2019年03月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.584 『ブレグジットが世界経済にリーマンショック以上の影響を与えるリスクの重大性』

ブレグジットについては、米中貿易戦争や米朝核協議と並んで世界的に大きな注目を集めています。

ちなみに、ブレグジットとは2016年に起こったイギリスのEU(欧州連合)離脱問題のことです。

同年6月23日(現地時間)にイギリスのEU離脱の是非につき行われた国民投票にからんで生まれた言葉で、Britain(英国)とExit(退出する)を組み合わせたものです。

そうした中、昨年12月11日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でブレグジットについて取り上げていました。

そこで今回は、今イギリスによるEUからの「合意なき離脱」が現実味を帯びている中で、現実になった場合の世界経済に与える影響の大きさを中心にご紹介します。

 

番組放送の時点では、以下の4つのシナリオが考えられていました。

  1. 予定通り離脱(EUが交渉に応じた場合、今回採決されなかった条件を修正して再度議会に図る、予定取りの離脱)

  2. 合意なき離脱(修正も出来ず、離脱期限の今年3月を迎える合意なき離脱)

  3. 延期(期限に間に合わないと延長を依頼)

  4. 撤回(国民投票をやり直して、離脱そのものを撤回) 

ただ、メイ首相が解散に追い込まれたり、解散総選挙の可能性も完全には否定出来ない状況です。

こうした状況において、大和総研ロンドンリサーチセンター長の菅野 泰夫さんは次のようにおっしゃっています。

「(4つのシナリオの中で、4つ目の離脱そのものを撤回するという可能性はあるのかという問いに対して、)確かに国民投票の可能性は非常に高まっております。)

「ただし、もう1回国民投票をしたからと言って、残留派が勝つとは限りません。」

「なぜならば、この2年間でEU側はかなり厳しい条件をイギリスに突き付けております。」

「なのでイギリス人のEUに対する国民感情は今非常に悪くなっていると。」

「なので結局、国民投票については可能性が低いと。」

「で、このまま今年は何も決まらず、クリスマス休暇を迎えてしまうだろうと。」

「来年以降に議論は持ち越しになるだろうといった印象を持っております。」

「(EUとの合意が間に合わずに無秩序な離脱、最悪のシナリオになってしまった場合、世界経済へのリスクはどう見ているのかという問いに対して、)様々なシナリオがあるんですが、今一番言われているのはイングランド銀行が出したシナリオです。」

「実際、これは住宅価格が3割下落、また商業用不動産は半額になってしまう計算をしております。」

「世界で大規模な景気後退を招きまして、10年前のリーマンショック以上の危機が来ると言われています。」

「ちょっとこれは極端過ぎるなという見方もあるのですが、深刻な事態になる可能性は否めないと。」

「また製造業、特に大手自動車メーカーへの打撃が大きいと言われておりまして、出来上がったクルマの輸出や部品の輸入で時間が大幅にかかり、収益やカウントをもらいまして、日本経済に対する影響が出てくるだろうと言われています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

なお、ブレグジットに関する最新情報、すなわち昨日の3月15日付けの報道記事によれば、イギリス議会は6月30日までEUからの離脱延期を可決しました。

延期は3月20日までに正規の離脱協定案を議会が可決するという条件が付けられ、イギリスのメディアはメイ首相の勝利だと伝えています。

 

今後ブレグジットにおけるイギリスやEUの動きがどう展開していくか予断を許しませんが、イングランド銀行によるシナリオ通りの最悪の事態になれば、住宅価格が3割下落、また商業用不動産は半額になってしまう、更には10年前のリーマンショック以上の危機が来るといいます。 

 

一方、ここ数日の報道によれば、米中貿易戦争においては、中国側がかなりアメリカに対して譲歩の姿勢に転じる模様だとの観測報道があります。

 

本来、リスク管理とは、リスクが顕在化する可能な限り前に適切に対処することによりその影響をより少なく出来るといいます。
そういう意味では、ブレグジットは今やかなり切羽詰まった状況にあると言えます。
それでも、何とか世界的な大不況を食い止めるべく、世界各国が協力してソフトランディングに向けて取り組むべき事態になっているのです。
何としても日本としてもこのリスクを回避しなければなりません。
万一、このリスクが発生すれば、文字通り世界的な大不況となり、日本としても消費税引き上げどころではなくなってしまいます。


 
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