昨年12月10日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界の有給休暇(有休)取得率について取り上げていました。
そこで、世界最大級の旅行予約サイトの日本語サイト、エクスペリア・ジャパンによる2018年の調査結果(詳細はこちらを参照)と併せてご紹介します。
エクスペディア・ジャパンが日本やアメリカなど世界19ヵ国について、有休取得率を比較したところ、日本は50%で3年連続で最下位でした。
ちなみに、19ヵ国の有給消化率比較は以下の通りです。
* 100% *ブラジル、フランス、スペイン、ドイツ、香港、タイ
韓国 93%
アメリカ 71%
日本 50%
また日本は有休の取得日数でみても10日間と、こちらもアメリカ、タイと並んで最下位です。
なお、ブラジル、フランス、スペイン、ドイツは共に30日間とトップです。
また、日本で有休を取得しない理由は以下の通りです。
1位 人手不足
2位 緊急時のためにとっておく
3位 仕事する気がないと思われたくない
以上、番組の内容、およびエクスペディア・ジャパンの調査結果の内容を併せてご紹介してきました。
世界19ヵ国の中で日本の有休取得率が3年連続で最下位の理由の1位が人手不足という結果については、少子高齢化の進行とともに今後増々この傾向は強まっていくのではないかと懸念されます。
また、2位、および3位の理由については、いかにも日本人的な感覚だと思います。
こうした一般的な感覚を払拭させるためには、制度的に有休取得率100%未達成の場合には会社を何らかのかたちで罰するようにする必要があります。
また、そうならないようにするために、会社としては従業員が周りに気を使わずにきちんと有給休暇を取得出来たり、あるいは残業を少しでもしないで済むための方策を真面目に検討することが求められます。
AIやロボットなど様々なITを駆使すれば、生産性向上は必ず出来ると言ってもいい時代なのです。
ですから、今政府主導で進められている「働き方改革」に最も求められるのは経営者のリーダーシップと手腕なのです。
こうした中、アイデアよもやま話 No.4216 ”近所の人”がスーパーの買い物代行!やアイデアよもやま話 No.4225 新たな宅配便サービス!などでお伝えしたように、人手不足が問題視されている宅配便業界では、高齢者などの活躍の機会が広がりつつあります。
この基本的な考え方は他の業界でも適用出来るはずです。
また、AIやロボットなどの技術の進化により、単純作業のみならず、かなり高度な業務までこれらに置き換わっていくとの見方があります。
自動運転車などはその先駆けではないでしょうか。
ですから、高齢者などの活躍の機会を広げつつ、同時にAIやロボットの導入を加速させることにより、いずれ人手不足は解消されていくという楽観的な見方もあると思います。
さて、ちょっと意外だったのは、アメリカも日本と同様に有休の取得日数が最下位の10日間という調査結果です。
人が豊かな暮らしをするうえで、ワークライフバランスはとても大切だと思います。
ですから、日米両国の共通の課題はワークライフバランスを社会の中にしっかりと根付かせることだと思います。
今、特に日本に最も必要なことは、「働き方改革」以前に、“人はどう生きるべきか”という哲学的とも言える命題に真摯に向き合うことではないかと思います。
こうした結果、自ずと「働き方改革」としてどのようなことを目指すべきかということが見えてくるはずなのです。