昨年9月26日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でEVごみ収集車について取り上げていたのでご紹介します。
JFEエンジニアリング株式会社の鶴見製作所(横浜市鶴見区)の片隅にごみ収集車があります。
JFEエンジニアリングの白尾 誠一郎さんは次のようにおっしゃっています。
「(普通のごみ収集車のように見えますが、)実は(日本初の)電池交換型のEVごみ収集車なんです。」
EVなので勿論とても静かです。
そして、走行、作業中、一切排気ガスも出ません。
この動力となるリチウムイオンバッテリーは充電式ではなく、バッテリー・ステーションで交換します。
白尾さんは次のようにおっしゃっています。
「(バッテリーが)中に格納された段階で充電が始まりまして、既にフル充電された状態のバッテリーがいくつも用意されています。」
「(他のEVとの違いについて、)もとになる電力はごみの清掃工場で燃やしてつくる。」
なお、バッテリーの交換にかかる時間はわずか3分で、フル充電で約60km走行可能といいます。
こちらのごみ収集車、川崎市浮島処理センターで、今年2月から稼働する予定です。
このゴミ処理センターでは、1日たり600トンのごみを収集しています。
そのごみを燃やす熱を利用して発電し、バッテリーに充電しているのです。
こちらで稼働する140台のごみ収集車があるのですが、それを全て動かす電気を発電出来るといいます。
この「エネルギー循環型ごみ収集システム」は、バッテリー・ステーションと込みで、EVごみ収集車1台あたり5900万円(税抜き)です。
白尾さんは次のようにおっしゃっています。
「(EVの単価について、)今は実際にはかなり高い価格になっていますけども、軽油代と比べると、電気で動かすことを考えると4分の1から5分の1で済みますね。」
「そこのランニングコストの安さも魅力だと思います。」
更にエコだということで、川崎市では導入が始まるのですが、既に川崎市以外の町からも引き合いが来ているといいます。
またゴミ収集車ですが、災害時には電力供給車にもなるということで、1つのバッテリーがフル充電された状態でおよそ5000台のスマホを充電することが出来るといいます。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
私はかねてから人の営みのあるべきライフスタイルとして“地産地消”が望ましいと思ってきました。
同時に社会のあるべき姿としては“持続可能な社会”です。
それを可能にするのが植物工場であったり、再生可能エネルギーやリサイクルであったりするわけです。
今回ご紹介したEVごみ収集車は、ごみの清掃工場で燃やす熱を利用して発電し、バッテリーに充電した電気を動力源にしているのですから、ごみのリサイクルと言えます。
しかも、全てのEVごみ収集車の動力源として賄っており、その余剰電力はバッテリーに蓄電されますから、停電などいざという時には貴重な電力として活用することが出来ます。
ただ「エネルギー循環型ごみ収集システム」の普及に際して、問題はその初期費用、およびランニングコスト、そしてEVごみ収集車の動力源以外の電力としてバッテリーを使用する場合の投資対効果です。
この「エネルギー循環型ごみ収集システム」に対して既に川崎市以外の町からも引き合いが来ているといいますから、是非この課題をクリアして、全国展開、更には世界展開を進めるべきだと思います。
なお、この動力となるリチウムイオンバッテリーは充電式ではなく、バッテリー・ステーションで交換していると言います。
この方式は以前アイデアよもやま話 No.3622 中国独自のEV戦略! などでご紹介したバッテリー交換システムです。
日本国内ではイスラエルに本社を構えるベンチャー企業、ベタープレイスが以前この方式を普及させようとしましたが、頓挫してしまいました。
その理由は、バッテリーの形状の標準化という高いハードルがあったからです。
しかし、中国ではある程度この方式が普及しているといいます。
バッテリー交換システムには交換システムの国際標準などいろいろと課題がありますが、その課題がクリア出来れば、EVのバッテリーの充電は不要になり、バッテリーの交換だけで走行出来るようになるのでEV普及の起爆剤となり得ます。
ですから、EVの巨大市場である中国が今後ともバッテリー交換システム普及の拡大に邁進すれば、国際的なデファクトスタンダードになる可能性は捨てきれません。
太陽光などの再生可能エネルギーによる不安定な発電とバッテリーの相性はとてもいいので、この可能性には常に注視しておいた方がいいと思います。