現行の8%から10%への増税の時期は2019年10月となり、そうした中、11月18日(日)放送の「報道プライムサンデー」(フジテレビ)で消費増税について取り上げていました。
そこで番組を通して、ユーザー目線が欠如している消費増税に伴う軽減税率の指針についてお伝えします。
11月に来年10月に予定されている消費増税で導入する予定の軽減税率の指針が示されました。
食品などは持ち帰れば消費税は8%、今人気のイートインで食べると10%、スーパーの怒りはこの確認方法の指針です。
指針には以下の記述があります。
店内飲食か持ち帰るかの意思確認を行うなどの方法で判定していただくことになります。
営業の実態に応じた方法により意思確認を行うこととして差し支えありません。
今回の増税について、東京都足立区にあるスーパー、「生鮮市場
さんよう」の取締役、阿部 芳邦さんは次のようにおっしゃっています。
「実際はどう対応していいか分からない。」
「制度を作ってよろしくなだったら、もう少し細かなところまで決めてからやって頂きたい。」
会計が複雑になると心配しているのです。
番組では軽減税率導入後のスーパーのレジを想定して、実際のレジでの店員とお客のやり取りを再現していました。
設定は3人家族の父親で、何かイートインコーナーで食べて帰ろうと考えています。
生鮮食品に海鮮丼、ヨーグルトなど商品16点をカゴに入れました。
生鮮食品以外はどれもイートインコーナーで食べられそうです。
これらの商品をスーパーのレジ歴10年以上の大ベテランにいつも通りに会計してもらうと、手際よくバーコードを読み込ませ、わずか20秒でした。
では、同じ商品で軽減税率導入後を試験してみると、イートイン出来そうな商品については、店員がいちいちお客にイートインを使うかどうかを確認しています。
会計終了、その間1分50秒でした。
カゴもイートイン用と持ち帰り用に分け、確認しなければトラブルの元になります。
会計したレジ担当者は次のようにおっしゃっています。
「面倒くさいです。」
「他のお客様にご迷惑をお掛けしてしまうことになると思います。」
なお、消費増税の悩みはお店だけではありません。
増税後に様々な優遇政策が予定されているのです。
ですから、増税前、それとも増税後、いつ買えばいいのか迷ってしまうのです。
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
そもそも政府は「働き方改革」で働き方の生産性向上を目指しているのに、番組でのスーパーのレジの再現でも分かるように、スーパーのレジ担当者の軽減税率導入後の生産性はグンと落ちてしまいますから「働き方改革」の狙いとは真逆の結果をもたらします。
そればかりでなく、買い物客もこれまで以上にレジでの待ち時間が増えることになってしまいます。
その結果、買い物客のストレスが溜まり、レジ係との間の無用のトラブル発生が予想されます。
こうしたことから、言えるのは政府の考える軽減税率には、買い物客、およびスーパーなどユーザー目線が欠如しているということです。
軽減税率の導入そのものは、既に海外でも導入されているといいますが、問題は購入した商品をイートインで食べるかどうかによって消費税率が異なるというところです。
このまま政府の指針通りに消費増税が実施されれば、買い物客やスーパーなどにそのしわ寄せが行き、国民全体から不満の声が高まり、政府の推し進める軽減税率は破たんしてしまう可能性が高いと思われます。
ですから、政府には少なくともイートインで食べるかどうかによって消費税率が異なるような方法は取らず、ユーザー目線に立った方法を取っていただきたいと思います。
なお、消費増税の負担軽減策に関して、11月21日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤
高明さんが次のようにおっしゃっています。
「増税のための減税みたいな話が沢山あって、政策総動員ですけど、税制がどんどん複雑化してちょっとスジが悪いなというふうに見えます、特に軽減税率に関して。」
「で、軽減税率で一番恩恵を受けるのは大量に高額食料品を買う富裕層ですし、そもそも貧困層への生活支援ということであれば、いかにも中途半端で、給付対象を絞って直接給付にした方がはるかに効果的だと思います。」
全くおっしゃる通りだと思います。