2019年03月21日
アイデアよもやま話 No.4282 個人情報がお金を生む「情報銀行」!

昨年11月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で個人情報がお金を生む「情報銀行」について取り上げていたのでご紹介します。 

 

個人情報を企業に提供することでお金がもらえるサービスが今年度から始まろうとしています。

いわゆる「情報銀行」の普及によって、私たちの生活はどのように変化するのでしょうか。

 

午後6時半、東京海上日動火災保険本社に仕事終わりの社員が50人集まりました。

彼らに「Dプライム(DPRIME)」(詳細はこちらを参照)の説明を始めたのは三菱UFJ信託銀行の社員です。

「Dプライム」とは、銀行が個人から情報を預かるサービスで、今年度の開始の予定です。

参加者の目の前にはスニーカーがあり、実はこのソウル部分に特殊な機器が内臓されています。

銀行が開発したアプリと連動していて、その人の歩き方や移動距離、場所など複数のデータがアプリ上に保存されます。

また、家計のアプリにも連動していて、個人の購買履歴や資産データなどが保存されます。

 

現在、個人情報はグーグルやフェイスブックなどのインターネット企業を中心に取り扱われ、名前や住所など個人を特定出来ない匿名データが私たちの知らないところで売買されています。

一方、今回のサービスでは、個人情報を銀行が一括管理します。

個人の同意を得たうえで、銀行は企業に情報を提供、企業から支払われた対価が個人に支払われる仕組みです。

対価の額は現在検討中で、一定の手数料が銀行の収入になります。

三菱UFJ信託銀行FinTech推進室の斎藤 達哉さんは次のようにおっしゃっています。

「(お客のメリットは)銀行が管理するところで、しっかりしたセキュリティの中で管理されるということと、データをお渡しした対価として金銭が返って来る場合に、その金銭もしっかり信託銀行の中で保全されていると。」

 

今回、実験に協力した東京海上日動は、「情報銀行」から個人情報を買うことで、より効率的な商品提案を出来ると期待しています。

東京海上日動 金融法人部の小西 信太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「お客様のライフイベント、結婚されているのかどうかとか、もしくはお子様がいるのかどうかなど、これを聞きに行かないと情報が取れないというのもございましたし、「Dプライム」が普及した際には、個人様に合った商品をワントゥワンでお届け出来と・・・」

 

また、旅行会社やフィットネスジムは個人情報を得ることで、一人ひとりに合ったプランの作成や提案が出来るといいます。

個人と企業の間で情報を管理する「情報銀行」には銀行だけでなく複数の企業が手を挙げています。

 

いかに個人情報の管理を徹底出来るかが重要なポイントだと専門家はいいます。

野村総合研究所の小林 慎太郎上級コンサルタントは次のようにおっしゃっています。

「この事業者ならデータを渡しても不正な取り扱いはしないだろうというようなことをちゃんと分かっている、そういうことを判断出来る能力がある事業者、しっかりした事業者に限られてくる。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

現在、アイデアよもやま話 No.4279 望ましい銀行のATM共通化!でもお伝えしたように、銀行業界は主に日銀の低金利政策により収益が低迷状態にあります。

そうした中、企業の生き残り戦略として当然新たな事業展開を模索します。

そこで今回ご紹介した「情報銀行」事業は、まさに銀行は「お金」だけでなく、新たな事業として「情報」に活路を見出したと言えます。

当然、「情報銀行」事業への参入は三菱UFJ信託銀行だけでなく、他の銀行やIT業界などほかの業界からも出てくると思われます。

 

既に個人情報はグーグルやフェイスブックなどにより取り扱われ、名前や住所など個人を特定出来ない匿名データが私たちの知らないところで売買されています。

そして、私たちへの対価はありません。

しかし、「情報銀行」は私たちに対価が支払われるようになります。

ですから、どの程度の個人情報を「情報銀行」に提供し、どの程度の対価が支払われるのか、天秤にかけたうえで、その結果次第で登録者数は急増すると思われます。

 

そうした中、銀行は既に私たちの預金を管理しているという実績があり、それなりの信頼性があります。

その銀行が信頼性を武器に個人情報を預かり、それを一般企業に提供して利益を生むというシステムは、まさに個人情報をはじめ、様々な情報を対象とするビッグデータが重視される時代到来という時流に乗ったものと言えます。


 
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