昨年12月18日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でフランスによる「デジタル課税」導入の動きについて取り上げていたのでご紹介します。
昨年12月17日、フランスのルメール経済・財務相はEU(ヨーロッパ連合)で検討してきたIT大手に対する「デジタル課税」について今年初めから独自に導入する考えを表明しました。
日本円で年間約640億円規模の税収を見込んでいるといいます。
フランスでは富裕層の優遇政策などに抗議する大規模なデモが続いていることから、「デジタル課税」の導入で大企業にも税負担を求める姿勢を強調する考えです。
この「デジタル課税」については、フランスの前にイギリスでも導入することを決めていますが、日本はこの先どうすべきかについて、番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミストの熊谷
亮丸さんは次のようにおっしゃっています。
「元々プラットフォーマーはあまり税金を負担していないということがあって、欧州委員会が調べているんですが、プラットフォーマーは税の負担率が9.5%、他方で伝統的な会社は23%ということですから非常に低いわけですね。」
「ただ対立があって、ヨーロッパの国は税金を取ることに積極的なんですが、アメリカは例えばGAFAなどと言われているグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、そういうところがある。」
「中国はテンセントやアリババがあるんですね。」
「彼らは課税に慎重である。」
「ですから日本はその2つの立場の中で橋渡しをするというか、来年(2019年)G20(大阪サミット)が日本で開かれますから、そこで日本の調整手腕が試されるということです。」
「(不公平な課税にならないように考えながらも成長とも両立させていかなければならないという指摘に対して、)そうですね、そういう規制の部分と成長を促すということのバランスを取ることが非常に重要ですね。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
先日、あるテレビのニュース番組で、驚くことにアマゾンは1円も納税していないと伝えていました。
その節税方法については、複雑な税制制度をうまく切り抜く、当局でも理解出来ないほど巧妙だといいます。
税法に則っている以上、結果として納税額ゼロであっても企業を罰することは出来ません。
ですから、こうした問題は当局による税法の不備によるものと判断出来ますので各国の局による速やかな対応が求められます。
さて、4月10日(水)付けネットニュース(詳細はこちらを参照)によれば、フランス議会下院は、テック企業に税金を課す新たな法案を採決し、修正なしで通過させました。
フランスで大きな売上を上げているテック大企業は、フランスでの売上に基づき課税されることになります。
この新税は、収益ではなく売上に基づくというかなり奇妙な課税モデルです。
この「デジタル課税」、イギリスでも導入を決めていると言いますが、他の国々でも課税については経済成長と税収とのバランスをどうするかという課題を抱えていますから、フランスでの運用状況を参考に、今年日本で開催されるG20でも議論され、何らかの方向性が示されるかもしれません。