2019年04月07日
No.4296 ちょっと一休み その693 『歯磨きのベストタイミングはいつ?』

一昨日は歯磨きの自動化についてお伝えしましたが、そのタイミングについては、一般的に食後であったり、寝る前であったりしていると思います。

そうした中、昨年12月6日(木)放送の「あさイチ」(NHK総合テレビ)で歯磨きのベストタイミングはいつかについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

「歯磨きはいつしているか」について、街で50人にアンケートを取った結果、食後すぐ磨く人は17人、食後時間をあけてから磨く人は33人でした。

 

実は、歯科医師の間でも見解が分かれていて、ここ数年様々な歯の磨き方を推奨する本が相次いで出版されているのです。

中には、歯を磨いてはいけないと唱える本もあります。

そこでまず、食後時間をあけてから磨くべきという歯科医師、天雲 丈敦さんにその理由を聞きました。

天雲さんは次のようにおっしゃっています。

「健康な方であれば、ふだん口の中は中性に近い環境なんですけども、食べた後というのはどうしても少し酸性に傾いていくんですね。」

「その間、30分くらいは酸性になってしまいますので、その時にゴシゴシと歯を磨いてしまうと歯の表面に傷が付いてしまうと。」

 

食べ物が分解されると、口の中は一時的に酸性になります。

酸性になっている間は、酸の作用で歯の表面が柔らかくなっているため、歯ブラシでゴシゴシ磨くと歯の表面に傷が付き易く、かえって歯に良くないというのが天雲さんの考えです。

天雲さんが食後時間をあけて歯を磨くことを勧めるもう一つの理由は、唾液の持つ力を生かすためです。

天雲さんは次のようにおっしゃっています。

「唾液というのは、人間の持つ天然の抗生物質だと思っていますので、その唾液が一番口の中を守るためには大事だと思っています。」

 

唾液には虫歯の原因となる細菌の増殖を抑える役割があります。

しかし、食後すぐに歯磨きをしてしまうと、唾液まで洗い流してしまいます。

また唾液は酸性になった口の中を中和して中性に戻す役割があるため、唾液の力を最大限に生かしてから歯を磨くのが望ましいと天雲さんは勧めています。

天雲さんは次のようにおっしゃっています。

「お口の中が酸性から中性に戻った時に、食後30〜40分あけて磨くとより良いと思います。」

 

一方これに真っ向から反論する、日本歯科大学附属病院の臨床教授、倉治ななえさんは次のようにおっしゃっています。

「虫歯予防のためには、食後すぐに磨いた方が絶対良いです。」

「唾液の力に頼るだけではなくて、歯の表面に虫歯菌の固まりの歯垢が定着する前になるべく早く、食べたらすぐに歯垢を取り除く方が虫歯予防になります。」

 

「1960年代は虫歯洪水と言われたくらい、子どもの虫歯が多かったんです。」

「そこで歯科医師会などが333運動と言いまして、1日3回(食後)3分以内に3分間歯を磨きましょうという国民運動を起こしまして・・・」

 

「虫歯がもうなくなったからいいやと思って歯を磨かないだとか、あるいはずっとのんびりしておいて、後で磨けばいいと思っていたら、また少し虫歯が増える可能性はあると思うんですね。」

 

子どもの頃から食後すぐに歯を磨くことが根付いたことで、日本の虫歯は劇的に減少したと倉治さんは考えています。

食後すぐの歯磨きが習慣化されたことが歯の健康の改善に大いに貢献したといいます。

 

食後すぐ歯を磨くべきか、磨かざるべきか、終わることのない議論は歯の治療の現場にも波紋をもたらしています。

悩める歯科医院の一つを訪ねました。

歯科医師の豊山 洋輔さんと歯科衛生士の妻、とえ子さんは夫婦で歯科医院を開いていますが、理想の歯磨きを巡って今も二人の間で議論が絶えないといいます。

妻のとえ子さんは次のようにおっしゃっています。

「歯は磨くものではないんですよ。」

 

「(歯ブラシは)強く当てるより、一番(歯垢が)付き易いところだけに当てていただいた方が、歯を傷付けない当て方が出来ますので・・・」

 

「1日3回3分磨いていますという方もいらっしゃるんですけども、その方でさえ悪くなってしまうという現実を考えれば、そうではないということが言えるわけですよね。」

「やっぱりその方に合った(歯の)お手入れの仕方を見極める必要がある。」

 

