2019年03月19日
アイデアよもやま話 No.4280 プラズマ乳酸菌で従業員の生産性向上!?

昨年11月15日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でプラズマ乳酸菌による従業員の生産性向上について取り上げていたのでご紹介します。 

 

432万円、これは日本人の平均年収です。

労働人口が減少する中、生産性をどう高めるかが今議論になっていますが、仮に労働生産性が5%上がるとすれば、年間22万円分の生産性向上が見込めます。

キリンビールホールディングスは昨年11月15日、年間22万円分の生産性を向上させるという乳酸菌の研究成果を発表しました。

磯崎 功典社長は次のようにおっしゃっています。

「仕事の生産性を上げるためにはこれだと私は自分で思っています。」

 

キリンは研究を進めているプラズマ乳酸菌が労働の生産性を上げる効果があると発表しました。

出勤しているにも係わらず、風邪ぎみで頭がぼうっとしていたり、寝不足といった心身の健康上の問題で、書類が頭に入ってこないなど、体調不良で能力が低下している状態を「プレゼンティーズム」といいます。

この「プレゼンティーズム」を改善するのがプラズマ乳酸菌だというのです。

キャップスクリニック総院長の白岡 亮平医師は次のようにおっしゃっています。

「(プラズマ乳酸菌の摂取により、)日本人の平均年収432万円から金額換算すると、一人当たり年間約22万円の生産性が向上する。」

 

このプラズマ乳酸菌は、元々はインフルエンザの予防につながる機能があると期待されていました。

普通の乳酸菌は一部の細胞を活性化し、ウイルスへの感染を防ぐというもの、それに対してプラズマ乳酸菌は各細胞の司令塔とも言えるプラズマ細胞に働きかけることで様々な細胞を活性化、ウイルスの感染をより防ぐことが出来るというのです。

これに注目したヤフーは、社員226人を対象にプラズマ乳酸菌を摂取させ、労働生産性について調査しました。

実際に調査の結果、「プレゼンティーズム」の5%の向上と活気のポイントも上昇したといいます。

調査したヤフーの産業医でもある白岡医師は次のようにおっしゃっています。

「欠勤や遅刻、早退、そういったものを減らせるのではないかと見ていたのですけど、結果的に「プレゼンティーズム」に影響があったということで、私としては副産物としてビックリしている。」

 

キリンは企業への健康経営に訴求するなどして、現在55億円(2018年)の乳酸菌事業による売り上げを3年後に150億円にする狙いです。

磯崎社長は次のようにおっしゃっています。

「(年間22万円分の生産性向上が期待出来るプラズマ乳酸菌をキリンの全社員が飲むとすごい金額になるのではという指摘に対して、)額として大きいですよね、これは。」

「たとえ半分でも大きいですよね。」

「従いまして、生産性向上という観点からも是非これを社員全員に飲んで欲しいし、この領域(健康未病事業)で10年後には1000億円くらいの売り上げを目指したいと思っております。」

 

番組コメンテーターでみずほ総合研究所の高田 創さんは次のようにおっしゃっています。

「(「プレゼンティーズム」は)意外と気づかないと思うんですけど、実際の生産性はかなり下げますよね。」

「(「プレゼンティーズム」にならないようにしていかなければならない、)そこが健康経営の必要なところだと思うんですよね。」

「それは単にコストじゃなくて投資なんだというくらいの発想で対応するというのが新しい時代の経営になっているのではないかと思いますね。」

「(健康経営は大企業の中では最近浸透してきているが、)中小企業は未だこの意識が随分薄いと思うんですよね。」

「ある研究の成果によりますと、(中小企業での健康経営に対する)認知度がまだ1割近くにしか達していないのではないかと見方が・・・」

「(認知度が1割ということは、実施度はまだまだ低いのではという指摘に対して、)まだまだだと思うんですよね。」

「やっぱり経営者の方ご自身の健康には気を付けても、まだまだ社員の方々の健康経営に対しては伸びしろが大きい気がしますよね。」

 

一方、解説キャスターの山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。

「今、食品飲料業界のトレンドを言葉で表すと『「ゼロ」から「プラス」へ』となります。」

「「ゼロ」というのは糖質ゼロ,それからプリン体ゼロ、カロリーゼロ、もうゼロにするものが無くなって来たんですよ。」

「それで今度は、じゃあ「プラス」だということで、機能を追加しようという動きに今なってきていて、いろんな新製品が機能を詰め込み始めたんですけども、恐らく今回のキリンの新製品、プラズマ乳酸菌も流れに沿った戦略だと思いますね。」

 

以上番組の内容をご紹介してきました。

 

生産性向上というのは、目的を持ったどんな組織においても永遠の課題だと思います。

従来は既存の作業の無駄を省いたり、機器の導入により作業効率を高めることがその具体策でした。

ところが、最近はアイデアよもやま話 No.2635 健康経営で業績アップ! でもお伝えしたように、従業員の健康管理を生産性向上の手段として取り入れるような動きがあります。

今回ご紹介したプラズマ乳酸菌もその一つと言えます。

また、春先の花粉症もとても従業員の生産性を下げていると思います。

ですから、花粉症の特効薬が市販化されれば、増え続ける花粉症患者の生産性を下げなくて済むようになります。

このように食べ物の栄養管理や予防薬によって従業員の健康増進が図られれば、まさしく健康経営の一環と言えます。

 

このように考えていくと、従業員の健康維持などに効果のある花粉症などの研究開発を進める薬品メーカーに一般メーカーが共同でその資金を投資するという動きがあってもいいのではないかと思います。

 

ところで、従業員の生産性向上を検討する際、今回ご紹介したプラズマ乳酸菌や花粉症の特効薬のような健康食品や特効薬のようなもの以外にもいろいろあると思います。

例えば職場での人間関係、家庭での悩み、あるいは友人関係、更には働き過ぎによる生産性の低下など、様々な視点があります。

ですから生産性向上の万能薬はないのです。

ということで、会社全体の生産性を向上させるために、健康経営を進めるうえでは従業員全体に共通の対応策と従業員一人ひとりの状況に応じた対応策が求められるのです。

このように考えてくると、AIやロボットの導入が普及していくと、会社は健康経営のような必要性から解放される領域が広がると思います。

 

さて、山川さんのおっしゃった、食品飲料業界のトレンドが『「ゼロ」から「プラス」へ』というのはとても面白いと思います。

どんな商品にも狙いがあります。

それがどのような観点や背景から生まれたのか、あるいは新しいアイデアを考えるうえで、『「ゼロ」から「プラス」へ』というような視点はとても役立つと思います。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています