昨年12月6日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でふるさと納税による地方名産品の宣伝効果について取り上げていたのでご紹介します。
ふるさと納税の返礼品が魅力的だと寄付金が沢山集まるだけでなく、地元への経済効果も生まれています。
しかし一方で、金券など地元とは関係なさそうな返礼品もまだ数多く出品されています。
昨年12月6日、発表されたのはふるさと納税の返礼品による経済効果です。
ふるさと納税ポータルサイトを運営するさとふるの青木 大介取締役兼COOは次のようにおっしゃっています。
「その(ふるさと納税の)効果を明確にして良い取り組みが全国に広がればという思いでこちらの研究をさせていただきました。」
調査をしたのは事業構想大学院大学とさとふるによる共同研究です。
その地域で生産加工された返礼品とそうでないものを比べると、地元への経済効果に最大6倍の差が出ると試算します。
例えば北海道網走市では、オホーツク海のすぐそばにある水産会社、牛渡水産は地元で獲れた毛ガニを使った返礼品を生産しています。
窯で茹でたカニの身を一つひとつ手作業でむき、カニ味噌と一緒に甲羅に塗っていきます。
出来上がりはまわるいかたちです。
商品名は「ケダマ」で、Mサイズで3980円です。
網走産の「ケダマ」の特徴は身が立っており、牛渡水産では特産品として網走産のみにこだわって作っているといいます。
返礼品に選ばれたことで、この会社には大きな影響が出てきました。
牛渡水産の牛渡 貴士さんは次のようにおっしゃっています。
「ふるさと納税をきっかけに、個別でご注文いただける方が増えましたので、その対応をしていくと計算してビックリしたんですけど、(売り上げが)125倍・・・」
以前は卸がメインだったものの、今では「ケダマ」の販売数は年間1万個を超えるほどになりました。
更に雇用にも影響が出てきました。
牛渡さんは次のようにおっしゃっています。
「まずパートの従業員の働く日数が劇的に増えた。」
「小さな企業でも今まで知り得なかったお客様とつながれるきっかけになれるような素晴らしい制度だと思います。」
流氷で漁に出られず、仕事が減る時期にも「ケダマ」の発注に対応するため、従業員の仕事も増え、給与アップにもつながるようになったといいます。
一方別のアプローチで注目を集めているのは和歌山県高野町です。
返礼品は旅行券の日本旅行ギフトカードで還元率はなんと5割です。
また、静岡県小山町の返礼品はアマゾンのギフト券で還元率は4割です。
こうした状況について、野田前総務大臣は、次のようにおっしゃっています。
「返礼品を贈る場合には、地場産品とすることが適切であることから、良識ある対応を合わせてお願いしています。」
総務省は、全国の自治体に以下の通知をしていますが、これを完全に無視したかたちです。
・寄付額の3割以内
・地域の特産品以外を贈らない
これに対して、小山町役場 シティプロモーション推進課の勝又 徳之課長は次のようにおっしゃっています。
「なんとか自主財源を確保しようということで、ただまだ法律的に整備されていませんし、寄付が多く集まったんで継続的に続けようと。」
小山町が見込む2018度の税収は約37億円、ふるさと納税で集まった寄付額は既に70億円を超えています。
公園や橋の整備に活用するといいます。
通知を守らない自治体について、菅官房長官は昨年12月6日にふるさと納税の対象から外すように法改正を検討しているとあらためて強調しました。
もし法改正されることになった場合について、勝又課長は次のようにおっしゃっています。
「しっかり制度に則ったかたちで運用していきたいとは考えております。」
解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川 龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「(ふるさと納税について)私は基本的には肯定派なんですよ。」
「例えば佐賀県の佐賀牛はふるさと納税で全国ブランドになりましたよね。」
「あれだけのブランドにしようと思ったら、マーケティングコストに換算したらすごい価値で、全国でそういうものが掘り起こされたわけですよね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
山川さんもおっしゃっているように、私もふるさと納税には基本的に賛成です。
その理由は、地方の優れた名産品が全国的に知られるきっかけとなり、大幅に売り上げを伸ばした北海道網走市の水産会社、牛渡水産のような事例があるからです。
一方、和歌山県高野町での返礼品が旅行券の日本旅行ギフトカードであったり、静岡県小山町の返礼品がアマゾンのギフト券であったりというのは総務省からの通知を守る他の真面目な自治体と比べて明らかに不適切です。
本来であれば、この自治体への通知が守られればいいのですが、現状では残念ながら十分に守られていません。
山川さんのおっしゃっているように、ふるさと納税による地方名産品の宣伝効果は絶大だと思います。
ですから、ふるさと納税は地方の零細企業であっても魅力的な商品であれば全国的に売り上げを伸ばせるチャンスを与えていると言えます。
そういう意味で、ふるさと納税は“地方創生”の1つの有効な手段とも言えます。
ということで、通知を守らない自治体について、ふるさと納税の対象から外すように法改正を進め、健全なかたちで“地方の名産品”の掘り起こしによる“地方経済の活性化”を目指して今後ともふるさと納税を推進していただきたいと思います。