2018年11月24日
プロジェクト管理と日常生活 No.567 『科学技術白書に見る、日本の国際的地位の低下!』

少し古い情報ですが、6月12日(火)付け毎日新聞ネットニュース(既に削除済み)で科学技術における日本の国際的地位の低下に関する記事を取り上げていたのでご紹介します。

 

政府は6月12日、2017年度の科学技術白書を閣議決定しました。

人材力、知の基盤、研究資金といった科学技術・イノベーションの「基盤力」に多くの課題を挙げ「わが国の国際的な地位のすう勢は低下していると言わざるを得ない」と指摘しました。

近年の日本の研究力の低迷ぶりを如実に表す内容になりました。

 

 各国の政府の科学技術関係予算の伸び具合を2000年と比べると、中国が13.48倍(16年)、韓国が5.1倍(同)、米国が1.81倍(17年)になったのに対し、日本は1.15倍(18年)とほぼ横ばいです。

 

博士課程への進学者も2003年度の約1万8000人をピークに減り始め、2016年度に1万5000人を割りました。

海外へ派遣する研究者の数は2000年度(7674人)をピークに2015年度は4415人と減っているほか、国際共著論文の数も伸び悩むなど、国際性の低下も問題になっています。

 

新たな研究分野への挑戦不足も指摘しています。

注目度の高い研究分野への参画度合い(2014年)では、米国91%、英国63%、ドイツ55%に対し、日本は32%と低迷しています。

研究者を対象にしたアンケートでも、挑戦的・探索的研究が減っている、との回答が多かったといいます。

 

以上、ネット記事の内容をご紹介してきました。

 

より良い国家を目指すうえで、それぞれの国家はその国状に応じた課題解決に対応すべくビジョンを掲げ、対策を講じています。

そこで、資源小国、更には少子高齢化の進む日本においては技術立国として揺るぎない国際的な立場を維持することが重要な課題の一つとなります。

そうした中、今回ご紹介した2017年度の科学技術白書の内容は今後の日本の国際的地位の低下を暗示しています。

国民の暮らしの最低保障、健康維持、あるいは国防など、国の進めるべき政策には当然のことながらそれなりの資金が必要になります。

そして、その資金の多さは企業からの法人税、あるいは国民からの税金などに依存しています。

その資金源の中で、科学技術をベースにした企業活動から得られる収益に連動した法人税の占める割合は無視出来ません。

 

ちなみに、以下は7月4日付けのネット記事(こちらを参照)からの情報です。

財務省が7月4日に発表した2017年度の国の決算(一般会計決算)の概要によると、国の税収総額は2016年度に比べて6.0%増の58兆7875億円でした。

1991年度(59.8兆円)に次ぐ過去3番目の大きさでした。

所得税、消費税、法人税の「基幹3税」が3年ぶりにそろって伸びました。

 

税収の内訳をみると、好調な企業業績を背景に法人税が16.1%増の11兆9953億円となりました。

 

以上、ネット記事の一部をご紹介してきました。

 

この記事から見ると、2017年度の法人税の国の税収総額に占める割合は20%ほどです。

そして、国民の納める所得税、消費税は法人税に連動する部分が大きいのです。

なぜならば、企業の治める法人税が多くなるということは、税率が変わらない限り、企業の業績がそれだけ好調で、従業員の給与を押し上げることになり、従業員の納める所得税が増え、一方で消費を後押しし、消費税増につながるからです。

ちなみに、2017年度の国家予算は過去最大の約97兆円ですから、税収だけでは足らず、不足分は新規国債発行などで穴埋めしているのです。

なお、2018年度の国家予算も2017年度とほぼ同額で6年連続で過去最高といいます。

ですから、将来の日本国民の生活レベルを下げないようにするためには、企業の経済活動を活発にし、企業の納める法人税をより増やすという課題を掲げることが国に求められるのです。

 

そこで番組の内容を参考に具体的な課題対応策を以下にまとめてみました。

・科学技術の基礎知識を効果的、かつ効率的に習得出来るような教育内容の整備

・企業がより活動し易い環境の整備

・将来性の期待出来るベンチャー企業の支援

・優れた研究への開発資金支援

・優れた研究者への海外派遣の支援

 

ということで、現政権には“国家100年の計”とも言える科学技術のトップランナーを目指して取り組んでいただきたいと思います。

科学技術の衰退した、借金まみれの日本に未来はないのです。


 
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