2018年11月30日
アイデアよもやま話 No.4187 ”奇跡の糸”が世界を変える!? その5 福島第一原発事故の被災地、福島県で新たな雇用機会の創造!

7月31日(火)放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)で「銀メッキ繊維」について取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

5回目は福島第一原発事故の被災地、福島県で新たな雇用機会の創造についてです。 

 

繊維メーカー、ミツフジ株式会社(東京都千代田区)の3代目社長、三寺 歩さん(41歳)はある特殊なシャツ、すなわち「シャツ型ウエアラブル端末」を作ろうとしています。

その秘密兵器は銀メッキを施した特殊な繊維、すなわち「銀メッキ繊維」です。

 

前回お伝えした、福島第一原発事故で若者が減少、深刻な高齢化に悩まされている福島県川俣町の山木屋地区で、地元の人々の間で少しずつ理解が深まって来た見守りサービス、三寺さんにはもう一つここで実現させたいプロジェクトがあります。

それは新しい工場の建設です。稼働予定は今年9月です。

将来的には50人の雇用を生み出し、地元に若者を呼び戻す計画です。

三寺さんは次のようにおっしゃっています。

「ここで銀メッキの糸から服になるまでの全ての工程が入って、後は出来上がった服をテストしたりとか、テストしたものを更にすぐに改良するラボとか、いろいろな機能がこの工場の中に存在するかたちになります。」

 

更に地元の企業のためのスペースも用意してあり、次のようにおっしゃっています。

「挑戦したいんだけど、場所もないし、人もいないしということで、お悩みになられたりとか、いろんなお考えがありますけども、その時に私たちがお部屋を提供して「一緒に作りましょう」ということを文字通りここで実現する・・・」

 

かつては絹織物の一大生産地だった川俣町、しかし最盛期に200軒以上あった織物工場は今ではわずか5軒、三寺さんは「銀メッキ繊維」で地域を再生し、再び繊維の街として盛り立てようというのです。

新たな挑戦が始まります。

三寺さんは次のようにおっしゃっています。

「必ずミツフジの工場を造って、ものづくりでもう一度挑戦するとずっと思ってきました。」

「その中で川俣町の織物産業を復興したいという強い想いと私たちの気持ちが相通じるものがあるなということで、この町に来たいと。」

「培ってきた技術を使って、新しい時代に挑戦していきたいと思います。」

 

かつて抗菌などが主な用途だった「銀メッキ繊維」、今ウエアラブル端末という新たな分野での活用が始まっています。

「銀メッキ繊維」を通して健康状態の変化を把握する、それが出来るようになれば病気の前兆を察知するなど、救える命も増えていくかもしれません。

様々な可能性を秘めた「銀メッキ繊維」、今後更に広い分野での活用が期待出来そうです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

かつては絹織物の一大生産地だった川俣町、その住民の川俣町の織物産業を復興したいという強い想いと三寺さんが開発中の「銀メッキ繊維」を使用した「シャツ型ウエアラブル端末」を製造する工場の建設は雇用機会の創造を通して地元を再生し、再び繊維の街として再興するうえで見事にマッチします。

ですから、是非この計画を成功させていただきたいと思います。

 

さて、今回ご紹介した地方に工場を建設して地方再生を試みるということは、国のあり方を考えるうえでとても参考になると思います。

極端な例ですが、もし中国やインドのような人口の多い国の人件費がとても安く、世界中の企業がその国にこぞって工場を建設したらどうなるでしょうか。

そこ以外の国々では製造業に係わる多くの人たちが収入の道を絶たれ、消費が減少してしまいます。

すると企業収益のみならず国税にも影響が出て来て、結局国そのものが立ち行かなくなってしまいます。

実際に中国には世界中から多くの国の企業が賃金の安い労働者を求めて進出しています。

そして、中国の人件費の上昇とともに更に他の人件費の安い国を求めて工場移転を検討している企業もあるといいます。

こうしたことから、それぞれの国民がある程度安定した収入のある暮らしを継続していくうえで、地産地消、あるいはそれぞれの国、あるいは地域に適した産業をバランスよく配置したかたちで世界各国の国民がともに豊かになるような方向で世界中の指導者が協力して取り組んでいくことが望ましいという結論に至りました。

そして、AIやロボットなどの技術の進歩は単純労働のみならず頭脳労働の領域の機械化にも及ぼうとしています。

ですから、こうした技術の進歩はやがて自然と国単位、あるいは地域単位での地産地消の流れを促していくと期待出来ます。


 
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