2019年04月04日
アイデアよもやま話 No.4294 改正出入国管理法で動き出した企業!

外国人労働者の受け入れに関しては、これまでアイデアよもやま話 No.4277 外国人労働者の受け入れ拡大に向けて!プロジェクト管理と日常生活 No.585 『イギリスの移民政策から学ぶべき外国人労働者の受け入れ拡大のリスク対応策』などでお伝えしてきました。

そうした中、昨年12月10日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で改正出入国管理法(改正入管法)をきっかけに動き出した企業について取り上げていたのでご紹介します。

 

今国会の重要なテーマの一つだったのが改正入管法です。

昨年12月7日に成立したばかりですが、週明けの12月10日に早くも改正入管法を巡る新たなサービスの発表会を開いた企業があります。

なぜこんなにも早いタイミングでの発表会となったのか、そこには深い理由がありました。

 

新たなサービスを発表したのは、外国人向けのビザ発給支援を手掛ける株式会社one visa(ワンビザ)です。

新サービスは、特定技能ビザを活用した外国人の定住支援です。

ワンビザの岡村 アルベルト社長は説明会で次のようにおっしゃっています。

「本人に一切の負担がなく、企業からの人材紹介料をいただくことによって、ボランティアではなく、ビジネスとして持続可能なスキームである。」

 

具体的には、日本で働きたい海外人材に対して日本語教育を無料で提供、更に特定技能ビザの取得手続きから企業への紹介、そして定住支援まで一気通貫で行います。

受け入れ企業が紹介料として、年収の3割相当を支払う仕組みで本人負担は一切ありません。

従来の技能実習生でありがちだった、来日した時には借金まみれという事態を防ぐことが出来ます。

法律の成立を見越して既に昨年9月にカンボジアに教室を開設、およそ50人の生徒が学んでいます。

教えているのは関西大学国際部の池田 佳子教授です。

日本語教育では、カリキュラムの作成を請け負いました。

基本は現地で授業をしますが、時には教授自らオンラインで授業をします。

 

学生たちはなぜ日本を目指すのでしょうか。

池田教授は次のようにおっしゃっています。

「どうしても日本語が出来るようになりたいと強く思っている。」

「働きたいと強く思っている。」

 

更に、この新サービスに参加したのはセブン銀行です。

ワンビザとの提携を通じて、「滞在期間」や「収入」といった信用情報が手に入れば、これまで外国人にはハードルが高かった口座開設など様々な金融サービスがスムーズに提供出来るといいます。

更なるメリットについて、岡村社長は次のようにおっしゃっています。

「本人に給与がきちんと振り込まれているかどうかをワンビザとしてチェックする体制が整います。」

 

給与の振込額をチェックすることで“悪質な受け入れ企業”の排除をすることも可能になるのです。

 

なお海外人材の獲得について、岡村社長は次のようにおっしゃっています。

「(海外人材獲得は)韓国ですとか台湾とかアジアをメインに白熱している部分があります。」

「なので日本にはこれから(海外人材に)“来てもらう立場”になるんですね。」

「今変わらないと、数年後に外国の方が日本に来たいと思えるのかどうか、本当にあやしいところがあるかもしれません。」

「ギリギリのタイミングなのかな。」

 

番組コメンテーターで日本総研のチェアマンエメリタス、高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「(改正入管法の成立に伴い、第三者の目で企業のあり方がチェック出来るようになると良いのではという問いに対して、)そうですね、それは勿論必要なんですが、ただ私は何よりも受け入れ企業側が変わらなくてはいけないと思うんですね。」

「外国人材を使い捨てではなくて、企業の中でちゃんと活躍してもらう必要がある。」

「そのためには日本人と同じ賃金を払うことは勿論ですよね。」

「だけどそれだけじゃなくて、キャリアパスを日本人と同じように明確にしてあげることが必要なんじゃないかと思います。」

「で、そのためにも仕事で使う日本語をきちんと教えて、企業人として育てていく必要があるんじゃないかと思います。」

 

以上、番組の内容一部をご紹介してきました。

 

外国人労働者の受け入れにおけるワンビザのビジネスモデルはとても素晴らしいと思いました。

その理由を以下にまとめてみました。

・本人に一切の負担がないこと

・日本で働きたい海外人材に対して日本語教育を無料で提供、更に特定技能ビザの取得手続きから企業への紹介、そして定住支援まで一気通貫でサービスを提供すること

・受け入れ企業が紹介料として年収の3割相当を支払う仕組みにより、ビジネスとして持続可能なスキームであること

・給与の振込額をチェックすることで“悪質な受け入れ企業”の排除が出来ること

 

勿論、こうしたビジネスモデルとは別に、高橋さんの指摘されるように、外国人労働者の定着には受け入れ企業側の対応も重要です。

しかし、受け入れ企業側が初めて外国人労働者を受け入れる際には、どのように対応すればいいのかという戸惑いを感じるところがあると思います。

ですから、こうした対応をスムーズにするためには、ワンビザの支援サービスの中に受け入れ企業側に対するコンサルティング業務を含めれば、外国人労働者の受け入れがトータルとしてうまく機能するのではないかと思います。

同時に、国にはこうした企業活動がスムーズに行くように制度面での支援が期待されます。

 

ということで、ワンビザのようなビジネスモデルが国内でどんどん広がり、日本で働きたい外国人労働者と人手不足を解消したい日本の企業とがWinWinの関係になって欲しいと思います。


 
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