海洋プラスチックごみ(プラごみ)の弊害については、プロジェクト管理と日常生活 No.581 『私たちの食事にもマイクロプラスチック!』やNo.4080 ちょっと一休み その657 『いずれ人の体内にもプラスチックが蓄積される!?』などで何度かお伝えしてきました。
そうした中、昨年11月25日(日)放送の「サンデーステーション」(テレビ朝日)で大量の海洋プラごみ問題について取り上げていたのでご紹介します。
インドネシアのスラウエシ島の沿岸に流れ着いた、全長約10mのマッコウクジラはかなり腐敗が進んでいて、死因を特定出来ないということですが、死骸の胃の中から大量のプラごみが見つかりました。
ビニール袋やペットボトル、ビーチサンダルなどが見つかったのです。
その量は約6kgにも上りました。
世界中に広がる海洋プラごみ問題、決して海外だけの話だけではありません。
昨年8月、国内有数の海水浴場として知られる鎌倉市の由比ガ浜では、全長約10mの死骸が打ち上げられました。
絶滅危惧種にも指定されているシロナガスクジラの赤ちゃんです。
その後、このクジラを解体したところ、驚くべき結果が判明しました。
国科学博物館動物研究部の研究主幹、田島 木綿子さんは次のようにおっしゃっています。
「母乳しか飲んでいない固体の胃からプラごみが見つかった。」
「広げてみますと、7cm×3cmほどのビニール片でした。」
「小片でしたので、そのビニール片によってこの個体が死んだということは考えられません。」
「たまたま泳いでいた時、またはちょっと遊んでいる時にとか、何かしらのタイミングで入ってしまったとしか考えられない。」
このプラごみ問題で苦しんでいるのはクジラだけではありません。
ハワイに生息するアザラシの一種では、口の部分にリング状のプラごみが抜けなくなり、死んでいるところが発見されました。
適切に処理されなかったプラごみは海に流れるなどして、こうした事態を招いているのです。
そこで、海に流れているその量ですが、OECD(経済協力開発機構)によると、1年間で1200万トン、ジャンボジェット機に換算すると3万4000機にも上るということで、ものすごい量となっているのです。
更に、このプラごみによる海洋汚染、人体への影響も懸念されております。
マイクロプラスチックと呼ばれている5ミリ以下のプラごみです。
川や海に流れ出たプラスチック製品が紫外線や波にもまれて細かくなるのですが、これを魚などが食べて体内に蓄積されていきます。
それを人間が食べることによって人体への影響も心配されているのです。
国が調査したところ、日本の周辺海域は、このマイクロプラスチックが世界の海の27倍も存在するというホットスポットということなのです。
番組コメンテーターで政治ジャーナリストの後藤 謙次さんは次のようにおっしゃっています。
「日本は、プラスチックの生産量は世界第3位なんですね。」
「それに比べて政策が非常に遅れているんですね。」
「この使用したプラスチック製品、3つその後の流れがあるんですね。」
「1つはリサイクル、もう一度使う、それからもう1つは焼却をする、ただこれはCO2を大量に発生させますから地球温暖化にとって非常にある面でマイナスなんですね。」
「それからもう1つ、資源ごみとして輸出するんですが、その輸出先の管理がどうなっているか、それが不明なんですね。」
「来年(2019年)6月のG20、大阪で開かれますが、ここで日本はきちんとした政策を打ち出すと決めていますから、そこを見守りたいと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
地球温暖化による森林の破壊やサンゴ礁の死滅なども話題になっていますが、プラごみの大量廃棄は、今や世界的な海洋環境破壊につながり、海洋生物の無駄な殺傷、あるいは種の生存にまで影響を及ぼしかねない状況であるということをしっかりと認識する必要があります。
そうした中、日本はプラスチックの生産量は世界第3位なのですから、大量生産国として、少なくともプラスチックに係わる地球環境保全に向けた取り組みを積極的にする必要があります。
しかし、現実はどちらかというと海外での取り組みに押されるように動くというように、それほど積極的とは言えない状況のようです。
なので、特に企業にはそれぞれの立場で、エネルギー問題や環境問題の解決に結び付くような商品開発にも取り組んでいただきたいと思います。
その際のポイントは経済合理性です。
日本のメーカーはとても素晴らしい製品を誕生させていますが、問題は価格です。
どんなに素晴らしい商品でも価格が高ければ、購入するのは一部の購入者に限られます。
エネルギーや環境といったような社会問題の解決に貢献出来るような商品を普及させるためには、「これなら買ってもいい」と思わせるようなリーズナブルな価格設定でなければなりません。
ですから、開発が大変であっても是非こうしたハードルを飛び越えて欲しいと思います。