 

歯を磨くという考えが間違った歯のケアにつながりかねないと2冊の本を出版しています。

大切なのは歯を磨くことではなく、虫歯の原因となる細菌を取り除くことだといいます。

そのために大事なのは、細菌が溜まり易い場所を見極めることだというのです。

歯並びは人によって違うため、細菌の固まりである歯垢がどこに溜まるかは人それぞれです。

どのタイミングで歯を磨くかを議論するよりも、自分が気を付ける場所を意識して口の中をケアすることが何より大切だととえ子さんはいいます。

 

一方、夫の洋輔さんは、食後すぐ歯を磨くべきか、時間をあけるべきかについて、様々な議論がある現状では一概にどちらが良いと言い切ることは難しいと考えています。

「これだって決定版があれば、そこに頼っちゃえばいいわけですけど、そうじゃないんで真剣にいろいろなことを調べていかなければいけないというのは事実だと思いますね。」

「そこは悩みです。」

「ですから現場はカオスのような、何を指針にしていいのか、確たるものはないのが現状ですね。」

「(決定版が)あったらうれしいです。」

「それに頼ります。」

 

このように専門家の間にいろいろな意見があるのです。

このようにいろんな主張が食い違ってくるのは、誰もが納得する実験結果に基づいたものがないからだといいます。

 

ただ、今回番組が取材した中で、皆さん口々に話していたのは、歯を磨くタイミングよりも間違った歯の磨き方をしている方が問題だということなのです。

ですから正しい歯磨きについて次にお伝えします。

・45度で小刻みに歯を磨くこと

・力加減は5グラム程度にすること

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組を通して、まず驚くのは未だに歯磨きのベストタイミングについては専門家の間でも様々な意見があるということです。

要するに歯磨きのベストタイミングについては定説がないということです。

 

そうは言っても、虫歯予防の要件としては以下のようにまとめられそうです。

・歯を傷付けない

・歯垢を定着させない

・細菌の増殖を抑える唾液の働きを生かす

 

そこで、番組の最後に紹介されている正しい歯磨きについては、上記の歯を傷付けない、歯垢を定着させないという2つの効果に合致していると思われます。

そして、45度で小刻みに歯を磨くことについては電動歯ブラシが適しているのではないでしょうか。

 

さて、最後に私の歯の磨き方について紹介させていただきます。

まず前提条件として、1日3回歯を磨くのは面倒なので1回しか磨かないとしたらいつのタイミングがベストかと考えました。

そうした時に、あるテレビ番組で、寝ている間は唾液が出ないので、1日何回歯を磨くかはともかく寝る前に歯を磨くことは望ましいとある専門家が唱えていました。

また、単純に電動歯ブラシの方が普通の歯ブラシよりも効果的に歯を磨くことが出来るのではないかと考えました。

 

ということから、以前はただなんとかく毎日朝食後にだけ歯を磨いていましたが、今は夕食後から寝る前にかけて1回だけ電動歯ブラシで歯を磨くようにしています。

ちなみに、実際に使っているのは、以前アイデアよもやま話 No.3812 いろんな歯ブラシが電動になる装置!でお伝えした電動歯ブラシです。

理由はこれだと自分の使いたい歯ブラシをセットして歯磨きが出来るからです。

また、歯磨きとは別に、毎年最低2回は歯医者さんに通い、歯の状況をチェックしていただき、歯垢を取ってもらうようにしています。

ちなみに、こうして毎年歯医者さんに通うようになってから、虫歯による治療らしい処置はなくなりました。

 

さて、ここまで書いてきて、あらためて思うのは、虫歯予防で大切なのは歯を磨くことではなく、虫歯の原因となる歯垢を取り除くことだということです。

となると、最も効果的な虫歯予防は、毎日歯を磨くことよりも3ヵ月か4ヵ月ごとくらいに定期的に歯医者さんに歯の状態をチェックしていただいたり、歯垢を取り除いてもらいことではないかという想いに至りました。

しかし、現実的には何日も歯を磨かなければ、口臭で周りの人たちに迷惑がかかるのでそうはいかないと思います。

となると、歯磨きをしなくても、口の中の消臭効果があり、消毒も出来るうがい薬があれば済むのではないかと思い始めたところです。


 
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