2018年12月31日
アイデアよもやま話 No.4213 シェアリングエコノミーで人手不足解消!?

9月7日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で人手不足解消に役立つシェアリングサービスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

カーシェアリングや民泊など、モノや場所を多くの人たちと共有するシェアリングエコノミーで新たな動きがあります。

人手不足のある業界でも広がり始めています。

 

9月7日、民間団体のシェアリングエコノミー協会が開いた「シェアサミット2018」には、エアビーアンドビーなど関係企業約200社の他に民泊オーナーやウーバーイーツの配達員などが終結し、規制緩和や業界の展望について議論しました。

更に会場に多数参加していたのは、内閣官房や総務省、経済産業省など日本政府の関係者です。

政府は「シェアリングエコノミーの推進」を成長戦略に盛り込むなど、経済成長の起爆剤として期待を寄せています。

今年、政府が初めて行った試算によると、市場規模は最大5250億円で、今後は様々な産業に広がっていくと強調します。

内閣官房シェアリングエコノミー促進室の高田 祐介企画官は次のようにおっしゃっています。

「人口減少社会において、どれだけ国の成長力を維持していくというのが大事だと思っています。」

「(シェアリングによって多くの産業が)新しいサービスに刷新されていくという可能性もこれから大いにある・・・」

 

今年に入ってシェアリングが広がった意外な業界があります。

建設業には70種以上の職種があり、それぞれに専門の職人がいます。

そうした中、建設現場と職人をつなぐ「助太刀」というアプリがあります。

どういう現場で金額がいくらか、いつ何人が必要かというようなことをマッチングするのです。

経験のある職種や居住地など、簡単な情報を入力するだけで登録出来ます。

建設業では職人と現場の需給ミスマッチが人手不足を加速させています。

時間の空いている職人と人手が足りない建設現場のマッチングをすることでその問題を解消するのがこのアプリなのです。

昨年12月にサ−ビスをスタートし、現在登録者数は1万5000人を超えています。

 

「助太刀」を開発したのは、10年以上建設業に携わってきたという株式会社助太刀の我妻 陽一社長です。

我妻さんは次のようにおっしゃっています。

「仲間も仕事も探す時は知り合いから紹介してもらうだけです。」

「連絡手段は未だに電話連絡なんですね。」

「今、職人さん不足とか人手不足って言っているんですが、今あるリソースを100%生かし切れてないんですね。」

 

300万人の職人がいるという建設業界、今後サービスの内容を強化し、まずは今年度中に5万人の登録を目指します。

番組コメンテーターで日本総研の名誉理事長、高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「シェアリングエコノミーのブレーキを踏んでいるのは役所自身ですよね。」

「やっぱり役所が抜本的に姿勢を変えるべきだと思いますね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

最近シェアリングエコノミー、あるいはシェアリングサービスという言葉をよく耳にするようになりました。

そして、今や政府もシェアリングエコノミーを経済成長の起爆剤として期待を寄せています。

そもそも“シェアリング(sharing)”とはモノやサービス、あるいは場所などを多くの人たちで共有することです。

今回ご紹介した、人手不足と言われる建設業界でのシェアリングエコノミーとは、300万人とも言われる職人さんを建設会社が少しでも共有して人手不足を解消しようというものです。

 

さて、あらためてシェアリングエコノミーの本質について考えてみましたが、それは必要な人、あるいは企業などが必要な時に必要な資源(ヒト、モノ、サービス)を需給バランスによる適正な価格で確保出来る、あるいは資源を提供するシステムということです。

そして、このメリットは一言で言えば、資源の有効活用です。

このシステムは資源を必要とするユーザーと資源の2つの要素から成り立っています。

そして資源の中には人も含まれますが、特に人の場合は収入がなければ暮らしていけませんので、少しでも多くの仕事にありつけることが求められます。

また既に働いている人の中でも副業を求めている人は資源となり得るのです。

 

そしてシェアリングエコノミーについては、これまでもレンタカーや着物のレンタルなど一部の業界ではビジネスとして展開されてきました。

また賃貸マンションやアパートなどもシェアリングエコノミーの範疇に入ると思います。

しかし、今話題になっているシェアリングエコノミー、あるいはシェアリングサービスは以下の点においてこれまでとは異なるのです。

・所有から共用へという、資源の有効活用を意識した新しい価値観

・より広範囲のユーザーと資源(企業だけでなく個人も含む)のマッチング

 

そして、こうしたサービスを可能にしているのがインフラとなるインターネットを活用した様々なアプリの存在です。

このアプリのお蔭で、短期間に低価格で不特定多数のユーザーと資源を結びつけることが出来るようになったのです。

 

ただし、シェアリングエコノミーには資源の側からみての適正な価格が維持出来るか、そしてユーザーの側には安定した品質など課題がいろいろあります。

また人手不足の解消を海外の人材により解決する動きもあります。

しかし、一般国民の立場からすれば、まず国内の人材を最大限に有効活用することが求められます。

ですから、シェアリングエコノミーを単に企業の人手不足解消の解決策として捉えるのではなく、国内のいろいろな立場で働きたい人たちが適正価格で働けるような場としてシェアリングエコノミーを活用出来るようなシステムが求められるのです。

 

なお、こうしたシェアリングエコノミーには他にも大きなメリットがあります。

高齢者にとって適度に働くことは、収入を得られるだけでなく、他の人とのコミュニケーションによる気分転換や生きがいになり、それは健康増進、そして医療費の削減にもつながるからです。


 
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