2019年03月18日
アイデアよもやま話 No.4279 望ましい銀行のATM共通化!

各銀行のATMは別々に設置され、全部合わせれば沢山あるのに、自分の預金している銀行のATMを探すのに苦労することがあります。

そうした中、昨年11月14日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で銀行のATM共通化について取り上げていたのでご紹介します。 

 

メガバンクの昨年4月〜9月期の決算は、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3社ともに、純利益は前年に比べて増加しましたが、銀行本業の儲けを示す業務純益はマイナス金利政策など超低金利政策の逆風で三菱UFJ銀行と三井住友銀行は減益となりました。

 

そうした中、コスト削減のために金融機関が議論しているのが各銀行ごとに分かれているATMの共通化です。

利用者にとっては、手数料が無料になるなどのメリットがありそうですが、私たちの生活に欠かせないATMはこの先どう変わっていくのでしょうか。

 

豊洲駅前は都内屈指のATM密集地帯で、駅の近くにあるATMだけで10ヵ所以上あります。

こうした中、銀行も対応を始めました。

三菱UFJ銀行と三井住友銀行はATMの共通化に向けて動き出したのです。

三井住友フィナンシャル・グループの國部 毅社長は、昨年11月14日の決算会見の場で次のようにおっしゃっています。

「これからの金融業、あるいは銀行業を考えた時に、まさに新しい時代、いわゆるテクノロジーの進展とか国際金融規制の強化という環境の中で、全て自前でやるということではなくて、他の金融機関と共同で出来るところは共同でやること・・・」

 

現在は三井住友銀行の預金者が三菱UFJ銀行のATMで現金を引き出すと平日の日中で108円の手数料がかかります。

しかし、ATMを共通化することで、この手数料が無料となります。

三菱UFJ銀行の預金者も同様に三井住友銀行のATMから無料で現金を引き出せます。

2019年の早い時期に両行合わせ2000ヵ所以上で銀行の店舗外ATMで共通化を進める計画です。

國部社長は次のようにおっしゃっています。

「(ATMの共通化により手数料収入が減るが、それでもメリットがあるのかという問いに対して、)多少手数料収入に影響があるかもしれなせんけども、我々は我々の個人のお客様に対して、どうやって今の環境でサービスを提供して利便性を高めていってもらうかということをメインに考えるべきだと思っていますので・・・」

 

両行がATMの共通化を進める一番の狙いは維持費の削減です。

ATM1台の管理費は年間700万円〜1000万円とも言われます。

ATMの共通化によって将来的には両行で500台近くを廃止する方針で、年間数十億円のコスト削減を見込んでいます。

 

一方、みずほ銀行は口座管理を行う新たなシステムへの移行を進めていて、三井住友銀行と三菱UFJ銀行の共通化には当面参加しない考えです。

みずほフィナンシャル・グループの坂井 辰史社長は次のようにおっしゃっています。

「(ATMについての今後の戦略について、)コスト削減の余地を探っていくことでは、更なる提携もこれから積極的に考えていきたいと。」

「これから外との連携、中でのスクラップアンドビルド、あらゆる可能性に対して積極的に対応していきたいと・・・」

 

そして今、より生産性の高いATMの開発が進められています。

三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社、ジャパン・デジタル・デザインは、移動式ATMカーを開発中です。

クルマの後部にはATMが設置されています。

機能を出金だけに絞ることで、コンパクトなサイズを実現しました。

 

更にキャッシュカードが不要のATMでは、スマホの専用アプリで本人認証すれば、現金をおろすことが出来るといいます。

私たちが使うATMは将来どうなるのか、複数の銀行が共同で運用する可能性もあると三菱UFJフィナンシャル・グループの平野 信行社長は次のようにおっしゃっています。

「そもそも設置場所、あるいはシステム、機器の共同化、究極の姿としては、日本の金融機関がATMに関して共同出資して共同運営会社を作るようなかたちも将来的にはあるかもしれない。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

日本の現状はまだまだ現金決済だけのお店がかなり残っています。

同時に買う側も現金主義の人たちの割合は世界的に見て多いといいます。

そして、預金口座から現金を引き出す際に、最寄りの銀行やATMに行こうとすると、最近は銀行の支店やATMの統合化が進み、とても不便さを感じます。

そうした中、国内の金融機関がATMに関して共同出資して共同運営会社を作るような動きはユーザーにとっても金融機関にとってもメリットがあります。

 

ところで、そもそも私たちユーザーの立場から考えると、どこでも電子マネーで決済でき、現金もクレジットカードなど物理的なマネーを一切持ち歩く必要が無くなる社会が便利で望ましいのです。

そして、このことはアイデアよもやま話 No.4178 スマホ決済で進む電子マネー経済!

でもお伝えしたように販売する側にとってもとてもメリットがあります。

ですから、近い将来、急速に電子マネー社会の実現に向けた動きが高まると思います。

ですから、銀行のATM共通化は、電子マネー社会への移行の過渡期のサービスと言えそうです。

 

しかし、完全な電子マネー社会には大きな課題があります。

例えば、電子マネーを操作するためのスマホが不具合になったり、スマホを落としたり、盗まれたりすると他のスマホでの設定が完了するまでは全く買い物が出来なくなってしまいます。

更にパスワードが盗まれると文字通り全くの無一文状態になってしまいかねません。

ですから、何らかの理由でスマホで電子決済が出来なくなったり、盗難に遭ったりした場合の速やかなリカバリー処理が出来るような環境をあらかじめ整備しておくことがとても重要なのです。


 
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