格差化が進んでいると言えます。

働く側の格差による被害を被る多くの従業員からすれば、まさにクアドラプル(4つの)パンチです。

勿論、テクノロジーの進歩により新たな労働市場も誕生していますが、労働市場の縮小分を補うには遠く及びません。

そして、ここ10年間ほどの企業の盛衰を見ると、とてつもなく速いスピードで変化しています。

それを象徴しているのが企業別売上高のランキングです。

何十年もかけて積み上げて来た既存の巨大企業の売り上げが誕生間もないベンチャー企業に抜かれているというのが現状なのです。

GAFAに象徴される、こうしたインターネットをインフラとした様々なテクノロジーの駆使による新たなサービスの誕生は、既存の事業を営む企業にとっては破壊的なのです。

そして、こうしたサービスを享受する私たち、一般ユーザーはこうしたサービスの流れを食い止めるどころか、より一層のサービスを期待しているのです。

 

一方、この4つの問題が先進国に大きな課題を突き付けているのです。

世界各国で一部のIT企業群が大きな売り上げシェアを占め、企業間格差をもたらし、同様に個人間格差が拡大し、所得の分配アンバランスをもたらしているのです。

こうした状況は社会の二極化をもたらし、今のうちに適切な対策を打ち出さなければ、取り返しのつかないほどの大きな社会問題になってきます。

最悪の場合は、各地での暴動、更には格差により差別を受けている側による市民革命です。

そこで、以前ご紹介したベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!)は新たな財源となり得る一つの対応策であり、前回ご紹介した「デジタル課税」はその財源の大きな柱の一つと言えます。


 
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