2019年03月20日
アイデアよもやま話 No.4281 進化するカーシェアリング!

カーシェアリングについては、これまでプロジェクト管理と日常生活 No.577 『自動運転車のトラブルを損保が遠隔操作でサポート!』などでお伝えしてきました。

そうした中、昨年11月16日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で進化するカーシェアリングについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

番組でのインタビューでは、特に都市部では自家用車を持っていても乗る機会が少ない方が多いようです。

こうした状況を反映し、自家用車の平均利用率は4%といいます。

この4%という数字は、自家用車が実際に走っているのは1年間にわずか15日程度ということになります。(出所:「国土交通省自動車燃料消費量調査2016年度」より作成)

逆に言いますと、年間350日は駐車場に止まったままになります。

ただ、その間も税金や保険などの維持費はかかり続けるわけです。

そこで、駐車場で眠っているクルマを活用して収入を得る、そんなカーシェアリングが広がりを見せています。

 

昨年11月末にオープン予定の「オリックス カーシェア」では、1日1件のペースで拠点を増やしているといいます。

オリックス自動車カーシェアリング部の中西 淳さんは次のようにおっしゃっています。

「(カーシェアリングの)駐車場はここ数年間で30%ずつくらいの勢いでの伸びていくと思っています。」

 

現在、カーシェアリングの国内市場は急拡大、会員数はこの5年間で4倍以上増加しています。(公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団調べ)

かつて所有するものだったクルマは、今や利用するものに変化しているのです。

 

そんな中、中古車販売店、ガリバーを展開するIDOM Inc.(東京都千代田区)が昨年11月16日に発表したのが、使っていない時間帯のクルマを他の人に買し出せるカーシェアリングサービス「GO2GO」です。

スマホのアプリを使ってクルマを個人間で貸し借りすることが出来ます。

今年4月から東京や大阪などでサービスを開始します。

 

こうした個人間のカーシェアリングでは、ディー・エヌ・エーの「Anyca(エニカ)」(参照:アイデアよもやま話 No.3350新たなカーシェアリングの潮流 その2 利用の少ない平日の利用拡大策!)が先行しています。

例えば「Anyca)」でトヨタの「ノア」を貸し出した場合、東京23区内では維持費の98%を賄えたといいます。

 

一方、IDOMの新サービスではリアルな店舗を持つ強みを生かします。

IDOMの天野 博之さんは次のようにおっしゃっています。

「クルマのオーナーさんがまず(IDOMの)店舗にクルマでいらっしゃっていただいて、空いてるスペースにクルマを止めていただきます。」

「そこに今回クルマをシェアして運転される方もこの店舗にいらっしゃっていただいて、その場で鍵のやり取りをしていただく。」

 

個人間カーシェアリングでは、見知らぬ人とクルマを貸し借りする不安があります。

将来的には、店舗を使ってクルマの受け渡しを代行することで利用者を増やす狙いもあります。

天野さんは次のようにおっしゃっています。

「単純にクルマの売り買いだけではなく、クルマを使う価値も店舗が提供することで、クルマのサービス拠点として、今後(全国にある直営の)500店舗を生かしていけるんじゃないかと。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

一般的に考えれば、個人間に限らず、法人などが必要に応じてカーシェアリングを利用することはコスト削減や省エネにつながります。

しかし、個人間カーシェアリングでは細かなトラブルが発生した際の対応が厄介になります。

それ以前に、個人間カーシェアリングではお互いに指定した場所まで行く必要があります。

こうした手間がかかるので、現状のカーシェアリングが爆発的に普及するとは思えません。

そうした中、店舗を使ってクルマの受け渡しを代行するというIDOMのサービスが始められれば、多少手数料がかかっても、業者を介し、安心出来るので普及の手助けになると期待出来ます。

 

しかし、こうした動きのある中、一方で完全自動運転車の開発が進められ、最終段階の公道での実証実験が既に始まっています。

実際に市販化されれば、その時こそ本格的なカーシェアリングの時代到来の幕開けになると思います。

 

さて、自家用車の平均利用率が4%という状況において、いつでも乗りたい時に自宅までクルマが来てくれる時代になったら、それでも自分のクルマを持ちたいという人がどれだけ残るのか、とても興味が湧きます。

いずれにしても、クルマは所有からシェアリングへの移行が進むことは間違いなさそうです。

こうした時代を迎えつつある中で日本の産業界の屋台骨とも言える自動車産業の行く末がとても気にかかります。


 
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