2019年04月03日
アイデアよもやま話 No.4293 進化する防犯カメラ!

昨年12月6日(木)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で進化する防犯カメラについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

ハロウィーン期間の昨年10月28日、東京都渋谷区宇田川町のセンター街で軽トラックが横転させられた事件で、特定された15人の中から特に悪質だと判断された4人の容疑者が逮捕されました。

それを可能にしたのが“進化する防犯カメラ”だったのです。

 

警視庁の専門チーム、SSBC(*)の捜査員は逃走ルートと見られる範囲内で防犯ビデオの映像で確認しました。

この捜査員は次のようにおっしゃっています。

「(足取りを)ずっとカメラで追って、ここまで来て、今のカメラで映っていたのを確認したので、次にこの先で(映っているはず)。」

 

SSBCの捜査員は、現場周辺にある防犯カメラから犯人が映っている映像を見つけ出し、そこから犯人の逃走ルートなどを導き、犯人を追い詰めていく捜査を行うのです。

膨大な防犯カメラの点を線に変え、逃走経路を絞り込む捜査を行います。

 

なお、SSBCの役割は大きく2つです。

1つは画像解析や電子機器の分析を行う「分析捜査支援」です。

もう1つはデジタルフォレンジック(電子鑑識)と呼ばれる機器に残されたデータ(痕跡)を解析して犯人を特定します。

以上のような役割を担うSSBCは、サイバー犯罪対策室と鑑識、科捜研から分離合併させたような組織となっています。

 

さて、日々進歩しているのが防犯カメラの解析技術です。

日立製作所ではAI(人工知能)を使って、何台もの監視カメラの映像と連動する技術を開発、1万人以上の中から条件に当てはめる人物を1秒で探し出せるシステムを開発したといいます。

日立製作所 研究開発グループの主任研究員、村上 智一さんは次のようにおっしゃっています。

「その人の特徴ですとか、あるいは男性・女性、服装の特徴などを抽出するというものになっています。」

 

細分化された外見の特徴を100項目の選択肢から識別して記憶、更に広範囲でその人物の足取りを把握出来るといいます。

認識は容姿だけではありません。

「モノを置く」、「キョロキョロする」など、動作識別で不審者を見つけることが出来るといいます。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

進化する防犯カメラですが、その技術を最大限に引き出すための要件を以下にまとめてみました。

・カメラで特定の人物を見分けられるほどの高精細な人物の映像を撮れること

・防犯カメラで撮った映像から特定の人物を見分けられること

・その特定の人物を複数の防犯カメラで撮った映像から自動で探し出せること

・不審者の不自然な動きを把握出来ること

・犯罪容疑者などの場合、歩き方や手の振り方、姿勢などの癖も参考にして探し出せること

・全ての防犯カメラの映像をリアルタイムで集中管理出来ること

 

このような要件を全て満たす防犯カメラシステムがもし本当に実現出来たらどうなるでしょうか。

例えば、犯罪を犯して逃走中の容疑者を探し出す場合、防犯カメラシステムが容疑者の写真と照合して追跡すれば、今どこにいるかのみならず、リアルタイムでの足取りを追いかけることが可能になります。

ですから、当然容疑者の逮捕も従来に比べて圧倒的に効率よく、しかも短期間で出来るようになります。

 

また、コンビニなどでの万引きも、不審な動きから万引きとして判定した場合、その人物を要注意人物として登録しておけば、その場で取り逃がしたとしてもまた来店した時、あるいは他のコンビニなどで万引きをした場合、人手を介さずに要注意人物として注意を払うことが可能になります。

 

その他、幼い子どもが迷子になったり、高齢者の行方不明などの場合も容易に見つけ出すことが可能になります。

 

一方、こうした防犯カメラシステムが悪用された場合には、特定の人物の行動が逐次監視出来てしまいます。

現在の中国政府当局の防犯カメラシステムはまさにこうしたレベルに達しているようです。

このように防犯カメラシステムはとても便利な反面、一般人の行動を逐一監視出来る危うさを秘めているのです。

ですから、運用面でのルールをしっかり確立させておかなければ、特定の人物の行動がガラス張りになり、とても暮らしにくい社会になってしまうのです。


 
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